火災や台風などの自然災害に備え、火災保険に加入している人も少なくないでしょう。火災保険の保険料は、年末調整の際に控除の対象になるのでしょうか?
目次
火災保険料は控除対象になる?
基本的には保険料控除の対象外
平成19年1月の税制改正により、火災保険・傷害保険料の一部が控除される損害保険料控除が廃止され、火災保険料は控除の対象から外れることになりました。
しかし、経過措置として、旧長期損害保険料(※)に関しては、地震保険料控除の対象として最高15,000円までの控除を受けることができます。
※旧長期損害保険料の要件
1) 平成18年12月31日までに契約を締結
2) 保険期間が10年以上の契約で満期返戻金などがあるもの
3) 平成19年1月1日以後に契約の変更をしていない
地震保険料に該当する部分は控除対象
地震保険への加入を促進する意味合いもあり、前述の税制改正によって地震保険料控除が新設されました。地震保険は単独では契約できないことが多く、火災保険とセットで加入する場合が一般的です。そのため、火災保険の中の地震保険部分に関する保険料のみが控除の対象となります。
地震保険に含む家財保険も控除対象
地震保険契約のうち、保険の対象である居住用の住宅・家財などに関する部分については控除の対象となっています。
保険料が5万円以下の場合には支払額の全額が、5万円超の場合は一律で5万円が控除されることになります(旧長期損害保険料に該当する場合、控除額は旧長期損害保険料と地震保険料の合計で5万円)。
地震保険料を一括で支払った場合は?
保険料を年数で割り確定申告で控除
地震保険料を何年分か一括で支払った場合であっても、まとめて申告を行うことは基本的にできません。支払った保険料を保険期間の年数で割り、一年分にあたる保険料を算出してから控除額が計算されることになります。
申告書の書き方
会社員の場合、年末調整時には「給与所得者の保険料控除および配偶者特別控除の申告書」を勤務先へ提出します。申告書の左下にある地震保険料控除の欄へ以下の項目を記入します。
1) 保険会社名
2) 保険会社の種類(目的)
3) 保険期間
4) 保険契約者名
5) 保険対象の家屋等に居住している、または家財を使用している人の氏名
6) 申告者との続柄
7) 地震保険料または旧長期損害保険料の区分
8) 本年中に支払った保険料
地震保険料控除証明書の提出が必要
申告書には地震保険料控除証明書の添付が必要です。毎年秋になると保険会社から送付されるため、きちんと保管しておきましょう。
火災保険金を受け取ると税金がかかる?
火災保険金は利益とみなされず非課税
実際に被災し、受け取る保険金が高額となった場合でも、税金は基本的にかかりません。保険金はあくまでも実損に対する補填であり、利益とはみなされないためです。
満額でなければ保険金額は復元される
災害等で建物・家財などが全損し、損害保険金を満額受け取ると火災保険・地震保険が契約終了となる場合があります。それまで保険の対象であったものがなくなったとみなされるためです。
しかし、半壊等の場合には保険の対象が残存しているため、火災保険締結時の契約保険金額が復元されることとなります。
自宅以外の火災保険料は控除される?
事業のための火災保険は「経費」扱い
住宅と事業所を兼ねる建物へ火災保険をかけた場合、事業用の部分については「経費」と認められます。金額は、支払った保険料へ住宅・事業所の面積比率を掛け合わせて算出します。
賃貸を経営している人は控除対象外
地震保険料控除の対象となるのは、「契約者本人または契約者と生計を同一にしている配偶者や親族が所有するもの」かつ、「日常住んでいる住宅でありそこにある家財」です。
したがって、賃貸物件などについては、契約者(賃貸物件所有者)と借主(居住者)が異なるため、控除の対象とはなりません。
賃貸住まいの人は保険の内容次第
賃貸物件に居住する場合、自分の家財に対する補償や、退去時の現状回復義務に備えて火災保険への加入が必要となる場合があります。加入した火災保険に地震保険が付帯されていれば、その分は保険料控除の対象になります。保険証書や控除証明書などで確認してみましょう。
まとめ
以前は保険料控除の対象だった火災保険料は、税制改正によって控除の対象外となりました。一方、地震保険部分については控除を受けることができます。控除が適用されるかどうかについては契約内容を確認し、不明点があれば代理店や専門家などに問い合わせを行ってみるとよいでしょう。