ドル建て保険のメリットやデメリットとは?円安なら有利!?

この記事について

編集責任者 河口 武志(株式会社イード コンテンツマーケティング事業部 部長)が監修しています。制度・数値は厚生労働省・金融庁・各保険会社の公表資料など一次情報にあたって確認しています。詳しくは編集方針をご覧ください。

「ドル建て保険」という名前は聞いたことがあっても、その仕組みや円建て保険との違いを正確に説明できる人は少ないかもしれません。特に円安が話題になると「ドル建て保険は今が有利なのでは」と気になった方もいるのではないでしょうか。

この記事では、ドル建て保険の基本的な仕組みから、メリットとデメリット、円高・円安それぞれの局面でどう影響を受けるのかまで、順を追って解説します。生命保険を選ぶ際の選択肢を広げる材料として役立ててください。

目次

ドル建て保険とは何か

ドル建て保険とは、保険料の払込みと保険金の受け取りをどちらもドルで行う生命保険です。加入者は日本円で保険料を払い込みますが、保険会社がその円をドルに換算して運用します。イメージとしては、アメリカの生命保険に加入しているようなものと考えるとわかりやすいでしょう。

保険料も保険金も為替レートで変動する

ドル建て保険では、保険会社が保険料を計算する基準日を設けており、その日の為替レートによって円換算の保険料が決まります。毎月の保険料が50ドルと固定されていても、先月は5,000円だった保険料が今月は6,000円になるといったように、円換算額は毎回変わる可能性があります。

保険金の受け取りについても同じ考え方が当てはまります。死亡保険金が1万ドルの契約であれば、被保険者が死亡した日の為替レートで円換算の保険金額が決まります。1ドル100円のときは100万円、1ドル120円のときは120万円と、受け取れる金額に差が出るわけです。

予定利率が高めに設定されやすい理由

保険会社は将来の保険金支払いに備えて保険料の一部を積み立て、責任準備金として株式や国債などで運用しています。この運用で得られる利益をあらかじめ見込み、保険料から割り引く率のことを「予定利率」と呼びます。

生命保険文化センターが公開した2023年時点の情報によると、米国債の利回りが日本国債の利回りより高い状況が続いていたことから、外貨建て保険の予定利率は円建て保険より高めに設定される傾向があるとされています。ただし金利情勢は常に変動するため、現在の日米金利差や実際の予定利率の水準については、加入を検討している保険会社の公式情報で最新の数値を確認することをおすすめします。

ドル建て保険のメリット

ドル建て保険には、円建て保険にはない特徴がいくつかあります。ここでは貯蓄性の高さや保険料の割安感、為替変動によって得られる利益について見ていきます。

円建てより貯蓄性が高くなりやすい

同じ金額を投資する場合、金利が低い商品より金利が高い商品で運用したほうが、得られる運用益は大きくなります。マイナス金利政策が続く日本と、日本より金利水準が高い国とで同条件の投資をした場合、満期時の運用益が大きいのは金利が高い国のほうです。

この金利水準の違いが、円建てよりドル建ての保険商品のほうが貯蓄性が高いと言われる主な理由です。

保険料が割安になりやすい

運用先の金利が高いほど、保険会社が期待できる運用益も大きくなります。運用益が大きくなれば予定利率も高く設定でき、その結果として保険料の割引率も大きくなります。同じ保障内容であっても、予定利率が高いほど保険料は安くなる仕組みです。

円安に動くと為替差益が得られる

円安とは、他国の通貨に対して円の価値が下がることです。1ドル100円が1ドル120円になるような変動を指します。

ドル建て保険では、保険金などを受け取るタイミングで円安になっていると、為替差益が発生する場合があります。例えば、為替レート1ドル100円のときに満期金1万ドル(一時払い)の保険に加入したとします。満期時の為替レートが1ドル100円のままなら満期保険金は100万円ですが、1ドル120円まで円安が進んでいれば120万円となり、予定利率による増加分に加えて20万円の為替差益も得られる計算になります。

円高に動くと保険料が安くなる

円高とは、他国の通貨に対して円の価値が上がることです。1ドル100円が1ドル90円になるような変動がこれに当たります。

毎月の保険料が100ドルの契約を例にすると、為替レートが1ドル100円のときの保険料は1万円です。これが1ドル90円まで円高が進むと、同じ100ドルでも保険料は9,000円に下がります。保障内容が変わらなくても、円高に動けば支払う保険料は安くなるわけです。

ドル建て保険のデメリット

為替の動きは保険料や保険金を有利にする一方で、逆方向に振れれば負担が増える要因にもなります。手数料や商品のわかりにくさも含めて、注意すべき点を確認しておきましょう。

円高に動くと為替差損が出る可能性がある

保険金を受け取るタイミングで円高になっていると、逆に為替差損が生じる可能性があります。為替レート1ドル100円のときに満期金1万ドル(一時払い)の保険に加入した場合、満期時のレートが1ドル100円のままなら満期保険金は100万円です。しかし満期時に1ドル90円まで円高が進んでいれば、満期保険金は90万円となり、10万円の為替差損が発生することになります。

円安に動くと保険料が高くなる

毎月の保険料が100ドルの契約で考えると、為替レートが1ドル100円のときの保険料は1万円です。これが1ドル120円まで円安が進むと、保険料は12,000円に上がります。保障内容は同じでも、円安に動くと支払う保険料は増える点に注意が必要です。

為替手数料がかかる

ドル建てをはじめとする外貨建ての商品は、円と外貨を両替する際に手数料が発生します。円をドルに両替するとき、ドルを円に両替するとき、それぞれのタイミングで為替手数料がかかるため、事前に手数料の水準を確認しておく必要があります。保険料を月払いにしている場合は、この為替手数料が毎月発生し続けることになるため、長期的な負担として意識しておいたほうがよいでしょう。

仕組みがわかりにくい

ドル建て保険の特性を正しく理解するには、為替市場の動向についてもある程度の知識が求められます。為替レートの変動に応じて、支払う保険料も受け取る保険金も変わるためです。商品の仕組み自体を理解できたとしても、絶え間なく動く為替市場の先行きを見通すのは容易ではないと感じる場合もあるでしょう。

円高・円安が保険料と保険金に与える影響

ここまで見てきた内容を、円高と円安それぞれの局面でどう影響するのか整理すると、次のようになります。

為替の動き 保険料払込時への影響 保険金受取時への影響
円安(円の価値が下がる) 保険料が高くなる 為替差益が発生し受取額が増える可能性
円高(円の価値が上がる) 保険料が安くなる 為替差損が発生し受取額が減る可能性

払込みのタイミングと受け取りのタイミングでは、円高・円安の望ましい方向が逆になる点がポイントです。保険料を払い続ける間は円高が有利に働きますが、いざ保険金を受け取る段階になって円安が進んでいれば、為替差益という思わぬ利益を得られることになります。逆に、受け取り時に円高が進んでいれば、その分だけ受取額は目減りします。

まとめ

ドル建て保険には、貯蓄性の高さや保険料の割安感、円安局面での為替差益といった魅力がある一方で、為替手数料や円高局面での為替差損、仕組みの複雑さといった注意点も存在します。

確実に決まった額の保険金を受け取りたい人には不向きな面がありますが、資産の分散投資先の一つとして検討している人にとっては有力な選択肢になるかもしれません。予定利率や手数料、特約の内容は保険会社によって異なるため、複数の商品を比較しながら、自分の考え方に合った保険を選ぶことをおすすめします。

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著者

株式会社イード コンテンツマーケティング事業部 部長。

広島大学卒業後に慶應義塾大学の大学院に進学。大学院では『ダイレクト・レスポンス・マーケティングにおけるユーザ行動分析に関する研究』を修士論文としてマーケティングの研究に取り組む。

LiPro(婚活)メディアを始め、めしレポSpicomiCareer Theoryなど多数サービスの責任者を務める。
特定非営利活動法人 広島経済活性化推進倶楽部の理事に従事。

著書「婚活メンパ革命〜自分を削る婚活は卒業!消耗しない人が勝つ「婚活フィルタリング戦略」〜」を発売。

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