2026年8月5日、SOMPOホールディングス株式会社および損害保険ジャパン株式会社は、現代社会における「働けなくなったときのリスク」への備えについての意識調査結果を発表しました。調査からは、多くの人が病気やケガによる治療費には備えている一方、その間の生活費や収入減への備えは手薄であるという、意識と実態の大きなギャップが浮き彫りになりました。
調査の背景と目的:なぜ今、「働けなくなった時のリスク」が注目されているのか

近年、私たちを取り巻く働き方や社会環境は大きく変化しています。育児や介護と仕事との両立、精神的な健康への関心の高まりなど、働く人々のニーズは多様化しています。また、公的な医療保険や年金制度には限界があることも広く認識されつつあります。こうした背景から、病気やケガで働けなくなった場合の「収入減」というリスクに対する社会的な関心が高まっているのです。
働き方の多様化と公的保障の限界
調査を実施した背景には、二つの大きな社会の変化があります。一つは働き方の多様化です。育児や介護をしながら働き続ける人、フリーランスとして働く人など、従来の「終身雇用・フルタイム」という単一のモデルから離れる人が増えています。このような働き方では、万が一の際のセーフティネットが個人に委ねられる部分が大きくなります。
もう一つは、公的な保障制度の限界です。公的医療保険は治療費の一部をカバーしますが、長期間働けなくなった場合の生活費や、住宅ローン・教育費といった固定費への備えまでは提供しません。このギャップを埋めるための対策が、個人や企業に求められているのです。
- 実施時期: 2026年1月
- 調査方法: インターネット調査
- 対象: 全国の18歳から69歳の男女 3,832名
調査の目的
このような社会課題を定量的に把握するため、同社は広義の「身体リスクへの備え」に関する生活者の実態や潜在的なニーズを探ることを目的として、調査を実施しました。次のセクションでは、その調査結果から明らかになった、私たちの備えの「偏り」と「不安」について詳しく見ていきます。
調査結果で明らかになった「意識と備えのギャップ」

調査では、病気やケガによる治療費への備えが進んでいる一方で、働けなくなったときの収入減に対する備えは著しく遅れているという、大きなギャップが明らかになりました。
「治療費」への備えは充実、しかし「収入減」への備えは手薄
調査では、医療保険や傷害保険といった、病気やケガによる「治療費」を補償する保険の認知率や加入率は非常に高い水準にありました。具体的には、医療補償の認知率は95%以上、加入率は80%以上に達しています。多くの人が治療費への備えは万全にしていると言えるでしょう。
| 補償の領域 | 認知率 | 加入率 |
|---|---|---|
| 医療補償(病気・三大疾病など) | 95%以上 | 80%以上 |
| 傷害補償 | 80%以上 | 約50% |
| 所得補償(GLTD含む) | – | 20%強 |
しかし、その一方で、病気やケガで働けなくなった場合の「収入減」を補う所得補償保険や、団体で加入する長期障害所得補償保険(GLTD)の加入率は、全体のわずか20%強にとどまっています。これは、多くの人が「治療費には備えているが、その間の生活費には備えていない」という実態を如実に示しています。
最大の不安は「生活費の維持」、しかし解決策は知られていない
この備えのギャップは、人々が抱える不安と深く結びついています。調査で、就業不能時の不安として「生活費の維持」を挙げた人は、76%と非常に高い割合でした。さらに、住宅ローンの返済や教育費の負担など、家族の生活基盤を守れるかどうかという切実な悩みが浮かび上がっています。
抱える不安
76%の人が就業不能時の「生活費の維持」に不安を感じている。
現状の備え
所得補償保険やGLTDに加入している人は20%強。特にGLTDについては、70%以上が「制度自体を知らない」と回答。
このように、多くの人が大きな不安を感じているにもかかわらず、その具体的な解決策についての情報が十分に届いていないことが問題です。GLTDについては、その存在や仕組みを「知らない」と回答した人が70%を超えています。不安を抱えながらも、どう備えればよいのか分からないという状況が、多くの生活者を無防備な状態にしていると言えるでしょう。
具体的に何が不安なのか? 就業不能時の切実な悩み
就業不能状態になった際、あなたは最も何を心配しますか。調査では、多くの人が治療費ではなく、「生活費の維持」に強い不安を抱えていることがわかりました。その割合は約76%にのぼります。
では、具体的にどのような生活費が不安な要素なのでしょうか。調査結果からは、現在の生活基盤を守れるかどうか、そして家族の生活を維持できるかどうかという、非常に切実なニーズが浮かび上がっています。
住宅ローンや教育費など「家族の生活」への影響
就業不能時の具体的な不安要因として、多くの人が挙げたのは「住宅ローンの返済」や「教育費の負担」でした。これは、病気やケガで収入が途絶えた場合、家族の生活そのものが脅かされる可能性を意味しています。
- 住宅ローンの返済
- 子どもの教育費の捻出
- 日々の食費や光熱費などの生活費
治療費は貯蓄や公的医療保険、民間の医療保険である程度カバーできても、毎月確実に発生するこれらの固定費・生活費への備えは、多くの人にとって手薄なままです。万が一の際に毎月の収入を補償する仕組みは存在しますが、その存在自体が十分に知られていないのが現状です。
この調査では、就業不能時の不安として生活費の維持を挙げた人のうち、実際に収入減対策の保険に加入しているのは2割強にとどまっています。多くの人が不安を感じながらも、具体的な備え方がわからない、あるいはその選択肢を知らないという「意識と行動のギャップ」が生じているのです。
現代社会を反映、「精神疾患」も身近なリスクに
もうひとつ注目すべきは、就業不能を引き起こすリスクに対する意識の変化です。日常生活で想定するリスクとして、最も高かったのは「がん」でしたが、それに次いで「心筋梗塞・脳梗塞」と並んで「うつ病や適応障害などの精神疾患」を挙げる声が多くありました。
これは、ストレス社会や多様な働き方の広がりを背景に、心の不調が誰にでも起こりうる重大なリスクとして認識されるようになってきたことを示しています。かつては「三大疾病」と呼ばれたがん、心筋梗塞、脳卒中に加え、現代では精神疾患も就業不能リスクの一つとして考慮する必要性が高まっているのです。
解説:所得補償保険とGLTD(団体長期障害所得補償保険)とは?

病気やケガで長期間働けなくなった際、治療費の負担だけでなく、収入が減ってしまうことへの不安は多くの人が抱えています。調査結果でも、収入減への備えが不十分であることが示されました。その解決策として注目されるのが、「所得補償保険」と「GLTD(団体長期障害所得補償保険)」です。
個人でも加入できる「所得補償保険」、企業を通じて加入する「GLTD」の特徴とメリット
これらはいずれも、就業不能状態に陥った際に、給与の一部を補償する仕組みです。公的な傷病手当金などだけでは賄いきれない生活費の不足を補うことを目的としています。両者の主な違いは、加入の経路と保障の期間・内容にあります。
| 比較項目 | 個人向け所得補償保険 | GLTD(団体長期障害所得補償保険) |
|---|---|---|
| 加入方法 | 個人で直接契約 | 企業の福利厚生として導入 |
| 主な特徴 | 定額型の保障が一般的です。保障期間は1〜2年のものが多いとされています。 | 長期にわたる収入補償が可能です。介護休業特約など柔軟な設計ができる場合があります。 |
| メリット | 個人のニーズに合わせて設計できる自由度があります。 | 企業を通じた団体契約のため、個人で加入するより保険料が割安になるケースが多いとされています。 |
調査では、就業不能時の生活費維持に不安を感じる人は76%にのぼる一方、所得補償やGLTDへの加入率は20%強にとどまっています。多くの人が不安を抱えつつも、具体的な対策手段を知らない、という実態が背景にあると考えられます。
個人で加入する所得補償保険は、自分で保障額や期間を選べる自由度が高く、自営業者や企業の福利厚生にない人も加入できます。一方、GLTDは企業が従業員の福利厚生として導入するため、従業員は個別に手続きをせずに加入できる利便性があります。保障内容も長期化や家族の介護など多様なライフイベントに対応できるようカスタマイズされていることが特徴です。
- 傷病手当金との違いは何ですか?
-
公的医療保険から支給される傷病手当金は、標準報酬月額の約3分の2が最長1年6か月支給されます。所得補償保険やGLTDは、この傷病手当金ではカバーしきれない収入減の部分を補填したり、公的保障が終了した後の長期にわたる収入減に備えたりするためのものです。両方を組み合わせることで、より手厚い備えが可能になります。
- 精神疾患による就業不能も補償の対象になりますか?
-
製品の設計によりますが、多くの所得補償保険やGLTDでは、うつ病などの精神疾患による就業不能も補償の対象としている場合があります。調査でも精神疾患が身近なリスクとして認識されていることが示されており、契約時に補償範囲を確認することが重要です。
SOMPOグループの取り組みと提供する保険・サービス
調査結果で浮かび上がった「収入減への備えの不足」と「制度の低い認知度」という課題に対し、調査を実施した損保ジャパンを中心とするSOMPOグループは、さまざまな保険商品やサービスを展開しています。これらの取り組みは、万が一の就業不能に備える経済的補償だけでなく、健康を維持・増進することでそのリスク自体を予防するという、二つの側面からサポートを提供している点が特徴です。
就業不能リスクに対応する3つの保険商品
同グループが提供する、収入減に備える主な保険商品は以下の3つです。
- 所得補償保険
従業員が病気やケガで働けなくなった場合、収入を補償する団体向けの保険です。補償期間は1年から2年程度の定額型となっています。 - 団体長期障害所得補償保険(GLTD)
働けなくなった場合の収入を、より長期にわたって補償する団体向けの保険です。特約を組み合わせることで、家族の介護のために休業・短時間勤務をした場合の収入補償など、多様なニーズにも対応できる柔軟性が特徴です。 - THE カラダの保険
ケガや賠償事故、就業不能による収入減など、個人の身体に関わる幅広いリスクを一括でカバーできる個人向けの総合保険です。年代に応じた複数のプランが用意されています。
付帯サービス:経済的補償だけでなく「予防」にも注力
経済的な補償に加えて、心身の健康維持や就業不能の「予防」に取り組むサービスも提供しています。これは、特に精神疾患への関心が高まる現代社会のニーズを反映した、先進的な取り組みと言えます。
例えば、GLTDの被保険者を対象に、RIZAP株式会社と連携した「カラダづくり体験サービス」を無料で提供しています。これは、食事・運動アドバイスとパーソナルトレーニング体験を通じて、就業不能状態を未然に防ぐ健康増進を目指すものです。また、団体向け保険に加入する企業とその従業員は、心身の健康や日常生活の悩みについて無料で電話相談できる「健康・生活サポートサービス」を利用できます。企業のメンタルヘルス対策としても活用可能です。
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