先進医療特約とはどのようなものなのでしょうか?「先進医療の技術料は高い」というイメージを持たれる場合もありますが、もしもの時、それらの治療費を保険で賄うことができれば家計の負担を軽減することができます。この記事では先進医療の概要や必要性、先進医療特約などについて説明します。
目次
先進医療および先進医療特約とは
先進医療とは
先進医療とは、厚生労働省が指定する医療技術です。健康保険の対象からは外れているために技術料や治療費等の全額が患者負担となり、高額な出費となることもあります。
先進医療を受けるために必要な費用
先進医療の具体例を挙げると、がん治療に有効とされる陽子線治療では1件あたりの治療費が2,680,804円となっています。
(参考:厚生労働省 平成27年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について)
先進医療を提供している病院や施設は限られており、治療を受けるための交通費や宿泊費等も考慮に入れる必要があります。
先進医療特約の概要
先進医療にかかる金額は家計にとって負担となることが予想されますが、このような費用をカバーしてくれる保険の一種として、「先進医療特約」というものがあります。
「先進医療特約」では、先進医療の治療費が給付されることに加え、交通費や宿泊費等についてもカバーできるケースがあります。医療保険やがん保険に月額数百円程度で付加できる場合が多い特約です。
先進医療特約を付ける必要性
費用を気にせず先進医療が受けられる
先進医療を用いると、一般の治療法ではアプローチすることが困難な部位や症状にも対応できる場合があります。しかし、治療費が家計の負担となることを懸念して決断できないという人もいます。先進医療特約を付加しておくと、保障の範囲においては費用の心配をすることなく望む治療を受けられると言えます。
将来への安心材料となる
将来的に先進医療を受ける必要が生じたとしても、今から先進医療特約を付加しておくことでまとまった出費への不安を和らげることができます。つまり、月々数百円の負担が将来発生するかもしれない高額な医療費への備えにつながるとも言えるのです。
先進医療の主な具体例
実際に先進医療が用いられる病気には、どのような例があるのでしょうか?用いられる先進医療の技術と共に5つの例を紹介します。以下のような病気に罹ってしまった場合には、先進医療特約に加入していると安心して先進医療による治療を選択することができるかもしれません。
例1:「白内障」への「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」
「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」は白内障の治療に用いられる先進医療であり、多焦点機構をもつ眼内レンズの使用により、遠方と近方いずれにも焦点を合わせることを可能とするものです。これにより、健常に近い状態の視機能が得られ、眼鏡への依存を軽減することができます。水晶体再建は、超音波水晶体乳化吸引術と呼ばれる術式で行います。
例2:「がん」などへの「陽子線治療」
がん治療に用いられる治療法であり、放射線の一種である陽子線を患者の病巣に照射して治療します。この治療法においては入院を必要としないケースもあり、通院等による治療も可能であることが特徴です。
例3:「歯周病」に対する「バイオ・リジェネレーション法」
歯槽骨(しそうこつ)が歯周病の進行により破壊された状態でも、歯周組織の再生を促す特殊なタンパク質を欠損部へ填入することで、短時間の回復を促す治療法です。
例4:「緑内障」や「角膜ジストロフィー」への「前眼部三次元画像解析」
緑内障や角膜ジストロフィー等の治療に用いられ、特殊な撮影法による三次元画像データから前眼部各部位の断層面等を詳細に解析することが可能です。患者へ与える負担が少ないという利点があります。
例5:「早期子宮頸がん」への「腹腔鏡下広汎子宮全摘術」
早期の子宮頸がんに用いられる先進医療で、腹部に空けた小さな孔からモニター用のカメラ(腹腔鏡)や手術器具を挿入し、子宮の摘出を行います。開腹を伴わないため、患者への負担を軽減することができます。
まとめ
先進医療を用いた治療について知っておくことは、病気になった際の選択肢を広げることにもつながります。多くの保険会社で販売されている先進医療特約は、保険料で先進医療の治療にかかる出費に備えられる点が特徴です。将来の安心のため、加入を検討してみても良いかもしれません。