かんぽ生命の中には、低金利で審査が少ない「契約者貸付」という制度があります。この制度の特徴や手続きの方法、利用する上で生じるメリットやデメリットなどについて紹介します。
目次
そもそも「契約者貸付」とは?
解約返戻金の一定範囲内の金額を借りられる制度
契約者貸付とは、加入している保険の解約返戻金の範囲内でお金を借りることができる制度です(解約返戻金が設定されている保険に限ります)。もともとは自分が支払っていた保険料を保険会社から借りる、という形を取ります。金融機関で借入をするより金利が低く詳細な審査も必要としない場合が多いため、融資を受ける際には検討してみてもよいかもしれません。
かんぽ生命の貸付って何?メリットもデメリットもプロがしっかり解説!FPによる無料相談サービス実施中!かんぽ生命の契約者貸付の貸付期間と利率
貸付期間は1年
かんぽ生命の契約者貸付における貸付期間は1年間で、「貸付を受けた日の翌日から1年を経過する日までの期間」のことを指します。貸付期間の終了後、さらに1年間が経過するまでの間に貸付金が返済できなかった場合、受け取る保険金等が減額されてしまうことがあります。
契約者貸付利率と特則に基づく利率
契約者貸付の利率は、貸付期間内であれば2.25%、貸付期間経過後は2.300625%となっています。特定の保険(介護保険金付終身保険・学資保険など)に加入しており、所定の条件に該当する場合には貸付特則に基づく利率が適用されます。特則による利率は契約日によって2通りに設定されており、それぞれ次の通りです。
【特則による利率】
契約日 | 貸付期間内 | 貸付期間経過後 |
---|---|---|
2007年10月1日~2016年8月1日 | 1.50% | 1.52250% |
2016年8月2日~ | 1.25% | 1.265625% |
非常取り扱いの減免による利率
非常取り扱いの減免は、緊急の需要に応じる必要があると認められたとき(天災・その他の非常災害時など)に適用され、通常よりも利率が低く設定されます。契約日や契約の種類(一時払年金であるかどうか)によって利率は異なり、以下の通りとなっています。
【一時払年金の場合】
契約日 | 貸付期間内 | 貸付期間経過後 |
---|---|---|
2007年10月1日~2012年2月1日 | 1.00% | 1.010000% |
2012年2月2日~2013年1月1日 | 0.80% | 0.806400% |
2013年1月2日~2014年10月1日 | 0.70% | 0.704900% |
2014年10月2日~ | 0.55% | 0.553025% |
【一時払年金以外の場合】
契約日 | 貸付期間内 | 貸付期間経過後 |
---|---|---|
2007年10月1日~2016年8月1日 | 1.50% | 1.522500% |
2016年8月2日~2017年4月1日 | 1.00% | 1.010000% |
2017年4月2日~ | 0.50% | 0.502500% |
かんぽ生命の契約者貸付の請求方法
契約者貸付の請求に必要な書類
契約者貸付を受けるための手続きに必要な書類は次の通りです。
〇保険証券(保険証書)
〇印章
〇契約者貸付を受けようとする保険契約者本人であることの確認ができる証明書類(運転免許証、個人番号カードなど※)
※取引時確認が必要となる場合、顔写真のない証明書については2種類の提出を求められることがあります。
契約者貸付の請求の流れ
上記の書類を持参し、最寄りの郵便局(簡易郵便局は除きます)において保険契約者本人が契約者貸付の請求を行います。請求手続きの完了後、かんぽ生命側で行われる審査に通過すると、郵便局の窓口・預貯金口座等に請求額が振り込まれることとなります。
委任代理人による手続きは委任状が必要
契約者貸付の手続きを委任代理人が行う場合には、保険証券・印章・本人証明書類に加えて以下を持参する必要があります。
〇委任状(すべての欄において委任者本人の自署が必要)
〇委任者本人の印鑑登録証明書または委任者本人のみが使用できる公的な証明書類の原本(運転免許証、個人番号カードなど※)
〇委任代理人本人であることが確認できる書類(運転免許証、個人番号カードなど※)
〇委任代理人本人の印章(手続きによっては必要のない場合もあります)
※本人が手続きを行う場合と同様に、顔写真のない証明書については2種類の提出を求められることがあります。
本人・代理人のどちらが手続きを行う場合であっても、書類の不足・記載事項の不備等があれば請求が認められないケースも考えられます。必要書類は事前にきちんと揃え、内容についてもチェックしておきましょう。
契約者貸付を利用するメリット
利率が低い
契約者貸付のメリットとして、利率が比較的低く設定されている点が挙げられます。多くの場合、保険の契約条件や保障内容等を変更せずに貸付が受けられるため、銀行カードローンや消費者金融機関での借入より生活への負担や影響が少ないこともあります。
複雑な審査がない
契約者貸付では自分が積み立ててきた保険料を元手とするため、借入をする際に複雑な審査が設定されていないことがほとんどです。また、信用情報に記録が残らない点もメリットと言えます。
契約者貸付を利用するデメリット
契約者貸付は「利率が低く借りやすい」という面を持っているものの、返済が遅れると受け取る保険金が減額されることがあります。返済期限が週・月などの単位で設定されておらず、解約返戻金の範囲での貸付であれば催促なども来ないため、返済の遅延に気付きにくい点にも注意が必要です(貸付期間は1年を参照)。
まとめ
今回は、かんぽ生命の契約者貸付について紹介しました。利率の低さ・審査の少なさなどは利点と言えますが、自身でしっかりとした返済計画を立てて活用しなければいけない制度でもあります。不明点などがあれば、利用する前に確認しておきましょう。
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