神戸市で中小企業向け健康経営セミナー開催、元阪神原口氏が両立支援の重要性訴える

神戸市で中小企業向け健康経営セミナー開催、元阪神原口氏が両立支援の重要性訴える

この記事について

編集責任者 河口 武志(株式会社イード コンテンツマーケティング事業部 部長)が監修しています。制度・数値は厚生労働省・金融庁・各保険会社の公表資料など一次情報にあたって確認しています。詳しくは編集方針をご覧ください。

2026年9月17日、SOMPOひまわり生命保険株式会社は、同年9月8日に神戸市で地元中小企業を対象とした「健康経営・両立支援セミナー」を開催したことを発表しました。このセミナーは、がんの治療と仕事の両立支援の重要性を伝えることを目的としており、元プロ野球選手の講演などがおこなわれました。

目次

深刻な地域課題を背景に行政・保険者・民間が連携

神戸市で中小企業向け健康経営セミナー開催、元阪神原口氏が両立支援の重要性訴える

このセミナーが開催された背景には、兵庫県における二つの深刻な課題があります。

一つは、大腸がん検診の受診率が全国平均を下回っていることです。40歳から69歳の対象者のうち、過去1年間に検診を受けた割合は43.2%と、国の目標値である60.0%や全国平均の45.9%よりも低い状況です。早期発見・早期治療の機会が十分に活用されていないことが課題となっています。

もう一つの課題は、従業員が病気になった際の職場環境です。地域の企業を対象とした調査によると、治療と仕事を両立させるための支援プランを策定している企業はわずか5.3%という結果が出ています。多くの企業では、従業員が病気を理由に離職してしまう可能性が高く、これは深刻な人手不足に悩む中小企業にとって大きな経営リスクと言えます。

セミナー開催の背景データ

兵庫県の大腸がん検診受診率(40~69歳、過去1年間)は43.2%で、国の目標(60.0%)や全国平均(45.9%)を下回っています。また、企業における「治療と仕事の両立支援プラン」の策定率は5.3%にとどまっています。

こうした地域課題の解決を目指し、同社は2025年4月に神戸市と締結した「神戸市がん検診受診促進協定」に基づき、行政と保険者と連携してセミナーを企画しました。行政によるがん検診の啓発、保険者による健康経営の推進、民間企業のノウハウといった、三者それぞれの強みを結集することで、従業員の離職防止と継続的な就労支援を後押しすることを目的としています。

セミナーの内容と協会けんぽ・神戸市の具体的な支援策

セミナーでは、主催団体である保険会社だけでなく、行政と保険者がそれぞれの立場から、企業が従業員の健康を守り、仕事と治療の両立を支援するための具体的なプログラムを提示しました。これは、企業が単独で取り組むには難しい課題に対して、外部の専門的な支援を活用できることを示しています。

協会けんぽが提供する「健康経営」の実践サポート

健康保険の保険者である協会けんぽ兵庫支部は、企業の「健康宣言」を起点とした健康経営の実践を促す活動をおこなっています。セミナーでは、企業が従業員の健康状態を把握し、改善につなげるための具体的なサポートメニューが紹介されました。

  • 事業所健康診断カルテ…健康診断の結果を企業ごとに分析・「見える化」したもので、職場全体の健康課題を把握するのに役立ちます。
  • 無料の健康講座…従業員の健康リテラシー向上を目的とした様々なテーマの講座を提供しています。
  • 測定機器のレンタル…血圧計や体組成計など、健康管理に役立つ機器を借りることができます。

これらのサービスを活用することで、従業員一人ひとりの健康づくりを支援する仕組みを、比較的少ない負担で整備できる可能性があります。

神戸市によるがん検診受診促進と現場での申込受付

神戸市健康局は、がんの早期発見・早期治療の重要性を訴え、具体的な行動につなげるための取り組みを紹介しました。セミナー会場では、大腸がん検診の申し込み受付もおこなわれ、参加者がその場で検診を予約できる機会が設けられました。このような「機会提供」は、忙しいビジネスパーソンが検診を先延ばしにしてしまうことを防ぐ一助となります。

知っておきたいこと

治療と仕事の両立支援プランは、実際に策定している企業は全体のわずか5.3%にとどまっています。多くの企業ではまだ具体的な仕組みが整備されていないのが現状です。このように、従業員が病気になった際にどう支えるかを事前に考え、社内ルールとして整えておくことは、離職を防ぎ、人材を守るために非常に重要な経営課題です。

また、保険会社側からは、経済産業省の「健康経営優良法人」に10年連続で認定された自社のノウハウに基づき、離職防止効果が期待できる無料のセミナープログラムが提案されました。このようなセミナーを活用することで、企業は健康経営の専門的な知見を、自社のリソースをあまり割かずに得ることができます。

元プロ野球選手・原口文仁氏が語る「宿命を使命に変えて」

セミナーの第二部では、大腸がんを経験しプロ野球選手として復帰を果たした、元阪神タイガースの原口文仁氏による特別講演がおこなわれました。講演のテーマは、「大腸がんという宿命を使命に変えて」。がんサバイバーとしての生の体験談は、参加した経営者や労務管理者に大きな示唆を与えました。

がんサバイバーとしての実体験から見える、職場のサポートの大切さ

原口氏は、自身の大腸がん発覚から治療、そしてプロスポーツの第一線への復帰に至るまでの道のりを語りました。そこで強調されたのは、単なるアスリートとしての精神力や克服の物語ではなく、周囲の理解と、治療と仕事を両立させるための制度や環境の重要性でした。アスリートだから復帰できたのではなく、「使える制度」や「周りの人や環境」があってこそ実現できた、というメッセージは、企業側の支援体制の大切さを強く訴える内容でした。

この講演は、治療中の従業員が離職せずに働き続けられるために、企業側がどのような物理的・制度的サポートを用意すべきか、その具体的なあり方を考えるきっかけとなりました。多くの企業が直面している「治療と仕事の両立」という課題に対して、体験者自身の言葉によるリアルな提言は、非常に説得力のあるものだったと言えるでしょう。

参加者からの声「物理的なサポートがより重要であることを認識」

セミナー終了後のアンケートでは、参加者から講演に対する率直な感想や、自社の取り組みを見直そうとする前向きな声が寄せられました。これらの声は、講演の内容が単なる知識の共有ではなく、実際の職場環境改善への行動につながるインパクトを持っていたことを示しています。

原口さんの経験談を聞き、アスリートだから復帰出来たのではなく、使える制度、周りの人や環境があってこそだという言葉がすごく心に響きました。当社にも胃がんから復帰してくれた社員がいるので、更に本を読ませていただき、仕組みづくりにこれからも努力します。貴重なお話ありがとうございました。

原口さんの講演をきき、物理的なサポートがより重要であることを認識しました。

一つ目の感想には、既にがんからの復帰者を抱える企業の担当者が、自社の仕組みを見直す決意を表明したことが記されています。これは、セミナーが単なる情報提供の場を超え、具体的な行動変容を促す場として機能したことを意味します。二つ目の「物理的なサポート」という言葉は、メンタル面のケアだけでなく、働き方の調整や設備の整備など、具体的な施策の必要性を痛感した参加者の気づきを反映しています。

企業が考えるべき「両立支援」の視点

アスリートの体験談から学べる重要なことは、病気と闘う個人の「強さ」だけに焦点を当てるのではなく、その人が力を発揮できる「環境」をいかに整えるか、という企業側の視点です。制度の整備や柔軟な働き方の提供など、物理的・制度的なサポートこそが、従業員の離職を防ぎ、貴重な人材を守ることにつながります。

従業員の健康を守る「健康経営」とは?保険加入者にも関係する考え方

セミナーで繰り返し強調された「健康経営」とは、従業員の健康管理を単なる福利厚生ではなく、経営戦略の一環として位置づけ、生産性の向上や人材の定着、ひいては企業の持続的な成長を図る考え方です。単に健康診断を実施するだけではなく、治療と仕事の両立を可能にする職場環境の整備や、病気の予防・早期発見への積極的な取り組みが含まれます。

今回のセミナーでは、兵庫県における大腸がん検診の受診率が国の目標や全国平均を下回っている現状や、企業の治療と仕事の両立支援プラン策定率が低いことが紹介されました。こうした課題の解決に、行政・保険者・民間企業が連携して取り組むことが、従業員の健康を守り、離職を防ぐために重要であることが示されました。

「健康経営」は福利厚生ではなく、持続的な成長のための経営戦略

健康経営の核心は、従業員の健康が企業の業績や成長に直結するという認識です。従業員が病気で離職したり、長期間の休業を余儀なくされたりすることは、貴重な人材の喪失と再教育のコスト、そして業務の停滞をもたらします。そのため、健康経営は、従業員が安心して働き続けられる環境を整えることで、長期的な企業価値を高める投資と捉えることができます。

個人の保険選びに活かす視点

自身や家族の保険を考える際、「もしも病気になったら」というリスクを想定します。この時、勤務先の健康経営への取り組みを、万一の際の重要なセーフティネットの一つとして考慮することも有効です。企業が治療と仕事の両立を支援する体制を整えているかどうかは、病気になっても収入を途絶えさせずに治療に専念できる可能性を高めます。

個人の保険選びにも影響する、企業の健康支援体制

例えば、がんなどの大きな病気をした場合、治療費の負担だけでなく、仕事を休むことによる収入減も大きな不安材料となります。この時、自分が加入している民間の医療保険や所得補償保険は、経済的なリスクをカバーする重要な役割を果たします。

一方で、勤務先が「健康経営」に積極的で、治療と仕事の両立を支援する制度や柔軟な勤務体系を整備しているなら、それは無形の保障とも言えます。こうした職場環境があれば、長期療養による早期退職を防ぎ、回復後の社会復帰の道筋を明確にすることが期待できます。保険を選ぶ際には、このような公的・企業による支援の有無も視野に入れ、自分に必要な保障額や保障期間を総合的に判断する材料にするとよいでしょう。

ライフステージの変化と、自分と家族を守るリスク管理の視点

結婚や出産といったライフステージの変化は、守るべきものが「自分」から「家族」へと広がることを意味します。病気やけがによる経済的リスクも、その影響範囲が大きく変わります。単身の頃は自分自身の生活が脅かされるリスクでしたが、家族がいれば、その生活を支える収入が途絶えることや、治療費の負担が家計を圧迫するリスクへと質的に変化します。

このような変化に備えるには、個人の生命保険や医療保険を見直すことが第一歩です。しかし、それだけでは不十分かもしれません。自身の保障を考える際、勤務先の会社が提供するサポート制度を併せて確認し、全体としてどれだけの備えがあるのかを把握することが、現代のリスク管理には欠かせません。

確認したい会社のサポート制度
  • 健康保険組合の付加給付(医療費の自己負担額の一部を上乗せして支給)
  • 業務外の病気やけがによる休業時の「傷病手当金」の有無と給付額
  • 治療と仕事の両立を支援する制度や相談窓口の整備状況

結婚・出産で変わる、守るべきものとリスク

パートナーや子どもができると、家計を支える役割が生まれます。もし一家の大黒柱が長期療養を必要とする病気になった場合、収入減と治療費の二重の負担が家計を直撃します。この時、会社からの手当や両立支援制度は、家族の生活を守る重要なセーフティネットとなります。

今回のセミナーで紹介されたように、企業における治療と仕事の両立支援プランの策定率は非常に低いのが現状です。これは、いざという時に社内に適切なサポート体制が整っていないリスクがあることを意味します。自分自身や家族を守るためには、「もしもの時、今の会社はどこまでサポートしてくれるのか」を事前に知っておくことが、安心につながります。

保障は個人の保険だけでなく、職場環境も含めて考える時代

将来、管理職となる可能性のある方にとって、このセミナーの内容は、単に「自分が守られる側」としてだけでなく、「部下を支える側」の視点としても捉えることができます。従業員の健康を経営戦略と考える「健康経営」の考え方が広がる中、病気と闘う社員が離職せずに働き続けられる職場環境を整備することは、人材を大切にする会社の証です。

ライフステージの変化に合わせて保険を見直す際には、個人の保障内容と、職場環境が提供する保障の両面から、自分と家族を守るための「総合力」を点検することをおすすめします。働く環境そのものが、いざという時の大きな保障となる時代なのです。

本記事は「SOMPOひまわり生命保険株式会社」が配信したプレスリリースを元に執筆しています。

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著者

株式会社イード コンテンツマーケティング事業部 部長。

広島大学卒業後に慶應義塾大学の大学院に進学。大学院では『ダイレクト・レスポンス・マーケティングにおけるユーザ行動分析に関する研究』を修士論文としてマーケティングの研究に取り組む。

LiPro(婚活)メディアを始め、めしレポ、Spicomi、Career Theoryなど多数サービスの責任者を務める。
特定非営利活動法人 広島経済活性化推進倶楽部の理事に従事。

著書「婚活メンパ革命〜自分を削る婚活は卒業!消耗しない人が勝つ「婚活フィルタリング戦略」〜」を発売。

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