医療保険やがん保険に加入すると「先進医療特約」を付加することができます。先進医療特約の中には安い保険料で大きな保障を受けられるものがありますが、本当に必要なのか判断に困る場合もあります。また、保険料が安いため、重複で付加していることに気付かないケースもあります。今回は、先進医療特約の必要性や、複数の保険に付加している場合の対応について説明します。
目次
そもそも「先進医療特約」とは
まずは、「先進医療特約」の概要と保険料の相場について解説します。
先進医療とは
先進医療とは、最先端の高度な医療技術のうち厚生労働大臣によって承認されたものをいいます。先進医療は厚生労働省が認可した医療施設で受けることができますが、技術料については公的医療保険が適用されないため、全額自己負担となります。平成29年11月1日時点では、104種類の医療技術が先進医療として認定されています。
先進医療特約とは
先進医療にかかる費用(技術料)は全額自己負担となるため、医療費が家計を圧迫することがあります。先進医療特約とは、先進医療の技術相当額が実費で保障される特約であり、保険に付加することで経済的負担を減らすことができます。
先進医療特約はがん保険や医療保険に付加するタイプが主流ですが、古い契約の場合は付加できないこともあります。そこで現在では、先進医療に特化した「先進医療保険」も販売されています。
先進医療特約の費用の目安
先進医療特約の保険料相場は月額60~100円程度であり、比較的安価です。月々の保険料を100円と仮定した場合、1年でも保険料の払込総額は1,200円であり、家計への負担はそれほど大きいものではないと言えます。
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先進医療特約が安く付加できるとは言え、不要な特約であれば払った保険料は無駄になってしまいます。ここでは、先進医療特約が本当に必要なのかについて解説します。
先進医療は高額な自己負担が発生
先進医療は公的医療保険が適用されないため、医療費が高額となることがあります。平成28年度の1件あたりの技術料平均は、陽子線治療が約276万円、重粒子線治療が約309万円と高額であり、これらはすべて自己負担です。陽子線治療と重粒子治療はどちらも、日本人の2人に1人がかかると言われている「がん」の治療に利用される技術であり、自分とは関係ないと言い切ることは難しい治療です。
わずかな保険料の追加で大きな保障を得られる
先進医療特約を付加すると、安価な保険料を支払うだけで先進医療の技術料が実費で保障されます。わずかな保険料で大きな保障と安心を得られるということは、先進医療特約を付加する大きなメリットです。万が一の場合にも、費用を気にすることなく最先端の治療を受けることができます。
先進医療を受ける人はわずか
先進医療特約が少額の保険料で付加できるということは、給付金の支払いがあまり発生していないことを意味します。2016年度の陽子線治療と重粒子線治療の実施件数の合計は4,900件程度ですが、がんの患者数が100万人を超えることから考えると、先進医療を受ける人自体はそれほど多くはありません。したがって、受ける確率があまり高くない先進医療に備えて月々100円の保険料を支払うことを惜しいと考えるのかどうかによって、先進医療特約の必要性も変わると言えるでしょう。
先進医療特約が重複していたらどうなる?
最後に、複数の契約で先進医療特約を付加していた場合の取り扱いについて説明します。
先進医療特約は実損払い
保険金と給付金は「定額払い」と「実損払い」の2つに大きく分かれています。まず、実際にかかった費用に関係なく、契約時に定められた金額を支払うことを「定額払い」といいます。死亡保険金などは定額払いにあたり、被保険者が死亡すると葬式費用の高低などに関係なく、決められた死亡保険金が受取人に支払われます。
つぎに、実際に発生した費用のみを支払うことを「実損払い」といい、先進医療特約はこちらに該当します。あくまでかかった費用の分だけが保障されるため、複数の契約に先進医療特約を付加していたとしても給付金が重複して支払われることはありません。
先進医療特約が重複している場合の扱い
先進医療特約は重複支払いが行われないため、複数の契約に付加すると保険料が無駄になってしまいます。そのため何種類かの保険に加入している場合は、先進医療特約が重複していないかを見直す必要があります。医療保険とがん保険で先進医療特約が重複していた場合には、医療保険にだけ付加するようにすればがん以外の先進医療についても保障されるのでおすすめです。
まとめ
先進医療は自己負額が高額となるケースがある一方、受ける人があまり多くない治療でもあります。先進医療特約について正しく理解し、家計の状況を考慮しながら検討や見直しを行うことが大切です。
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