出産に至るまで、妊婦健診や分娩費用などのお金がかかりますが、申請をすることで助成金を受けられることを知っていますか?申請先は、市役所や会社など様々で、提出する書類も異なるため複雑ですが、きちんと確認して申請漏れがないようにしましょう。
目次
出産に必要な費用とは?
妊婦健診費用
正常な妊娠は、病気とはされないため健康保険の適用外です。しかし、出産までには平均で15~16回産婦人科等で妊婦健診を受けることが望ましいとされています。
妊婦健診の費用は、検査する内容によって異なり、3,000円程度で済むときもあれば20,000円近く費用が発生することもあります。また、健診を受ける病院によって費用も異なります。ただし、妊婦健診費用の一部は市区町村から助成を受けることができます。
分娩入院費用
妊娠と同じように、出産のための入院も健康保険の適用外ですが、健康保険に加入している妊婦であれば健康保険から420,000円の出産育児一時金を受け取れます。ただし、産科医療補償制度に未加入の産院で出産した場合、出産育児一時金は404,000円となります。
また、直接支払制度を利用すれば、健康保険から病院に直接一時金が支払われるため、実際には分娩入院費用は数万円程度となることが多いです。
マタニティ、ベビー用品準備費用
妊娠中にはマタニティ用品、出産後にはベビー用品をそろえる必要があります。例えば、大きくなるお腹に合わせたマタニティウェアや、赤ちゃん用の衣服などです。
しかし、マタニティウェアであれば専用のものでなくても、アイテムによっては普段使っているものを使い回すことも可能です。また、ベビー用品は限られた期間しか使用しないことも多いため、本当に必要なのかをよく考えて購入する必要があります。
市町村からもらえる助成金は?
妊婦健康診断受診票
先ほども少し説明しましたが、妊婦健診費用は市区町村から助成を受けることが可能です。ただし、受け取れるのは助成金ではなく妊婦健診受診票です。市区町村から受け取る受診票を医療機関に出し、助成金でカバーしきれない費用を妊婦が負担する仕組みとなっています。
乳幼児の医療費助成
乳幼児医療費助成は、赤ちゃんの医療費を助成する制度です。申請する期限は健康保険に加入してから1カ月健診までとなります。必要なものは、届出人の印鑑と出生届出済証明書が記入済みの母子手帳、そして、赤ちゃんの健康保険証と普通預金通帳です。
乳幼児医療費助成は、各市区町村によって対象となる金額等が異なります。また、必要なものも異なる場合があるため、事前に問い合わせておくと良いでしょう。
児童手当
児童手当は、育児によって発生するお金が支給される制度です。出生後から中学卒業まで受給できます。印鑑と児童手当を請求する人の保険証、名義が請求者になっている普通預金通帳、そして、所得証明書が必要です。
遡って申請することはできないため、出生後できるだけ早く申請しましょう。支給額は第1子か第2子か、小学生か中学生かによって異なります。また、世帯の年収によっては手当の額が一律5,000円となります。
出産祝金
自治体によっては、出産祝金を支給しています。ただし、交付には条件があるなど取り扱いは自治体によって様々です。出産祝金が支給されているか、またどのような書類が必要かは、市区町村の窓口に問い合わせてみましょう。
会社(健保)からもらえる助成金は?
出産育児一時金
先ほども説明しましたが、出産育児一時金は健康保険から出産費の一部が負担される制度です。直接支払を希望する場合は、出産する病院に申し出る必要があります。ただし、分娩費用は病院によって異なるため、出産育児一時金だけで分娩費用をカバーできるかを一度確認しておいた方が良いでしょう。
高額医療費控除
1年間に支払った医療費が100,000円を超えた場合、所得から超えた医療費を控除できる制度です。年間の所得金額が2,000,000円未満の場合は、所得金額に5%を掛けた額を超えた場合に適用されます。
妊婦健診費用や、入院費用なども高額医療費控除の対象です。控除は確定申告で行いますので、領収書をきちんと保管しておきましょう。
出産手当金
出産手当金は、産休中でも給料の一部(3分の2)が健康保険から支給される制度です。支給の対象となるのは、以下の通りです。
・出産前の42日
・出産の翌日から56日目まで
印鑑や健康保険証、手当金の振込先口座と出生が証明できる書類、そして、出産手当金の請求書が必要です。出産手当金は共済組合や健康保険が対象で、国民健康保険は対象外となるため、提出先は全て会社の窓口となります。
育児休業給付金
育児休業給付金は、育児休業中でも給料の一部(2分の1)が雇用保険から支給される制度です。育児休業を取得する1カ月前までが提出期限となり、提出先は勤務先の窓口になります。印鑑と給付金を受け取る口座、出生を証明する書類と育児休業基本給付金の申請書が必要です。
高額療養費制度
高額療養費制度は、1カ月の治療費が一定額を超えた場合に健康保険から超過分が返還される制度です。ただし、健康保険が適用できる治療に限り、切迫早産などで長期間入院した場合が対象です。
診察をした日の翌月から2年以内が提出の期限となり、健康保険・共済組合か国民健康保険かによって提出先が異なります。前者は健康保険・共済組合の窓口、後者は市役所に書類を提出します。提出する際には、印鑑と健康保険証、医療費の領収書と高額医療費支給の申請書類が必要です。
傷病手当金
健康保険に加入している人が、病気やけがなどによって働けなくなった場合に手当を受け取れる制度です。支給には業務外のけがであることや、4日以上働けなかったことなどの条件があります。
妊娠悪阻(つわり)や切迫早産などで働けなかった場合も傷病手当金の対象ですが、自宅で安静にするために働けない場合には医師の指示が必要です。手当を受け取るには、傷病手当金支給申請書を提出する必要があります。
その他もらえる・返ってくるお金は?
失業給付金
通常、失業給付金は働く意思がある人が働けない場合に支給されるもので、退職してから1年以内に給付を終える必要があります。しかし、妊娠・出産が理由で失業した場合、特例措置として3年間までの期間延長ができます。産後、再就職できる環境になってから給付金の申請をしても良いでしょう。
医療保険
正常な妊娠・出産は健康保険の適用外のため、医療保険に加入していても給付金は受け取れません。しかし、切迫早産・切迫流産で入院した場合や、帝王切開で出産した場合は給付金受け取りの対象となります。医療保険に加入している場合は、一度確認しておいた方が良いでしょう。
また、妊娠・出産を機に、医療保険に加入したいと考える人もいるかもしれません。通常、妊娠中は医療保険に加入できない可能性が高く、加入できても保障範囲が限られます。
ただし、産まれてくる子供のためにも医療保障について考えることは大切です。今の自分にどのような保険が適しているかわからない場合は、FP(ファイナンシャルプランナー)がいる保険代理店などに相談すると良いでしょう。
まとめ
産後には新生児の世話などもあり、落ち着いて書類をそろえることが難しい可能性があります。また、まだまだ産まれないと思っていても、突然出産が早まることもあります。事前にどのような書類が必要になるのかをチェックして、スムーズに手続きができるようにしましょう。
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