子どもの教育資金や老後資金を準備する際、「資産を増やす方法がわからず、とりあえず銀行に預けている」という人は少なくないかもしれません。今回は資産運用の基本的なポイントや、投資信託・株式・保険などさまざまな運用方法の特徴と考えられるリスクをまとめました。
目次
貯金で資産はそれほど増えない
資産を増やす一般的な方法として、預貯金が挙げられます。しかし預貯金の金利は他の金融商品より低い場合が多く、大手都市銀行では普通預金の金利はおよそ0.02%、定期預金でも0.025%程度が相場と言えます。いわゆる「ネット銀行」の定期預金には金利が0.2%というところもありますが、100万円預けることを想定しても1年間で2,000円ほどの利子しかつきません。
資産を増やすには?
リスクの許容が必要
預貯金の金利の低さを考えると、ただ銀行に預けるだけでは短期間でお金を急激に増やすことは難しいと考えられます。預貯金は元本割れのリスクは高くないものの、インフレが発生すればお金の価値自体が下がってしまう可能性もあります。もし短期間でもっと資産を増やしたいのであれば、ある程度リスクを許容して投資することが必要となる場合もあるでしょう。
リターンとリスクの関係
どんな金融商品にもリターンとリスクがあります。リターンとは、投資を通じて得られる収益のこと、リスクとはリターンの振れ幅のことを指します。
一般的にリターンとリスクは「リスクが大きいほどリターンも大きい」「リスクが小さいほどリターンも小さい」という関係にあります。つまり、より大きな利益(リターン)を得ようとするとリスクも大きくなり、大きく損をする可能性も増すと言うことができます。資産運用をする際にはリターンとリスクの程度を考え、目的を持って自分に合うものを選びましょう。
多少の損失は資産運用の勉強に
リターンを得ようとするとリスクが伴うことも多く、運用に失敗すれば生活に支障が出ることも想定されます。資産運用を始めるにあたっては、「どれくらいの損失なら許容範囲なのか」という点を決めておき、運用商品や手段を選択することが大切です。
損失を抑えたいのであれば、リスクの小さい投資対象を選び、少ない投資額からスタートするという方法もあります。多少損失が出てしまっても「その後の運用に生かせる」と考えて繰り返しチャレンジすることで、より自分に合った運用スタイルを探してみましょう。
投資信託は安全に資産を増やす方法?
投資信託は透明性が高い
投資信託とは、投資家から集められた資金を用いて株式や債券などに投資・運用を行う商品です。運用成果は各投資家の投資額によって分配される仕組みとなっています。運用成果は市場環境などによって変動するため、運用がうまくいけば利益が得られますが、うまくいかない場合は損をすることもあります。
投資信託では、投資信託の価値を表す基準価額が公表されており、資産価値や毎日の値動きが分かりやすくなっています。また、監査法人などによって決算毎に監査も入るため、透明性が高い商品と言えるでしょう。
ひとつの商品で分散投資が可能
資産運用において投資を1箇所に集中させると、運用がうまくいかなかった際には資産全体に影響が及んでしまいます。そのため、投資を複数の資産に分散することでリスクの分散を図る「分散投資」という方法が用いられることもあります。
個人で分散投資を行いたい場合には、複数の資産へ投資している投資信託を選ぶと良いでしょう。1つの投資信託を購入すれば、いくつもの資産へ投資を行っているのと同様の効果が得られるため、リスクの分散につながります。
リスクが低いのは日本債券型
日本債券型は国内の公社債を投資対象としています。債券は市場で売買されており、債券価格は日々変動します。しかし、日本債券はあらかじめ金利や満期日が決められているため、投資家には決まった利息が定期的に支払われ、満期日には元本が戻ってくるケースが多くなっています。また、日本債券型は、国内外株式や外国債券を組み入れた投資信託などに比べて値動きの幅が小さく、安定しているという傾向もあります。
ミドルリスクミドルリターンの投資手法
株式投資
株式投資とは、企業が発行する株式の売買を行うという投資方法です。買った株の価格が上がったときに売ればその差額を利益とすることができます。また、企業の利益の一部が優待・配当金などいう形で株主へ還元される場合もあります。
ただし、株式投資には、株価の変動リスクに加えて企業の倒産リスクも存在します。企業が倒産した場合には、投資したお金がほとんど戻ってこないという事態も想定しておかなければいけません。株式投資を行う際にもリターンとリスクを踏まえ、投資先を選択することが大切と言えます。
不動産投資
不動産投資とは、マンションなどの不動産を購入し、家賃収入や売却益を得る方法です。中でも家賃収入は毎月安定的な収入を得られることが多く、利用する人も少なくありません。
一方で、不動産投資には物件価格が下落するリスク・借り手がつかず家賃収入が得られないリスクなども存在します。しかし、株価の暴落などに比べると、不動産投資のリスクは予測しやすいとも言われています。不動産投資においては、リスクの予想と早めの対策が利益につながるケースが多いでしょう。
保険でお金を増やすのも選択肢
保険は保障と貯蓄を兼ねられる
いざという時の保障を目的に加入されることの多い保険ですが、中には貯蓄性の高い種類もあります(貯蓄型の保険)。貯蓄型の保険では、満期時にお金を受け取れたり、途中解約しても払い込んだ保険料以上のお金を受け取れたりする場合があります。また、貯蓄型の保険は定期預金より金利が高く設定されていることも多く、保障・貯蓄の機能を兼ねることができると言えます。
生命保険料控除もメリット
生命保険料控除とは、1年間に支払った保険料の一部が控除され、所得税や住民税を節税できる制度のことです。1年単位であればそれほど大きな額でなくとも、10年20年単位で考えるとまとまった金額となることも多く、保険で資産運用をするメリットの1つとなっています。
年金保険や変額保険を検討
貯蓄性の高い保険として、以下のような種類が挙げられます。
個人年金保険
契約時に定めた年齢から一定期間もしくは一生涯にわたって年金を受け取ることができる保険です。金利は預貯金を除く他の金融商品よりは低いことが多いものの、保険料控除による節税効果も利用しながら老後資金を貯めることができる商品です。
変額保険
保険金や解約返戻金の額が運用実績によって変動する保険です。利益が出れば受取額は増え、損失が出れば減る仕組みです。仮に損失が出ても、死亡保険金は最低金額が保証されている場合が多く、まったくお金が戻って来ないケースは少ない商品であると言えます。
まとめ
資産を増やす方法には様々ありますが、それぞれにメリット・デメリットが存在します。各方法の特徴を理解し、運用の目的を明確にして、自身に合った運用方法を選んでいきましょう。