ゴルフは、平成29年度のスポーツ庁が調査した「この1年間に実施したスポーツ」で男性は5位、女性は17位にランクするなど多くの人がプレーするスポーツです。体力に合わせて楽しめるため、幅広い年代に親しまれているゴルフですが、ゴルフ中には思わぬ事故に遭遇することもあります。今回は、ゴルフ保険について説明します。
目次
ゴルフ保険とは
ゴルフによる損害賠償を補償する保険
ゴルフ保険は、ゴルフプレー中や練習中に発生する様々な損害に備えるための保険です。例えば、ゴルフ練習中の自身のけがや他人にケガ・損害を負わせた場合に補償します。
ゴルフ保険の補償は、主に4つあります。
・他人にケガをさせた場合の損害賠償補償
・被保険者自身の傷害補償
・ゴルフ用品の損害に対する補償
・ホールインワン・アルバトロスの際にかかる費用の補償
後ほど詳しく説明しますが、ゴルフ保険は保険に加入する期間を1日あるいは1年など自分で選ぶことができます。
ゴルフ保険の補償内容
他人へのケガへの損害賠償補償
ゴルフのプレー中や練習中に発生する重大な事故として、振ったクラブが他人に接触するケガや、打ったボールが前方や横にいる他人に当たるケガが挙げられます。ゴルフ中のケガは場合によっては重篤なものになることもありますが、ゴルフ保険では他人にケガをさせてしまった場合や物を損傷してしまった場合の損害賠償を補償します。
具体的に賠償責任が補償される費用は以下の通りです。
・死亡保障
・ケガの治療費
・後遺症補償
・物品の損傷に対しての修理費
また、補償交渉が円滑に進まなかった場合の訴訟費なども補償されます。ただし、被保険者の同居家族に対する損害賠償はゴルフ保険の対象外など、損害が発生しても保険金が支払われないようなケースもあるので、注意が必要です。
プレー中のケガへの傷害補償
ゴルフ場や練習場などでプレー中や練習中に他の人から負わされたケガに対する補償です。ただし、傷害補償の対象には要件が定められており、「急激かつ偶然の外来の事故」となっています。
急激とは、突発的で予測回避ができないような短時間に発生するケースを指します。例えば後ろのパーティーの打ったボールに当たってケガをした場合などが該当します。
偶然とは、被保険者にとって予知できないことや意図的でない原因で起きる事故を指します。例えば足を滑らせて転倒して腕や肩の筋を痛める等は偶然に該当します。
外来の事故は、後ろや隣のコースからの打球が当たるケースや、ゴルフカートに追突されてケガをする事故などが該当します。つまり、プレーや練習中に起きた腰痛などは急激かつ偶然の外来の事故に該当しないため、保険金支払いの対象外です。
補償額は賠償責任と同じく、コースによって、入院日額、手術給付金、通院、死亡保障の給付があり、入院日額は5000円、手術給付金は2万5000円が一般的です。通院給付は500円から3000円、死亡保障は100万円から300万円としている保険会社が多いです。
ゴルフ用品補償
ゴルフ場でのプレー中や練習場でのクラブの破損や曲損、あるいはクラブの盗難などの事故が起きた際に補償されます。盗難の発生個所はゴルフ場と練習場と指定されているため、自宅での盗難は対象外になります。
ゴルフ用品として認められるものの一例として以下のものが挙げられます。
・ゴルフクラブ
・ゴルフボール
・ゴルフシューズ
・ゴルフバッグ
携帯電話や時計等の貴金属、あるいは財布は除外されます。また、クラブについては保険証券に記載されたゴルフクラブと約款に定められているケースが多いため注意が必要です。
支払われる保険の内容は、破損・盗難の状況によって、全損と分損に区分されます。全損の場合は時価(再調達額から使用による消耗分を差し引きした額)での補償になります。分損の場合は修理費用になりますが、時価が限度になります。
ゴルフボールは他のゴルフ用品と一緒に盗難された場合に限って適用されます。また用品の保険金額は10万、20万円、30万円などのコースプランがあります。
ホールインワン・アルバトロス費用補償
ゴルフには、ホールインワンやアルバトロスを達成するとパーティーを開くなどのお祝いをする習わしがあります。ゴルフ保険では、ホールインワン・アルバトロスを達成した後にかかる、費用を補償します。ホールインワンとは、第一打でポールをカップに入れたこと、アルバトロスとはコースごとに決められた打数よりも3打少ない状態でボールをカップに入れたことを指します。
補償される費用の内容は、以下の通りです。
・プレーしたパートナーやキャディーへの祝儀
・ゴルフ仲間との達成記念パーティー費用
・ゴルフ仲間への記念の品(タオルなど)の贈呈費用
・ゴルフ場への記念植樹など
補償額は10万円から30万円のコースが一般的ですが、50万円、100万円のコースがある保険もあります。ホールインワン費用補償が適用される条件については、後ほど詳しく説明をします。
ゴルフ保険の加入期間と保険料の目安
ゴルフ保険の加入期間は1年単位と考えがちですが、1日限定や1週間のタイプもあります。年間でのプレー回数が減った人や初めてプレーをする人にとっては、1日限定の保険もおすすめです。
1週間や1年など複数のタイプがある
一般的なゴルフ保険の加入期間は、以下のようになっています。
・1日(1泊2日)タイプ
・3泊4日タイプ
・1週間タイプ
・1年タイプ
・2年タイプ
保険料は1日(1泊2日)タイプの場合、300円、500円、700円の3コースになっており、賠償責任・傷害補償・用品補償・ホールインワン等の補償金額がそれぞれ異なります。3泊4日タイプの場合は補償額によって約500円、約900円、約1300円の保険料となっています。1週間タイプについては保険料1000円程度のものがあります。
1年契約の場合、保険料の目安は約3,000円から約9,000円となっています。賠償責任補償額は、保険会社によっても異なりますがおおよその目安は3,000万円から1億円程度です。
1日タイプは当日申し込みも可能
ゴルフ保険は1日タイプもあるため、必要な時にのみ保険に加入することも可能です。また、ゴルフ当日にゴルフ保険が切れていることや、不要と思っていたが当日になって念のためゴルフ保険に入りたい場合もあるのではないでしょうか。1日タイプ(1泊2日)のゴルフ保険は、携帯電話会社が取り扱うものであれば当日申し込みも可能となっています。
携帯電話会社が扱うゴルフ保険の内容は一般のゴルフ保険と同じで、4つの補償(賠償責任・傷害補償・ゴルフ用品補償・ホールインワン等)で補償金額によって3コースに区分されます。加入手続きなどは携帯電話会社、実際の保険引き受けは損害保険会社が行っています。
携帯電話会社が扱う1日タイプのゴルフ保険は、携帯電話の加入者のみが申し込み可能で、保険料は300円~700円が一般的です。申し込み方法は携帯電話(スマホ)からとなっており、保険料の支払いを携帯料金と合算することも可能です。
プレー回数によっては1日がおすすめ
1日タイプのゴルフ保険は、補償が必要な時に加入できてムダがない一方で、1年タイプと比べると保険料が割高であることや、契約の手間があるなどのデメリットがあります。1日タイプの300円コースに加入した例でみてみましょう。年6回プレー(1日タイプに6回加入)した場合の保険料は1800円、年10回プレー(1日タイプに10回加入)した場合は3000円です。
先ほども説明しましたが、1年タイプのゴルフ保険は3000円程度のものが多いので、1年間にゴルフをプレーする回数が9回以下の人は1日タイプがお得と言えるでしょう。1日タイプに10回加入した場合の保険料と1年タイプの保険料は同額程度になる可能性が高いです。しかし、保険に毎回加入する手間や加入し忘れるリスクを考えると、10回プレーする予定がある人は1年タイプの方が良いかもしれません。
ゴルフ保険の加入期間については、「ゴルフ保険は1日から入れる?検討時にチェックしたいポイントとは」も参照して下さい。
ホールインワン費用補償の注意点
先ほども説明しましたが、ゴルフ保険ではホールインワンに伴うパーティー費用・記念品などの費用についても補償します。ここでは、達成したホールインワンがゴルフ保険の対象として承認される条件について説明します。
第三者の証明が必要
保険会社によって多少の違いはありますが、ゴルフ保険でホールインワン費用補償を受けるには、被保険者だけでなく第三者によってホールインワンが行われたことを証明する必要があります。例えば、同伴競技者やプレーしたゴルフ場責任者の署名が入った「ホールインワン・アルバトロス証明書」の提出を求める保険会社もあります。また、同伴競技者以外の第三者(同伴キャディー含む)などの確認を求めるなど保険会社によって規定は異なるため注意が必要です。
第三者の証明以外にも、以下の条件を満たしていない場合ホールインワン費用補償を受けられない可能性があります。
・9ホール以上あるゴルフ場のプレーであること
・正規に9ホール以上をラウンド中のプレーであること
・同伴競技者とキャディー付きでプレー中であること
・アマチュアであること
海外のゴルフ場は対象外
ゴルフは、国内だけでなく海外でプレーを楽しむ人も多いです。しかし、ゴルフ保険のホールインワン・アルバトロス費用が補償されるのは、国内のゴルフ場でのプレーに限定されており、海外は保険適用外です。ホールインワン・アルバトロス費用以外の補償は海外でも適用になるケースが多いですが、海外でプレーする場合は念のため保険会社に確認すると良いでしょう。
ゴルフ保険は必要?
ゴルフ保険で主に補償される4つの内容について説明をしてきましたが、ゴルフ保険の必要性を他の損害保険との関係も含めて検証してみましょう。
損害賠償責任への備えは用意するべき
ゴルフ保険の中で重要度が高いと考えられるのは他人への損害賠償責任保険です。プレー中や練習中に起きる可能性のある打球やスイングしたクラブによるケガは、賠償金が高額になる可能性もあります。保険で備えておくべきだと言えるでしょう。
自動車保険や火災保険でカバーできる補償
自動車保険や火災保険によっては、ゴルフ中の損害に備えられることも可能です。例えば、自動車保険や火災保険の特約である個人賠償責任保険に加入すれば、ゴルフ中の他人に対する損害を補償します。
ただし、個人賠償責任保険はゴルフについての補償内容は明記されていない場合が多いです。個人賠償責任保険でゴルフ中の損害にも備えたい場合には、どのような時に補償されるかなどを、加入している保険会社に確認する必要があります。
また、ゴルフ保険では事故が起きた際の示談交渉代行サービスがセットになっていることが多いです。しかし、保険会社によっては個人賠償責任保険に示談交渉の代行がセットになっていないものもあります。個人賠償責任保険でゴルフの損害に備えたい場合には、示談交渉代行サービスの有無についても、しっかりと確認した方が良いかもしれません。
海外旅行保険でカバーできる補償
海外旅行保険は病気やケガの際の高額の治療費に備えることがメインですが、賠償責任や携行物の損害に対しての補償もあります。被保険者のゴルフプレー中のケガ等は海外旅行保険で補償されます。従って、海外旅行保険の補償内容によっては、海外旅行のためにゴルフ保険へ加入しなくても良いかもしれません。
また、国内のゴルフ保険で海外でのプレーに際しても適用する保険もありますので、保険会社に確認をしましょう。ただし、ホールインワン・アルバトロス費用には海外でのプレーは適用されないため注意が必要です。
国内旅行保険でカバーできる補償
国内旅行保険とは、国内を旅行する際に生じた損害などを補償する保険です。個人で申し込む以外にも、旅行代理店がツアー旅行を企画する際に団体で加入する場合もあります。
日頃ゴルフをしない人でも、旅先では家族などに誘われてプレーをするかもしれません。旅行中のゴルフであれば、発生した損害にもよりますが旅行保険で補償される可能性が高いです。
国内旅行保険の保険料は比較的少額で、補償内容は病気やケガ、個人賠償責任、携行品損害などです。個人賠償責任の補償額は3000万円~5000万円の保険が多いので、国内旅行保険に入るか、旅行日程に合わせたゴルフ保険に入るかを比較して選ぶと良いかもしれません。
補償が重複しないように注意
自動車保険の特約として個人賠償責任保険に加入している人がゴルフ保険に加入した場合、補償が重複することがあります。重複して加入していた場合でも、事故が起きた場合には保険請求できるのは1社に限られてしまう可能性があります。
補償が重複しないように、自分がどのような保険に入っているかをよく確認することをおすすめします。
まとめ
ゴルフ保険で補償される内容と加入期間と保険料、そして他の損害保険・特約との関係や重複した場合のことについて説明をしてきました。ゴルフ保険は、自分で柔軟に加入日数を選べる保険です。また、他の保険でゴルフ中の損害をカバーすることも可能です。安心してゴルフを楽しむためにも、自分に合った保険を選んで下さい。
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