損害保険会社では火災保険や地震保険を販売していますが、県民共済では火災保険や地震保険を取り扱っているのでしょうか。今回は、県民共済には火災保険や地震保険があるのか、また、県民共済で、水漏れの場合も保障されるかといった疑問などに答えます。
目次
県民共済の「新型火災共済」って?
県民共済は39都道府県で展開
県民共済は、東京の都民共済や北海道の道民共済、大阪・京都の府民共済など、全国39都道府県に広がる全国生協連という組織が母体となった共済です。県民共済は非営利団体であり、決算後剰余金が生じたときは「割戻金」として保険料が戻されます。
共済は、組合員同士が助け合うことを目的として加入するもので、万が一損害が発生した場合には共済金を受け取ることができます。万が一に備えるという意味では共済と保険は似た性質がありますが、「保険」ではなく「共済」と呼ぶなど細かい点で違いがあります。
火災以外の自然災害も保障
県民共済では、家屋や家財に対する補償として「新型火災共済」を販売しています。新型火災共済では、火災だけでなく、落雷や他の住宅からの水漏れなども保障の対象となっています。
加入・解約は郵送や窓口で
加入・解約は各生活協同組合窓口の他、郵送でも行うことができます。また、対象地域に住んでいれば自宅で普及員より説明を聞くことも可能です。訪問による説明を受けたい場合には、新型火災共済の問い合わせフォームより名前や住所などを入力して申し込みましょう。
新型火災共済の保障内容って?
火災・水漏れ・落雷などの損害を保障
新型火災共済は、「火災」という名前がついていますが、前述の通り爆発・落雷・車両の衝突など火災以外のケースでも保障されます。また、火災などによって損害が発生した場合、共済金とは別に臨時費用が支給されます。ただし、臨時費用には上限があり、契約している共済金の20%、上限200万円までです。
地震・台風などは見舞共済金の対象
新型火災共済では、台風や洪水、地震で家屋や家財に損害が発生しても共済金は支払われませんが、見舞共済金が支払われます。台風や洪水などの風水害による見舞共済金は600万円が限度ですが、損害額が10万円を超えた場合にのみ支給されます。また、地震による損害の見舞共済金は加入した共済金の5%で300万円が限度ですが、全壊あるいは半壊と診断されなければ、支給されません。
ちなみに、県民共済では地震保険に相当する共済は取り扱っていません。
持ち家と賃貸で加入対象はどう違う?
持ち家は「住宅」と「家財」が対象
新型火災共済では、持ち家の場合「住宅」と「家財」の両方が保障の対象となります。住宅24坪鉄筋コンクリート造り東京都の場合、4人家族であれば月々支払う共済掛金は「住宅」部分約700円(保障額1,680万円)、「家財」部分約700円(保障額1,600万円)で、合計1,400円程度です。
貸している家は「住宅のみ」が対象
住宅を貸しているときは、「住宅」のみが加入の対象です。先ほどと同じ条件で住宅24坪、鉄筋コンクリート造り東京都、4人家族で貸家の場合は月額共済掛金は「住宅」部分のみの約700円(保障額1,680万円)となります。
借りている家は「家財のみ」が対象
住宅を借りているときは、住宅部分は貸主のものであるため、借主は「家財」のみ新型火災共済に加入できます。住宅24坪、鉄筋コンクリート造り東京都、4人家族で「家財」のみ加入した場合、月々支払う共済掛金は約700円(保障額1,600万円)程度です。
借家人賠償責任特約の付加も可能
借りている家に住む場合、住居部分については貸主が共済や保険などに入る必要があります。しかし、借主の過失によって火災等が発生した場合、借主は貸主に対して法律上の損害賠償責任を負うことがあります。
住宅を借りている際に「住宅」部分も保障の対象としたい場合は、借家人賠償責任特約を付加しましょう。万が一貸主に対し賠償責任を負った場合に、一定額を共済金として受け取ることができます。定額での保障となっており、500万、1,000万の2種類があります。
新型火災共済のメリット・デメリット
再取得価額で保障されるメリット
新型火災共済では、火災や地震が起きた際の建物被害の評価は再取得価額で行われます。再取得価額とは、住宅や家財が損害を被った場合、同じ価値のものを再び取得するために必要な額のことです。時価方式で計算される場合、年月が経てば経つほど価値が下がるため、再取得価額で計算されることはメリットといえます。
決算次第で「割戻金」があるメリット
前述しましたが、県民共済は非営利団体です。そのため、決算によって剰余金が発生した場合、加入者に「割戻金」が支払われるメリットがあります。
地震見舞金が高額でないデメリット
前述の通り、地震が起きた場合に新型火災共済から支給される見舞共済金は、契約時に決めた火災等共済金の5%程度です。さらに、上限は300万円までとなっており全壊もしくは半壊以上と診断された場合に支給が限られています。当面の生活費用にはなりますが、住宅再建費用としては不足する可能性が高いです。
ただし、住宅の被害により、加入者もしくは加入者と同一世帯である者が死亡もしくは重度の障害を受けた場合、1人につき100万円、上限500万円の保障を受けることもできます。
保障額に上限があるデメリット
新型火災共済には、保障額に上限があります。住宅の保障額は総坪数により変動しますが、木造等物件、鉄筋コンクリート物件共に58坪以上で4,000万円が上限です。
家財の保障額は家族人数によって変動し、2,000万円が上限です。家が全損し、家財も買いそろえなければならない場合などには金額が不足する可能性もあるため注意が必要です。
まとめ
自分に合った保障選びのためには、場合によっては保険だけではなく共済にも目を向ける必要があります。火災保険を選ぶ際には、県民共済も選択肢のひとつにいれてみてはいかがでしょうか。