資産という言葉を耳にした時、どういったものを思い浮かべるでしょうか。資産には貯金なども含まれますが、それだけではありません。今回は会計や簿記といった側面から見た資産の内容と、財産との違いなどを詳細に解説します。
目次
資産と財産の違いとは?
資産とはお金にできる財産のこと
資産は貯金として抱えているお金だけを示すわけではありません。資産とは、個人や企業などの経済主体が所有している、お金に変えることができる財産のことを示します。
お金の価値を持った財産のことを、「用益潜在能力がある」と言います。財産はお金の価値を持っていると同時に、お金を価値尺度としたときに合理的に評価できるものである必要もあります。
財産との違いとは
資産と財産は、経済的な価値を持った財であるという点は共通ですが、所有者等に違いがあります。資産の所有者は「法人」ですが、財産の場合は「国や地方公共団体」が所有者です。
また、所有目的も異なっており、資産は資本として利用することを目的としたものですが、財産はその限りではありません。さらに、資産は負債と区別され、会計用語として多く利用されるというのも財産とは異なる点と言えます。
資本と資産の違いとは?
資本とはお金そのもののこと
資本とはお金そのものを指すと同時に、会計の分野においては会社を新しく設立する際などに必要な元手を指します。一方で資産とは、会社などの法人が持つ財産全体を指すものです。
例えば、元手である資本金が1,000万円で、そこから100万円で仕入れをした場合は、預金残高900万円と仕入れた商品100万円分の合計を資産として考えます。このように、資産は資本金が当てられる先である物などの金額の合計に該当します。
簿記で聞く「概念フレームワーク」
会計分野では、概念フレームワークと言われるものがあります。これは企業会計における前提を明示化するためのもので、基本的に会計基準は概念フレームワークと整合させて考えます。概念フレームワークの役割の1つは、国家間での会計基準のギャップを無くすことであり、現在では資産のやりとりにおける国際的な枠組みがまとまりつつあります。
個人・会社の資産にはどんな種類がある?
個人の資産は土地や車・預貯金など
個人と法人では、資産に該当するものに若干の違いがあります。個人の資産に該当するものは株式投資、終身保険などの金融資産の他、預貯金や土地、車などでこれらの合計が資産の合計となります。資産の構成項目は、貸借対照表の左側、つまり借方の項目として記入し、負債や純資産は貸方に記入しますが、両者の合計は必ず一致します。
会社の資産には流動資産なども含む
個人の場合とは異なり、会社などの法人の試算には流動性資産も含まれる点に注意が必要です。企業では商品の生産とそれに伴う仕入れなどの費用が発生するためです。
流動性資産には、現金預金や原材料、仕掛品など頻繁に増減による変動が生じるものが含まれます。概念としては、土地や建物などの固定資産に対するものであり、原則として1年以内の回収が見込まれる資産です。
資産を運用するには?
資産運用をする人・しない人の差
資産運用を行っている人とそうでない人の間では、資産額や貯蓄額に差が生じている可能性があります。貯蓄額は給与額の差がそのまま反映されることもあるため、一概に資産運用をしていることが貯蓄額の拡大につながっているとは言えませんが、差額の一部が資産運用によるものであるとも考えられます。
資産運用にはある程度の知識や経験が必要となる部分もあるため、自分に合った手段や金額を検討しながら始めるのがよいでしょう。
株式や投資信託で運用する方法
資産運用を行うにはいくつかの方法があります。その1つが株式投資です。
株式投資とは株式会社が発行する株を購入し、株を売買することで資産を形成する方法です。売買によって生じる利益の他にも株主優待制度が受けられるというメリットもあります。
2つ目は投資信託で、信託会社が個人投資家から集めた資産を株式や債券などに投資して資産運用を行うものです。株式投資も投資信託も市場の動きによって得られる利益が変化します。
預貯金や保険で運用する方法
投資の一方で、預貯金や貯蓄性の高い保険を利用して資産運用を行う方法もあります。預貯金で資産運用を行う場合は、各銀行が提示している利率を元に資産を形成することになります。
一方、保険の場合は支払った保険料を元にして保険会社が資産運用を行います。この場合は、信託会社と同様に保険会社が債券や株式投資を行って運用を進めます。
まとめ
資産の定義を会計や簿記の領域から確認すると同時に、投資や預貯金、保険を利用した資産運用の方法を解説しました。資産運用にはリスクも伴いますが、金融商品や銘柄の選び方によってはリスクを小さくすることもできます。資産運用をする際には、現在の資産状況を見ながら行うと良いでしょう。