医療保険は、入院や通院時の医療費に備えるための保険ですが、日本は公的医療制度が充実していることもあり、医療保険の必要性に疑問を感じている人もいます。果たして医療保険は本当に必要なのでしょうか。今回は医療保険の必要性について年代別の考察も含め徹底解説します。
目次
医療保険の目的と意義
公的、民間2種類の医療保険がある
医療保険は、被保険者が病気やケガにより治療を受けたときの経済的負担を減らすことを目的とした保険です。医療保険には、政府が運営する国民健康保険などの「公的医療保険」と、保険会社が販売する「民間の医療保険」の2種類があります。
公的医療制度には、医療費の自己負担限度額を超えた分が払い戻される「高額療養費制度」があります。また、会社員が病気などによって働けなくなったときの生活費を保障する「傷病手当金制度」も公的医療制度の一つです。
民間医療保険は入院や通院などを保障
民間の医療保険は、公的医療制度ではカバーできない部分の保障を主な目的として販売されています。病気やケガで入院・手術した場合に給付金を支払う医療保険が一般的ですが、特約付加により通院時の治療費も保障する保険もあります。ただし、検査目的の入院など治療目的ではない入院や手術は保障対象外です。
女性特有の病気や先進医療も保障
医療保険を含む生命保険は、一般的に主契約(基本保障)と特約で成り立っています。主契約は契約している人であれば誰でも得られる保障ですが、特約は別途追加しなければ保障されません。特約を付加すると保険料は上がりますが、保障を上乗せできるメリットがあります。
保険会社によって細かい内容は異なりますが、医療保険には女性疾病特約など女性特有の病気になった場合に給付金を上乗せして支払う特約があります。また、健康保険適用外の先進医療の技術料を保障する先進医療特約もあります。
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医療保険に加入するべき4つの理由
自己負担額が家計への負担となる
公的医療制度によって医療費の自己負担は1~3割に軽減され、自己負担限度額を超えた医療費については「高額療養費制度」で払い戻されます。しかし、自己負担限度額までの医療費は自分で支払う必要があるため、治療期間が長くなればなるほど自己負担額が増大し、家計を圧迫します。
また、差額ベッド代や入院にかかる食事代などは公的医療保険の保障対象外であり、全額自己負担となります。このような医療費の自己負担に備えた貯蓄ができていない場合には、医療保険への加入を検討する必要があります。
先進医療への備えをしておきたい
先ほども少し説明しましたが、がんなどの治療に用いられる先進医療は、公的医療制度の対象外であり、全額自己負担額となります。先進診療の費用は高額になることが多く、例えば日本で未認可の抗がん剤治療を行なった場合には、自己負担額が数百万円になることもあります。先進診療の費用を保障してくれる医療保険に加入しておけば、医療費負担の心配が減るため受けられる治療の選択肢が広がるといえるでしょう。
高額療養費制度に対する不安を払拭
日本では少子高齢化が大きな社会問題になっています。少子高齢化が進むと、医療費の財源を確保するのが難しくなり、現在の公的医療制度が維持できないという事態に陥るかもしれません。
2017年には高額療養費制度が改正され、70歳以上の上限額が変わりました。今後、さらに少子高齢化が進めば再び制度を改正する可能性もあります。公的医療制度だけに頼らず、自分で民間の医療保険に加入して備えておく必要があるといえます。
働けない場合の収入減をカバーしたい
病気やケガなどの理由で入院してしまうと働くことができないため、休業中の収入が大幅に減少してしまいます。会社員であれば「傷病手当金」が支給されますが、給料の全額が保障されるわけではありません。貯蓄の少ない人や、傷病手当金が支給されない自営業者などは、働けない期間が発生すると生活に支障をきたす可能性があります。
医療保険に加入していれば、入院した場合は入院給付金、手術をした場合には手術給付金が受け取れるため、病気などで収入が減ってもある程度はカバーできるといえるでしょう。ちなみに、働けないときに備えることを目的とした保険として「所得補償保険」や「就業不能保険」も販売されています。医療保険と合わせて加入を検討すると良いでしょう。
年代別に考える医療保険の必要性
20代前半
働きだしたばかりで、まだ貯蓄額が少ない人が多い年代です。20代前半から医療保険に加入しておくと、病気やケガによる突然の出費に備えることができ、家計の負担が軽減します。また、若いうちから医療保険に加入しておくと、保険料が安いというメリットもあります。
20代後半から30代
20代後半から30代は、結婚や出産など家族構成が変化することが多い年代です。結婚をして家族ができた場合には、自分の病気やケガなどの備えはもちろんのこと、家族の病気やケガによる突然の出費にも備えておく必要があります。したがって、医療保険の必要性が高まる年代だといえるでしょう。
40代
いわゆる働き盛りと呼ばれる年代ですが、同時に子どもの教育や住宅ローンの返済などで1番出費が大きくなる時期でもあります。40代からは高血圧や糖尿病などの生活習慣病にかかる割合も増加するため、高額な医療費が家計を圧迫することも予想されます。貯蓄があるからといって安心せず、医療保険に加入して万が一のときの出費に備えることが必要です。
50代以降
老後の生活費の準備などを本格的に始める年代です。50代以降は入院を伴う治療を受ける割合も増えるため、医療費の自己負担が高額になることも考えられます。貯蓄が少ない場合には、民間の医療保険に加入して突然の出費に備える必要があります。
70代以降は先進医療保障がポイント
保険は、年齢や健康などのリスクを考慮して保険料が決まります。そのため、高齢になってから医療保険に加入した場合、保険料が高くなる傾向があります。また、70歳以降は、所得などにより医療費の自己負担割合が引き下げられるため、医療保険の必要性が他の年代に比べるとそれほど感じられないかもしれません。
しかし、70代以降に医療保険が全く不要というわけではありません。高齢になってから発症することが多い病気の一つに白内障がありますが、白内障の手術には以下のレンズが用いられます。
・多焦点眼内レンズ
・単焦点眼内レンズ
どちらのレンズにもメリットデメリットがありますが、多焦点眼内レンズは先進医療のため、手術の費用が全額自己負担です。先進医療特約が付加された医療保険に加入していれば先進医療の技術料も保障されるため、70代以降でも医療保険の必要性は高いといえるでしょう。
医療保険が不要な人もいる?
治療費を賄える貯蓄があるなら不要
万が一入院して、多額の医療費が発生しても、健康保険に加入していれば「高額療養費制度」が適用されるため、一ヶ月の医療費上限額を超えた部分は返金されます。つまり、医療費の全額を負担しなくても良いため、ある程度貯蓄がある人ならば医療保険に加入しなくても良いかもしれません。
ただし、入退院を繰り返すなど病気は長引くこともあります。また、差額ベッド代などは対象外など、全てが高額療養費制度の対象になるわけではありません。貯蓄がある人でも、医療保険の必要性についてはよく考えると良いでしょう。
必要性に悩んだらFPに相談
保険は入ったらそのままで終わり、という性質のものではなく、ライフステージの変化に合わせて定期的な見直しが必要です。今の自分に本当に必要な保障額はいくらぐらいなのか、あるいは今加入している保険で万が一に備えられるか悩んだ場合は、加入している保険会社に相談してみましょう。あるいは、FPに無料で相談できる保険代理店を利用する方法もあります。
まとめ
民間の医療保険には、「医療費の自己負担額を軽減する」「今後の公的医療制度の改正に備える」といった重要な役割があります。貯蓄額が少ない場合や、病気になったときに治療費を気にすることなく治療に専念したい場合は、民間の医療保険に加入することをおすすめします。
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