人は普通に生活をしていても、思わぬ災難に遭うことがあります。火事もそのひとつであり、万が一に備えて火災保険に加入することは大切だといえます。この記事では、火災保険の選び方や金額の相場について解説します。地震保険の必要性についても触れているので、地震保険について悩んでいる人もぜひ参考にしてください。
目次
火災保険とは
自然災害に備えるための保険
火災保険は、建物が火災による損害を受けた際に補償するためだけの保険と思いがちですが、実際は火災以外の自然災害に対しても補償します。例えば、2013年に火災保険から支払われた損害のうち68.4%は自然災害によるものです。自然災害とは、以下のものを指します。
・落雷
・破裂/爆発
・風災
・ひょう災
・雪災
・水災など
また、自然災害以外でも下記の事由であれば火災保険の支払対象になります。
・建物外部からの物体の落下/飛来/衝突等
・漏水による水ぬれ
・盗難による損害
・騒擾(そうじょう)/集団行動等に伴う暴力/破壊行為
・不測かつ突発的な事故(破損・汚損)など
ちなみに地震については後段で説明しますが、火災保険では補償されず別途地震保険への加入が必要です。
建物の構造や所在地で保険料が決まる
家に関わる幅広い損害を補償する火災保険ですが、保険料は家の構造や所在地で決まります。家の構造は、H構造(木造)、T構造(鉄骨)、M構造(マンション)の3区分です。保険会社によって保険料は異なりますが、H構造が最も高くT構造が中間、M構造が最も安くなります。
所在地は、台風や豪雪害の多い都道府県は被害が発生する可能性が高いため、保険料率が高くなっています。都道府県による保険料の格差は保険会社によって異なりますが、1.2倍から2.6倍程度の差があります。
保険契約は最長10年まで
2018年7月現在、火災保険は最長で10年契約が可能です。2015年以前は10年超の契約もありましたが、昨今の異常気象など環境の変化も考慮して10年までとなりました。契約期間は1年や2年の保険もありますが、保険料は10年が最も割安となっています。
火災保険は年末調整の対象外
火災保険料が年末調整の対象になっていた時期もありましたが、現在は年末調整の対象外になっています。ただし、旧長期火災保険(10年超)については、経過措置で年末調整の対象です。ちなみに、地震の損害を補償する地震保険は年末調整の対象となっています。
住宅ローンを組むときに火災保険は必須なの?
ローン契約時に契約するのが一般的
金融機関で住宅ローン契約をする場合は、火災保険への加入を求められることが一般的です。理由としては、ローン融資後に火災等に遭って建物が全損した場合に、火災保険に加入していないと返済が滞る可能性が高いためです。金融機関によって対応は異なりますが、保険に質権設定を求めるようなケースは少なくなっています。
自分で選んで契約することも可能
金融機関によっては保険会社を指定して加入をすすめる場合も多いですが、必ずしも金融機関がすすめる保険会社に入る必要はありません。火災保険は、保険料や火災以外の自然災害への補償が会社によって異なります。様々な保険会社の火災保険を比較検討して選んでも良いかもしれません。
火災保険いくら払ってる?目安は?
シミュレーションには面積などが必要
先ほども説明したように火災保険の保険料は所在地や建物構造でおおよそ決まりますが、その他にも建物面積や自然災害等をどこまで補償するかによっても異なります。正確なシミュレーションをするためにも、建物面積や建物構造をしっかりと調べておきましょう。
また、自然災害への補償を限定的にすれば保険料は安くなりますが、万が一損害を受けても補償されなくなってしまいます。補償を決める際には、保険料だけにとらわれないようにしましょう。
一戸建ての場合
ここでは建物の所在地が東京都、建物面積100㎡、2018年1月建築の木造一戸建ての火災保険について保険料概算をみてみましょう。契約期間は10年、長期一括払いとします。
建物補償額1500万円、火災・風災・水災を補償する火災保険に加入した場合、保険料の目安は約13万円から約22万円となっています。最低額と最高額の倍率は約1.8倍となっており、保険会社によって保険料の差が大きいことがわかります。
マンションの場合
所在地が東京、2018年1月建築のマンション(面積70㎡)で火災保険に加入した場合、いくらくらいの保険料になるのでしょうか。契約期間は10年、長期一括払いで補償額を1000万円、火災・風災・水災・破損・汚損を補償した場合は、3万円から5万円未満が保険料の目安となっています。一戸建てに比べると、マンションの火災保険は会社間の保険料の格差が少ないことがわかります。
新築割引やオール電化割引がある
加入する保険会社にもよりますが、新築や築後10年以内の場合には新築割引や建築浅割引によって保険料が安くなることがあります。また、オール電化割引やホームセキュリティー割引を行う保険会社もあります。割引率は数%から10%以上まであるため加入時にはよく確認をしてください。
火災保険の保険料は、インターネットで見積もりができます。いろいろな会社を見積もってみると良いでしょう。
火災保険の選び方とは
時価ではなく新価(再調達価額)で設定
火災保険の保険金額とは、実際に火災で損害が発生したときに保険会社から支払われる保険金の限度額のことです。保険金額は、建物の価値を評価する方法によって決められ、「新価」と「時価」があります。
新価とは、新たに立て直す場合にかかる費用のことで、再調達価額ともいわれます。時価とは、新価から時間の経過による消耗分を差し引きした額を指します。
時価で保険金額を設定すると、保険金が満額払われたとしても同じ建物を建てられる可能性が低いです。万が一損害が発生した場合に立て直す資金を確保するためには、時価ではなく新価で保険金を設定すると良いでしょう。
ちなみに、保険料率が自由化になる1998年以前は時価の契約が多かったのですが、1998年以後は新価での契約が多いです。1998年以前の長期契約の火災保険は時価で契約している可能性があるため、一度確認することをおすすめします。
地震保険のセット加入がおすすめ
火災保険には自然災害への補償が各種付いているケースが多いのですが、地震損害への補償はありません。また、火災であっても地震が理由による火災は火災保険の対象外となっています。地震保険は単独では加入できない保険で、火災保険とのセット加入が必要です。
地震保険は地震・噴火・地震噴火による津波の損害等を補償する保険です。ただし、補償額は建物や家財の火災保険価額の30~50%の範囲となっています。損害保険料算出機構が2018年に発表した損害保険料算出機構統計集によると、火災保険契約者の約30%が地震保険にセット加入しています。
まとめ
火災保険は、火災だけでなく自然災害やその他の住まいに関わる事故から住居や家財を守るための保険です。また、火災保険では補償できない地震・津波への備えも必要だといえます。地震保険はどの会社で加入しても同じですが、火災保険は保険会社によって保険料に差があります。気になる人は、ファイナンシャルプランナーへに相談、あるいは複数の保険会社に保険料の見積もりを依頼すると良いでしょう。
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