生命保険に入るなら、できるだけお得にしたいもの。そんなお得な保険のひとつとして知っておきたいのが、生命保険の団体保険です。そもそも団体保険とはどのようなものなのか、生命保険の団体扱いとどう違うのかメリットと注意点を含めご紹介します。
目次
団体保険とは
個人で生命保険に入るのもよいですが、企業勤めの場合、団体保険が利用できるのであれば、団体保険を利用した方がお得です。
保険会社が企業を通じて募集
そもそも団体保険とは、起業と通して募集が行われる保険のこと。企業と保険会社との契約によって従業員向けにうまれた独自の保険というイメージです。従業員向けの保険になるため、当然保険に加入できるのは企業に勤めている本人、そしてその家族となります。団体保険にはさまざまなものがあり、生命保険を団体保険として用意しているところも多いですが、中には医療保険や就業不能保険などが扱われていることもあります。
団体保険の種類
一般社団法人生命保険協会によると、団体保険は「団体定期保険」「総合福祉団体定期保険」「団体信用生命保険」の3つの主な商品に分類されます。保険料の支払いは、「被保険者負担」と「会社負担」(企業などが負担)する場合にわかれます。
- 団体定期保険 : 企業などが福利厚生のために導入する任意型の保険。加入者が保険料を負担。
- 総合福祉団体定期保険 : 企業などの所属員の遺族の生活保障のための全員加入が原則の1年更新の保険。企業などが保険料を負担。
- 団体信用生命保険 : 住宅ローン等の貸付保全のための保険。債務者が被保険者となる。
平成28年には、名寄せ被保険者数(複数会社による重複分を調整した被保険者数)が、3,886万人とされており、多くの企業などに所属している人が団体保険に加入していることがわかります。
団体保険については保険会社各社が様々な商品を提供していますので、自社に適した商品を探す場合には、専門家に相談してみるとよいでしょう。
団体扱いとの違い
生命保険には、団体保険の他にも団体扱いがあります。言葉の意味としてはかなり似た内容になりますが、性質は全く異なります。団体保険が企業で入っている保険であるのに対して、団体扱いはあくまで個人が加入している保険になるためです。団体扱いは企業が加入している訳ではないものの、扱いは企業に委ねられるため、基本的には保険料の徴収は給与天引きで、保険料も団体保険と同様に一般のものと比較すると割安になることが多いです。
団体保険のメリット
企業で加入する団体保険ですが、従業員が団体保険に入るメリットはあるのでしょうか。注目の割安な保険料と合わせて2つのメリットをご紹介します。
保険料が割安
団体保険で大きなポイントとなるのが、保険料の安さです。団体保険は、個人が加入する一般的な生命保険と比較して保険料が安くなります。どれくらい安くなるかは生命保険会社によって異なりますが、だいたい月々数千円程度です。年間にすると数万円から10万円近くまで保険料に差が出てしまうこともあります。生命保険の支払いをできるだけ安くしたいのであれば、ぜひ団体保険は検討したいところです。
それでは、なぜこれほどまでに支払う保険料に差が出てしまうのか。理由は、個人保険と比較して、団体保険は営業費用がかからないためです。通常新規の客を募集して契約まで至るには、顧客を管理する費用の他に代理店などに支払う費用も発生してしまいます。しかし団体保険は、すでに契約している企業の従業員が加入するというしくみです。人数的な要因もありますが、新たに営業をかけなくてよいという理由から、かかる費用は少なくなります。そのため、団体保険は通常の保険と比較すると割安なのです。
告知義務が緩やかなケースもある
生命保険に加入する場合、健康状態の告知が必要です。病気などリスクの高い顧客は保険の加入が厳しい個人であっても、団体保険では告知義務が緩やかなものもあります。そこまで問題ではないものの、少し病気を持っている場合は、団体保険の方がよいこともあります。
配当金が還元される場合がある
団体保険の多くは、1年ごとの定期型の商品である一方、1年ごとに収支計算を行い、剰余金が出た場合には、加入者に配当金として還元されることがあります。掛け捨て型の保険の場合、お金が戻ってくることはないのですが、団体保険では配当金が出ることによって、実質的な保険料が低くなるというメリットがあります。
団体保険の注意点
割安な保険料など、利用者にとってメリットも多い団体保険ですが、一方で注意しなければならないこともあります。団体保険がデメリットになってしまうケースを考えてみましょう。
加入時期が決まっているケースが多い
既に団体保険を取り扱っている企業では、加入時期を年に1~2回程度の期間に限って行っているケースが多いです。生命保険に加入したいと思い立ったときにすぐに加入できないのがネック。さらに、パンフレットの配布など簡単な紹介程度にとどまるケースも多いため、団体保険の加入時期を逃してしまう人は少なくありません。団体保険を利用したい場合は、パンフレットや申込書をまず見逃さないこと、資料を受け取ったらすぐに加入の時期を確認することが大切です。
転職時に継続できない
もうひとつ、団体保険のデメリットになってしまうのが転職時の保険の継続です。個人で生命保険に加入している場合は契約者が本人になるため、勤め先が変わっても、住所が変わっても保険を解約する必要がありません。しかし、団体保険はあくまで契約している企業に適用されるもの。原則、団体保険で加入した保険を引き継ぐことはできません。仮に、現在の勤め先を辞めて、新たに生命保険に加入する場合、保険料は年齢や健康状態によって加算されてしまいます。団体保険を利用せずに若いころから生命保険に加入数する場合と、途中から個人の生命保険に加入する場合とでは保険料の差は明確です。転職を考えている場合、個人の保険ではなく団体保険に加入していることで損をすることもあります。
まとめ
お得に利用できる生命保険の団体保険。企業が取り扱っている場合はぜひ確認しておきたいですが、今後転職の可能性があるなら要注意です。転職することで生命保険料の支払い額が上がってしまうことがあるので、これからも同じ企業に勤める意思があるのか、または転職する可能性があるのかで、加入するかどうか決定する方がよいでしょう。