2026年9月15日、第一ライフグループが現役就労者400名を対象に、ねんきん定期便の確認状況と老後資金準備の実態についてアンケート調査を実施したと発表しました。この調査からは、毎年届く大切な年金情報が、多くの人にとって十分に活用されていないという実態が明らかになりました。
ねんきん定期便、内容まで確認しているのは約3割

ねんきん定期便とは、将来受け取れる年金の見込み額などが記載され、老後の生活設計を考えるうえで重要な手がかりとなる通知書です。しかし、直近で受け取った定期便を「内容まで確認した」と回答した人は、全体の33.5%にとどまりました。
「ほとんど見ていない」(20.25%)と「受け取ったか覚えていない」(31.25%)を合わせると、実に過半数の51.5%が年金見込み額を十分に確認できていない状態であることが分かります。せっかくの情報が、多くの人の手元で見過ごされているのです。
また、年代別に見ると確認度に明確な差がありました。「内容まで確認した」割合は、20代では16%だったのに対し、30代で31%、40代で39%、50代で48%と、年齢が上がるにつれて段階的に高まっています。老後が近づくほど、年金を自分ごととして受け止め、情報をしっかり確認する傾向が見られます。
一方、20代では「受け取ったか覚えていない」が49%と約半数に達しました。若い世代ほど年金への心理的な距離が大きく、関心が薄い傾向が浮き彫りになった結果といえるでしょう。
- ねんきん定期便を「内容まで確認した」人は33.5%のみ。
- 約5割(51.5%)は年金見込み額を十分に確認できていない。
- 20代では約半数が「受け取ったか覚えていない」と回答。
- 年代が上がるほど定期便を確認する傾向が強まる。
年金見込み額を「正確に覚えている」人はわずか1割

ねんきん定期便を目にしても、その内容が記憶に残っている人は多くありません。第一ライフグループの調査によると、定期便に記載された将来の年金見込み額を「正確に覚えている」と回答した人は全体の10.5%に過ぎませんでした。
- 「ざっくり覚えている」:30.75%
- 「見たが覚えていない」:30.25%
- 「そもそも見ていない」:28.5%
「見たが覚えていない」と「そもそも見ていない」を合わせると、約6割に上ります。老後にいくら受け取れるかを試算する出発点となる数字が、多くの人の記憶に定着していないことがわかります。
年代別に見ると、若い世代ほど心理的な距離の大きさが顕著です。「そもそも見ていない」という回答は、20代と30代でそれぞれ40%と突出して高くなりました。一方、老後が近づく50代でも「正確に覚えている」人はわずか7%でした。これは、年齢を重ねても具体的な金額を把握できている人はごく少数であることを示しています。
年金見込み額は老後資金計画の基本となる重要な数字です。しかし、多くの人がこの数字を記憶できておらず、具体的な備えを考える土台すら持てていないのが現状です。定期便を「見る」ことと、その内容を「覚える」ことの間には大きな隔たりがあります。
ねんきん定期便を見ても約6割が「特に何もしていない」
ねんきん定期便を確認した人のうち、63%がその後、老後資金について「特に何もしていない」という調査結果が明らかになりました。具体的な行動を見ると、「貯蓄の計画を見直した」は16.25%、「保険や個人年金などを検討した」は14.25%、「老後の生活費を試算した」は13%、「家族と話し合った」は10.5%と、いずれも低水準にとどまっています。定期便を目にしても、それが具体的な行動に結びついていない「確認止まり」の状態が浮き彫りになっています。
では、なぜ行動に移せないのでしょうか。「特に何もしていない」と回答した252名にその理由を尋ねました。
行動しない理由として最も多かったのは「特に不安を感じなかったから」(40.08%)でした。将来の年金額を見ても、現時点で危機感を覚えず、具体的な準備の必要性を感じていない人が一定数存在することがわかります。
次いで「何をすればよいかわからないから」(26.59%)と「見込み年金額だけでは判断できないと思ったから」(13.49%)が続きました。不安は感じていても、具体的な行動の仕方が分からず、そのまま立ち止まってしまう人も少なくありません。この二つの理由を合わせると、行動しない人の約4割を占めています。
この結果から、定期便を見ても行動に移さない背景には、大きく分けて二つの心理が働いていることが読み取れます。一つは、そもそも問題意識を持たない層、もう一つは、問題は認識しているものの、その解決策が分からずにいる層です。
年金額だけで老後生活費が「まかなえない」と感じる人は約5割、40代・50代では約7割

ねんきん定期便に記載された将来の年金見込み額だけで、老後の生活費をまかなえると思うかどうかを尋ねたところ、全体の54.25%が「不足すると思う」と回答しました。「わからない」が23%、「十分まかなえる」「ある程度まかなえる」と回答した層は合計で22.75%にとどまりました。公的年金だけでは老後の生活が不安だと感じている人が過半数に上る結果となりました。
| 年代 | 「不足すると思う」と回答した割合 |
|---|---|
| 20代 | 36% |
| 30代 | 42% |
| 40代 | 70% |
| 50代 | 69% |
年代別に見ると、不足感には大きな差があります。40代と50代では約7割が「不足すると思う」と回答しており、20代の36%、30代の42%と比べて約2倍の水準です。老後の生活がより現実的になる年代ほど、公的年金だけでは不十分だという認識が強まっています。
老後の生活がより現実的になる40代以降では、公的年金だけでは不十分だという認識が強まっています。一方で、まだ老後が遠いと感じやすい20代や30代では、その認識は相対的に低くなっています。
不足を強く実感する40代・50代は、将来への備えを始める時間的な余裕が少なくなっている世代でもあります。この点が、老後資金準備における大きな課題といえるでしょう。
調査結果から浮かび上がるのは、若い世代のうちから老後資金の備えを始めておくことの重要性です。不足感がまだ低い時期から、時間を味方につけた長期的な準備を始めることで、老後に近づいてから慌てることなく、計画的に資金を準備することができます。
老後資金の備え、関心は「投資」と「預貯金」に集中

調査によると、老後資金の不足に備える方法として関心が高いのは「新NISA等の投資」(36%)と「預貯金」(34.75%)でした。一方で、「個人年金保険」への関心は19%にとどまり、約5人に1人という結果です。老後資金準備への意識が高まるなか、多くの人が投資や預貯金に目を向ける一方、個人年金保険の特徴やメリットについては十分に認知されていない可能性があります。
- 新NISA等の投資: 36%
- 預貯金: 34.75%
- 働く期間を延ばす: 19.5%
- 個人年金保険: 19%
この結果は、値上がり益を期待できる投資や、元本が目減りしない預貯金が、老後の備えとしてイメージしやすい選択肢であることを示しています。一方、個人年金保険は、その仕組みやメリットが十分に理解されていないのかもしれません。
個人年金保険への関心は2割以下
「個人年金保険」への関心が他の手段に比べて低い背景には、どのような理由が考えられるでしょうか。一つは、投資や預貯金に比べて商品の仕組みが複雑に感じられ、わかりにくいという点です。また、長期間にわたって保険料を積み立てるというイメージから、「手軽さ」に欠けると感じる人もいるのかもしれません。
「何をすればよいかわからない」層への選択肢としての可能性
同じ調査では、ねんきん定期便を見ても行動しない理由として「何をすればよいかわからないから」が26.59%に上りました。このような方にとって、個人年金保険は検討すべき選択肢の一つとなり得ます。
個人年金保険には、主に以下のような特徴があります。
- 運用判断が不要: 投資信託のように自分で運用商品を選んだり、タイミングを判断したりする必要はありません。
- 確実な積み立て: 契約時に定めた計画に沿って、着実に老後資金を積み立てられます。
- 税制優遇: 所定の条件を満たせば、支払った保険料の一部が「個人年金保険料控除」の対象となり、所得税や住民税の負担を軽減できます。
つまり、「将来のために備えたいけれど、何から始めたら良いかわからない」「投資は不安だが、預貯金の利息だけでは物足りない」と感じている人にとって、個人年金保険は専門知識がなくても始めやすく、計画性と一定の安心感を持って備えられる方法と言えます。老後資金準備の選択肢を広く知り、自分に合った方法を検討することが大切です。
「確認止まり」から一歩踏み出すための第一歩
今回の調査では、ねんきん定期便を見た後も63%の人が「特に何もしていない」と回答しました。確認はしても、そこから具体的な行動に移せない「確認止まり」の状態が課題です。この状況を打破し、将来の安心につなげるためには、定期便を単なる「通知」から、行動を促す「きっかけ」へと捉え直すことが大切です。
ねんきん定期便を「見る」から「考える」へ
まずは、届いたねんきん定期便に目を通す習慣をつけましょう。調査では、定期便を受け取っても「ほとんど見ていない」「受け取ったか覚えていない」人が半数を超えていました。特に20代では「受け取ったか覚えていない」が約半数に達しています。
年金は将来の生活の基盤となる大切なものです。年に一度、誕生月に届く定期便を、自分の老後を考える機会として積極的に活用しましょう。記載されている「将来の年金見込み額」は、老後資金の準備をスタートさせるための重要な数字です。
ねんきん定期便を確認する際は、単に金額を見るだけでなく、「この金額だけで老後の生活は成り立つだろうか?」と自分に問いかけてみましょう。調査では、全体の54.25%、特に40代・50代では約7割の人が「不足すると思う」と回答しています。この「不足感」こそが、準備を始める原動力となります。
老後資金準備の選択肢を知る
不足分を補うためには、公的年金以外に自分で備える必要があります。調査で老後資金準備の方法として関心が高かったのは「新NISA等の投資」(36%)と「預貯金」(34.75%)です。そのほか、「働く期間を延ばす」「個人年金保険」など、多様な選択肢があります。
「何をすればよいかわからない」と感じていませんか?
行動に移せない理由として、「何をすればよいかわからないから」と答えた人は26.59%いました。老後資金の備えにはいくつかの方法があり、それぞれに特徴があります。次のステップを参考に、自分に合った方法を探してみましょう。
将来受け取れる年金の見込み額を確認し、それが将来の生活費として十分かどうかを考えます。不足感を具体的な数字で把握することが第一歩です。
- 預貯金:元本が保証され、流動性が高いのが特徴。一方で、低金利環境では資産が大きく増えにくい面もあります。
- 投資(新NISA等):長期的に資産を増やす可能性がありますが、元本割れのリスクも伴います。自分で運用方針を考える必要があります。
- 個人年金保険:保険会社が運用を担い、契約によっては払い込んだ保険料の累計額が保証される商品もあります。税制優遇を受けられるタイプもあります。
自分のリスク許容度や、老後までにどれくらいの時間があるか、毎月どれくらい積み立てられるかを考えます。例えば、投資の値動きに不安があるなら、元本保証の商品を選ぶなど、無理のない範囲で検討しましょう。
大切なのは、完璧な方法を探そうと悩む前に、まずは小さな一歩を踏み出すことです。ねんきん定期便は、あなたの老後資金準備を始める、最も身近で確かなきっかけです。
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