2026年8月31日、株式会社ABCash Technologiesは、「防災の日」に合わせて実施した『災害時のお金の備え(生活防衛資金)に関する実態調査』の結果を発表しました。この調査からは、多くの人が災害時の経済的なリスクに強い不安を抱えつつも、実際の備えは十分ではない実態が明らかになっています。
調査結果の概要:約9割が「災害時のお金」に不安

地震や豪雨などの自然災害は、住まいや生命だけでなく、収入や生活の基盤にも深刻な影響を与える可能性があります。防災グッズや非常食など物理的な備えへの意識が高まる一方で、こうした「もしもの時」に必要な「お金の備え」についての意識と実態に、大きなギャップがあることが調査で浮き彫りになりました。
- 災害時のお金に不安を感じている人は93.0%にのぼる。
- 生活防衛資金として「3ヶ月以上必要」と考える人は73.7%。
- しかし、実際に3ヶ月分以上を確保できている人は30.7%にとどまる。
高い不安感と、理想と現実のギャップ
株式会社ABCash Technologiesの調査によると、災害や予期せぬ出来事が起きた際のお金について、「とても不安に感じる」「やや不安に感じる」と回答した人は合わせて93.0%に達しました。これは約9割もの人が、災害そのものだけでなく、それに伴う経済的なリスクに強い懸念を抱いていることを示しています。
さらに注目すべきは、理想と現実の差です。生活が一時的にストップした場合に必要な「生活防衛資金」として、3ヶ月分以上の備えが必要だと考える人は73.7%いましたが、実際にその額を確保できている人は30.7%しかいませんでした。必要だと思う額の半分以下しか備えられていない人が多いという、理想と現実の大きなギャップが存在しているのです。
生活防衛資金とは何か?
「生活防衛資金」とは、病気や怪我、失業、そして今回の調査テーマである災害など、予期せぬ事態により収入が減少または途絶えた場合に、当面の生活を維持するために準備しておくお金のことを指します。非常食や防災グッズが「生き延びるための道具」だとすれば、生活防衛資金は「生活を継続させるための燃料」と言えるでしょう。
生活防衛資金の備えられない理由とその背景

理想と現実のギャップが大きい生活防衛資金の備え。その背景には、単純にお金がないという理由だけでなく、どのように備えればよいのか分からないという知識不足も影響していることが、株式会社ABCash Technologiesの調査結果からうかがえます。
準備できない理由の上位は経済的要因
- 1位:毎月の生活費で余裕がない(52.9%)
- 2位:収入が十分ではない(44.3%)
- 3位:いくら準備すればよいか分からない(23.4%)
多くの人が生活防衛資金を準備できない理由として、まず挙げるのは経済的な要因です。半数以上の人が「毎月の生活費で余裕がない」と回答し、約4割が「収入が十分ではない」と感じています。これは、日々の生活が精一杯で、将来の不測の事態に備えてまとまった金額を貯蓄する余裕を持てない現状を表しています。家計がギリギリの状態では、たとえ必要性を理解していても、具体的な行動に移すことは難しいといえるでしょう。
貯めるための知識や判断の難しさも障壁に
注目すべきは、3番目に多い理由が「いくら準備すればよいか分からない」である点です。これは、経済的な余裕がないこととは別の、知識や判断基準の不足が障壁となっていることを示しています。
調査では、「生活防衛資金として必要なことを知らなかった」や「貯蓄の優先順位が分からない」といった声も見られました。つまり、多くの人は「もしもの時に備えたい」という漠然とした不安は抱えつつも、具体的に「何のために」「どのくらいの額を」「どのような順序で」貯めるべきなのかが分からないため、行動に移せずにいるのです。
あなたは、もしもの時のために必要な金額と、その貯め方について、明確な目標を持っていますか。
この「知識不足」は、単に情報が足りないだけでなく、多様な情報の中から自分に合った正しい判断を下すことの難しさに起因している可能性もあります。生活防衛資金の準備を進めるためには、まずはこうした不安や疑問を解消するための第一歩を踏み出すことが求められます。
資産形成(投資)との優先順位は?約9割が生活防衛資金を重視

生活防衛資金の必要性は感じつつも、経済的な理由や知識不足から十分に準備できていない現状が明らかになりました。では、将来のお金を増やす「投資」と、万が一のための「備え」、どちらを優先すべきと考える人が多いのでしょうか。
投資と備え、どちらを優先すべきか
調査では、資産形成と生活防衛資金の優先順位について尋ねています。その結果、「まず生活防衛資金を確保してから投資を始めるべき」という考えが45.9%、「生活防衛資金と投資を並行して進めるべき」が41.0%となりました。両者を合わせると、全体の86.9%が生活防衛資金を優先するか、少なくとも投資と並行して準備すべきと考えていることが分かります。
- まず生活防衛資金を確保してから投資を始めるべき: 45.9%
- 生活防衛資金と投資を並行して進めるべき: 41.0%
- 両者を合わせた割合: 86.9%
これは、投資による資産形成への関心が高まる中でも、多くの人が「万が一に備えたお金をまずは確保することが重要」と認識していることを示しています。投資は長期的な資産形成の有効な手段ですが、その土台として、生活を守るための流動性の高い資金が不可欠だと感じている人が大多数と言えるでしょう。
調査結果が示す意識の変化
この結果は、単純に「投資か、貯蓄か」という二択ではなく、「まずは生活を守るための基礎的な備えを固め、その上で余剰資金を投資に回す」という段階的な考え方が広く浸透していることを示唆しています。災害や不測の事態が身近なリスクとして認識されるようになった現代において、経済的なセーフティネットの構築が資産形成の前提として位置づけられつつある意識の変化が読み取れます。
将来のお金を増やす投資と、生活を守るための備えは、家計の両輪としてバランスよく考えることが重要です。
ライフステージの変化と生活防衛資金の考え方

調査では、多くの人が生活防衛資金を十分に確保できていない現状が明らかになりました。しかし、必要な備えの額は、結婚や出産といったライフステージの変化に応じて変わっていくものです。今の備えが将来も十分かどうか、定期的に見直すことが大切です。
結婚・出産で変わる「もしも」のリスク
結婚や出産、子どもの成長は、かけがえのない喜びをもたらしますが、同時に想定すべきリスクも変化させます。例えば、単身世帯と夫婦世帯、子育て世帯では、災害時や病気、失業といった「もしも」の時に必要となる生活費や、収入が途絶えるリスクの規模が大きく異なります。
- 収入源の依存度:夫婦共働きか片働きかで、収入が途絶えた時のダメージが異なる。
- 必要生活費の増加:家族が増えると、食費や光熱費、教育費など、維持するための支出が増える。
- 想定外の出費の多様化:子どもの急な病気やケガ、住宅の修繕など、家族単位で発生する突発的な出費の可能性が高まる。
備えの額と方法を見直すタイミング
では、どのタイミングで生活防衛資金の見直しをすればよいのでしょうか。調査では「いくら準備すればよいか分からない」という知識不足も指摘されています。ライフステージが変わる節目だけでなく、定期的に家計を見直す習慣を持つことが、理想と現実のギャップを埋める第一歩です。
まずは現在の1ヶ月の生活費(住居費、食費、水道光熱費など)を計算します。その金額を元に、「3ヶ月分」「6ヶ月分」など、あなたの家族構成や職業の安定性に合わせた目標額を設定します。
すぐに引き出せる預貯金が、目標額に対してどの程度あるかを確認します。調査のように「必要と思う額」と「実際の額」に差があることは珍しくありません。現状を把握することが大切です。
毎月の収支を踏まえ、目標額に達するための無理のない計画を立てます。給与天引きや自動積立を利用すると、確実に貯めやすいでしょう。調査結果にある「生活防衛資金を優先」する考え方が、ここで活きてきます。
防災の日など、年に一度でもこうした見直しの機会を設けることで、ライフステージの変化に応じた適切なお金の備えを整えていくことができます。万が一の時、家族の生活を守る準備は、物理的な備えと同様に重要なのです。
具体的な備えを始めるための第一歩
調査では、生活防衛資金が「必要」と感じていても、実際に準備できている人は少数派でした。背景には、経済的な理由や「いくら準備すればよいか分からない」という知識不足があることが分かっています。しかし、理想と現実のギャップにためらっているだけでは、いざという時のお金の不安は解消できません。ここでは、無理なく備えを始めるための具体的な一歩をご紹介します。
まずはここから:完璧を目指さず、できることから始めましょう
生活防衛資金の一般的な目安は、生活費の3カ月から6カ月分と言われています。しかし、いきなり大きな金額を目標にするとハードルが高くなります。まずは、今のご自身の状況に合わせた「必要な額」を考えてみましょう。
- 現在の1カ月の生活費を把握する:家賃や食費、光熱費、通信費など、毎月確実に発生する費用を洗い出します。
- 「もしも」の時に想定される追加支出を考える:転職活動費や医療費の自己負担分など、急な出費の可能性についても考慮します。
- ライフステージに応じて目標を調整する:単身者と家族がいる場合では必要額が異なります。結婚や出産などライフイベントの後は、見直すタイミングです。
目標額が決まったら、次は準備の仕方です。毎月の生活費に余裕がない場合でも、少しずつ積み上げていく方法があります。
- 「まずは1カ月分」を目標にする:最終目標を3カ月分としつつ、最初の小さな目標を1カ月分に設定します。達成感が次のステップへの励みになります。
- 臨時収入の一部を生活防衛資金に充てる:ボーナスや副収入、使い道が決まっていないお年玉などが入った時に、一部を貯蓄に回す習慣をつけます。
- 預け先は流動性を重視する:生活防衛資金は、いざという時にすぐに引き出せる状態で保有することが重要です。普通預金や定期預金の一部など、換金性の高い金融商品が適しています。
生活防衛資金は、投資などで増やす目的のお金とは分けて考えましょう。万が一の時に確実に使えることが第一の目的です。そのため、値動きのリスクがある商品に預けるよりも、安全で確実に引き出せる形で保有することが基本です。資産形成と生活防衛は、目的に応じて分けて準備していくことが大切です。
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