「がん」などの病気になった人に病気発見のきっかけについて聞いてみると、人間ドックで発見されたというケースが多いです。人間ドックには、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。また、健康診断とはどのような違いがあるのでしょうか。ここでは「人間ドック」と「健康診断」の違いや適切な人間ドックの利用の仕方などについて、まとめてみました。
目次
人間ドックとは?健康診断との違いは?
法的な義務がない
労働安全衛生法では、事業者(会社など)は労働者(従業員)に対して年に1回定期的に健康診断を義務付けており、従業員は健康診断を受ける義務があります。法定健診では受診する項目が決められており、費用も原則として事業所が負担します。
人間ドックも健康診断の一種ですが、法定の健康診断と異なり個人が自分の意思で受けるものです。人間ドックを受ける法的な義務は、事業者にも個人にもありません。
自営業・専業主婦も加入している健康保険に関係なく、無料で年1回の健康診断を受けることができます。さらに精密な健康診断を受けたいと希望する場合は、健康保険被保険者と同様に人間ドックを受診することになります。40歳~74歳の人には特定健康診査(メタボ健診)という制度もあります。
検査項目が決まっていない
人間ドックの検査項目は法的に決まっているわけでありません。それぞれの医療機関が決めた検査項目で人間ドックを行っています。例えば、健康診断では生活習慣病(糖尿病や高脂血症)の発見・発症予防のために、11~15の検査項目があることが一般的です。
一方で、人間ドックは検査項目数が50から100程度となっています。人間ドックでは、がんや中年以降に発症する病気の検査を行うことが多いです。
詳細な検査を受けられる
人間ドックでは、下記の検査を行うことが一般的です。
・詳細な血液と尿の検査
・上部消化管(内視鏡・透視検査)
・便潜血検査
・腹部エコー
・眼底・眼圧検査
・呼吸機能検査
・クレアチニン検査(腎臓機能)
また、男性の前立腺がん検査(PSA)や、女性の乳がんマンモグラフィーや乳腺エコー検査、子宮がん検診も行われることが多いです。ただし、検査項目は医療機関ごとに異なるため、事前によく説明を受けた方が良いでしょう。また、医療機関によっては、専門的な検査として以下の検査も行っています。
・MRI・MRAによる脳疾患の画像診断を行う脳ドック
・PET診断と呼ばれる画像診断で全身のがんのリスクを調べる検査
・心臓を詳細に検査する心臓ドック
医師による説明がある
人間ドックの大きな特長として、検査終了後に医師による詳細な説明があります。検査のデータから読み取れる健康上のリスクや画像診断の結果などを医師から説明を受けられることは、メリットといえるでしょう。また、生活習慣を改善するための指導を受けることもできます。
費用は施設によって違う
人間ドックの費用は医療施設によって異なります。検査項目は共通した内容がほとんどですが、具体的な手順や要する時間は異なります。
およそ半日で終了する半日ドックと呼ばれるコースもあれば、1泊2日のコースもあります。設備も、シンプルな実用本位の施設もあれば豪華な宿泊設備を備えたところもあり、費用はそれぞれ異なることを覚えておきましょう。
人間ドックの費用の目安は?
一般的な日帰りの人間ドック
一般的な日帰り人間ドックの費用は3万円~4万円になります。これは各医療施設がパンフレットや施設内で公表している検査項目を実施した場合の費用です。
追加で検査項目を増やした場合は、検査内容によりますが数千円追加となることが多いです。ただし、検査項目によっては1万円をこえることもありますので事前の確認が必要です。また検査項目を絞り込んだ人間ドック、例えば胃カメラドックもあります。
1泊2日で精密に調べるコース
1泊2日の人間ドックのコースは、5万円~10万円が費用の目安です。基本的な検査項目だけを行う1泊2日コースもありますが、専門的な検査項目であるMRIやPET検査などを行うコースもあります。検査項目の追加をした場合や、豪華なディナーや温泉付きなど設備に費用をかけている施設で人間ドックを行う場合は、さらに高額になります。
人間ドックは社会保険が適用される?
人間ドックは全額自己負担
健康診断の費用は、事業所または個人の負担が負担するのに対して、人間ドックの費用は全額自己負担となります。治療するための検査ではないため、社会保険や国民健康保険は適用されません。
人間ドックの支払いは高額になることが多いため、クレジットカードでの支払いを受け付ける施設も多くあります。ただし、クレジットカードでの支払いができない施設もありますので、事前によく確かめましょう。
補助を受けられる健保組合等も
人間ドックの費用について健康保険は適用されませんが、加入している健康保険によってはかかった費用の一部が補助されることがあります。いくら補助されるかなどは健康保険によって異なるため、加入している健康保険に確認しましょう。また、国民健康保険の加入者についても、自治体ごとに人間ドックの一部補助を行っているケースがありますので、確認して下さい。
確定申告で医療費控除の対象になる?
基本的には医療費控除の対象外
人間ドック費用は、基本的に医療費控除の対象外です。ただし、人間ドックの結果重大な病気が発見され、治療することになった場合は、その病気の発見につながった検査にかかる費用は医療費控除の対象になります。
例えば、診断結果で「要治療・通院/入院」の判定が出て、実際に治療を受けるようになった場合です。また「要再検査」「要精密検査」などの判定が出て、再検査の結果治療に至った場合も、人間ドック費用は控除対象になります。
まとめ
病気は、早期発見と早期の適切な治療が大切です。人間ドックでは、職場で実施される健康診断の検査項目の4倍から10倍の項目で検査が行われます。希望をすればさらに精密な検査も可能です。多少の費用はかかりますが、健康のため人間ドックを受けてみてはいかがでしょうか。
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