保険は本数が多いほど安心、ということはありません。複数の契約に入っていても、保障が重なっていれば保険料だけが二重に出ていきます。税金の控除にも上限があるため、一定を超えると保険を増やしても税は減りません。
この記事では、いま入っている保険が多すぎないかを自分で確かめる4つの手順を、公的な資料をもとに整理します。年末調整の書類が何枚も届いて困っている方も、まずここから確認してください。
手順1:証券を全部出して、1枚の表にする
最初にやることは、加入しているすべての保険証券を手元に集めることです。保険証券が見つからない場合は、預金通帳の引き落とし履歴を見れば保険会社名がわかります。
そのうえで、契約ごとに次の6項目を書き出します。書き出すだけで、重なりや無駄が見えてきます。
| 書き出す項目 | 証券のどこを見るか |
|---|---|
| 保険会社名・商品名 | 証券の表面 |
| 主契約の内容と金額 | 「主契約」「基本契約」の欄 |
| 付いている特約の一覧 | 「特約」の欄。ここが重なりやすい |
| 保障が続く期間 | 「保険期間」。終身か、○歳までか |
| 保険料を払う期間 | 「保険料払込期間」。保険期間と違うことがある |
| 毎月の保険料 | 「保険料」。年払いなら12で割る |
「保険期間」と「保険料払込期間」は別物です。60歳で払い終えても保障が一生続くものもあれば、払い続けている間しか保障がないものもあります。ここを混同している方は少なくありません。
手順2:同じ保障が重なっていないかを見る
特約の欄を横に並べると、同じ名前の特約が複数の契約に付いていることがあります。問題は、重なっていても給付が2倍になるとは限らないことです。
保険金の支払い方には2種類あります。
- 定額払い……実際の費用に関係なく、決められた金額が支払われる。死亡保険金や入院日額などが該当します。この場合は複数の契約からそれぞれ受け取れます
- 実損払い……かかった費用の分だけが支払われる。複数の契約に付けていても、重複しては支払われません
代表例が先進医療特約です。医療保険とがん保険の両方に付けていても、実際にかかった技術料しか出ないため、片方の保険料は無駄になります。仕組みと見直し方は先進医療特約は必要?複数の保険で入っていたらどうなる?で詳しく解説しています。
手順3:生命保険料控除の上限を超えていないか確認する
年末調整で証明書が何枚も届いて困っている方は、ここが重要です。生命保険料控除には合計の上限があります。
国税庁によると、2012年(平成24年)1月1日以後に契約した保険の控除額は次のとおりです。
| 年間に払った保険料 | 控除される額 |
|---|---|
| 20,000円以下 | 全額 |
| 20,000円超 40,000円以下 | 保険料×1/2+10,000円 |
| 40,000円超 80,000円以下 | 保険料×1/4+20,000円 |
| 80,000円超 | 一律40,000円 |
この計算を「一般生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」の3つの区分それぞれで行います。ただし国税庁は、「この合計額が120,000円を超える場合には、生命保険料控除額は120,000円となります」と定めています。
つまり所得税の控除は、どれだけ保険料を払っても合計12万円で打ち止めです。年間8万円を超えて払った区分は、それ以上払っても控除は1円も増えません。
なお2026年(令和8年)分からは、23歳未満の扶養親族がいる場合に限り、一般生命保険料の控除額の上限が40,000円から60,000円に引き上げられます。住民税にも別の上限があるため、詳しくはお住まいの市区町村の案内で確認してください。
出典:国税庁タックスアンサー No.1140 生命保険料控除(令和8年4月1日現在法令等)
手順4:判断できなければ、証券を持って相談する
ここまでやっても「この特約が必要かどうか」は判断が難しい部分です。証券を全部持って無料相談に行けば、一覧表にしてもらえます。加入先がばらばらでも、まとめて整理してもらえるのが窓口の基本サービスです。
どこに行くか迷う場合は、生命保険協会の「代理店業務品質評価」で認定を受けている代理店から選ぶと判断材料になります。どの代理店が認定されているかは保険代理店ランキング|ほけんの窓口57.3%は2位の5倍。496人調査の実態に一覧でまとめています。
相談の前に伝えておくとよいこと「今日は今の契約の整理だけをしたい」と最初に伝えておくと、話が整理の方向に進みます。また、複数の保険会社の商品を扱う代理店には、比べた商品の範囲と、その商品を勧める理由を説明する義務があります。提案を受けたら「何社の中から比べましたか」「この商品を勧める理由は何ですか」と聞いて構いません。
何社も入っていて整理がつかない方へ|証券を見ながらFPが無料で一覧にしますよくある質問
保険は何本までが適正ですか?
本数に正解はありません。判断の軸は「必要な保障が足りているか」と「同じ保障が重なっていないか」の2つです。1本でも足りている人もいれば、5本でも重なりがなく無駄のない人もいます。本数で判断しないでください。
重なっている保険は解約してよいですか?
すぐに解約しないでください。解約には次の注意点があります。
- いま健康状態に不安があると、解約後に新しい保険へ入れないことがあります
- 貯蓄性のある保険は、途中で解約すると払った額を下回ることがあります
- 古い契約のほうが条件がよい場合があります
別の保険に入り直す場合は、新しい契約が成立してから解約するのが鉄則です。
保険証券が見つかりません
まず保険会社のマイページやコールセンターで契約内容を確認できます。保険会社名がわからない場合は、預金通帳の引き落とし履歴を見れば保険料の引き落とし先がわかります。証券の再発行は、多くの保険会社で手続きできます。
年末調整の証明書が何枚も届きます。全部出す必要はありますか?
控除の上限に達していれば、それ以上の証明書を出しても税額は変わりません。ただし3つの区分(一般・介護医療・個人年金)のどれに当たるかは証明書に書かれており、区分ごとに上限が別です。どの証明書がどの区分かを確認したうえで、区分ごとに上限まで使うのが確実です。迷う場合は全部提出して問題ありません。
まとめ
- 本数ではなく「重なり」と「上限」で判断する
- まず全部の証券を1枚の表に書き出す。主契約・特約・保険期間・払込期間・月額の5点
- 実損払いの保障(先進医療特約など)は重複しても2倍出ない。保険料だけが二重になる
- 所得税の生命保険料控除は合計12万円が上限。超えて払っても控除は増えない(国税庁)
- 判断がつかなければ証券を全部持って無料相談。解約は新しい契約が成立してから

