病気やけがで入院することになった場合、入院保険に加入していると入院費や手術費が保障されます。入院保険には、掛け捨て型や貯蓄型など様々な種類のものがあります。今回は入院保険の必要性や選び方、給付金の請求方法について見ていきます。
目次
入院保険(医療保険)の種類は?
掛け捨て型と貯蓄型
入院保険には主に掛け捨て型と貯蓄型があります。掛け捨て型とは、解約した際の返戻金をなくし、保険料を抑えたものです。加入期間中に料金が上がらないものもあります。
一方、貯蓄型は掛け捨て型よりも保険料が高く設定されることが多くなっていますが、解約時に返戻金として払った保険料が戻ってきます。
入院保険は必要?公的制度は何がある?
高額療養費制度、付加給付
公的医療保険制度には、高額療養費制度や付加給付があります。高額療養制度は、収入水準で定められた水準を月額医療費が上回った場合に超過分が支払われる制度です。付加給付は健康保険組合などによって運営される制度で、高額療養費制度に追加して超過分の医療費が給付されます。
傷病手当金
傷病手当金は、仕事以外の場面での病気やけがの発症によって休業し、療養が必要になった場合に給付金が受け取れるものです。申請すると、1年6ヶ月間に渡って支給が受けられます。
傷病手当金として受け取ることができる金額は、標準報酬月額の2/3です。標準報酬月額とは、4月から6月の給料の平均額によって一年間の報酬月額を求め、国の定める等級に当てはめたものです。
先進医療費など公的制度の上乗せに
がんの治療などに用いられる先進医療費は、高額療養費や付加給付の対象外です。また、傷病手当金も給付される期間が決まっているため、長期の療養が必要になった場合に対応できない可能性があります。民間保険会社が提供する入院保険や医療保険は、公的医療保険制度に保障を上乗せするもの、と考えて加入すると良いでしょう。
入院保険の選び方のポイント
入院日額は5,000円あれば安心
入院保険の検討をする際のポイントの一つが入院日額ですが、万が一入院が必要になり医療費が高額になっても高額療養費制度が適用されます。高額療養費制度を利用すれば、1ヶ月の自己負担治療費はおおよそ80,000円〜90,000円程度になるケースが多く、入院費は1日3,000円程度になると考えられます。したがって、入院日額は5,000円程度のものに加入すれば良いと言えるでしょう。
ただし、個室を指定した場合に請求される差額ベッド代などは全額自己負担となるため、3,000円以上入院費がかかる可能性もあります。手厚い保障を求める人は、5,000円以上の入院日額を検討しても良いかもしれません。
支払限度日数は60日で問題ない
入院保険を選ぶもう一つのポイントは支払限度日数です。保険会社によって60日や120日、360日など幅広く用意されていますが、厚生労働省が公表するデータによると病気やけがの発症に伴う入院日数は平均で32日程度です。支払い限度日数は、60日あればほとんどの入院をカバーできると言えるでしょう。
ただし、病気の種類によっては入院日数が長期間に渡る可能性もあります。
割安な特約はお守り代わりに
保障をプラスできる特約は、数百円程度で契約に付加できることがあります。例えば、先進医療特約は月額100円程度で付加できる保険が多いですが、治療費は健康保険適用外のため300万程度かかるケースもあります。お守り代わりに先進医療特約はつけておくと良いでしょう。
ただし女性特約の場合は、他の疾病よりも必ずしも医療費が高くなるものではありません。三大疾病特約も保険料が割高になることがあるため、必要性に応じて付加しましょう。
入院保険の請求方法は?
保険会社に所定の用紙を申請
入院保険を請求する際には、まず保険会社に連絡し所定の用紙を申請します。保険に加入する際に担当してくれた営業職員や窓口、コールセンターのいずれかに連絡しましょう。契約内容などの確認をする可能性があるので、連絡の際には保険証券も用意しておくと手続きがスムーズです。
病院で診断書を書いてもらう
保険会社から書類を受け取ったら、担当の医師に診断書を作成してもらいます。診断書を作成するためには被保険者の自己負担で4,000円〜5,000円程度必要になります。
保険会社によっては所定の診断書を使用するところもあり、手違いなどで書き直すことになると再度費用がかかります。保険会社から送付された書類を持参すると手違いなく進められます。
書類をそろえ保険会社に郵送
必要な書類を一式そろえたら保険会社に郵送します。書類に不備があると支払いが遅れるため、入院給付金請求書と医師による診断書、保険証券の3点がそろっているか確認が必要です。
書類を送付すると情報に基づいて保険会社が審査を行い、審査に通れば保険金が給付されます。なお、請求期間は3年以内です。3年を過ぎると給付金を受け取れない可能性が高いです。
出産での入院、給付金は受け取れる?
正常分娩では受け取れない
医療行為を行わずに経腟分部をすることを正常分娩と言いますが、正常分娩による入院は入院給付金の対象外になり全額自己負担です。ただし、出産をすると国の制度である出産育児一時金が支給されます。そのため、正常分娩での入院費全額を支払うわけではありません。
また、出産前に手続きをしておけば、出産育児一時金を直接医療機関に支払うこともできます。退院時には出産育児一時金と入院費用の差額のみの支払いになるので、できるだけ事前に出産育児一時金の手続きをしておくと良いでしょう。
帝王切開の場合は受け取れる
帝王切開で出産する場合は、入院給付金と手術手当金の受け取りが可能です。出産育児一時金は国の制度のため、入院給付金を受け取っていても別で支給されます。
ちなみに、帝王切開で出産後に保険に加入しようとすると、加入できない場合や帝王切開による入院や手術は保険金が支払われない条件での保険加入になることもあります。出産を考えている女性は、自分の保険の内容を見直しておいた方が良いでしょう。
給付金は年末調整や確定申告が必要?
給付金は非課税なので不要
入院給付金や手術給付金は、税法上非課税とされます。したがって、年末調整、確定申告のいずれの場合も記入する必要はありません。
入院給付金と手術給付金以外にも、通院給付金なども非課税の対象です。所得税法によって定められている事項なので、年度内に給付金を受け取ったという人は覚えておきましょう。
相続財産となると相続税がかかる
死亡保険金の受け取りなどで財産相続の扱いになると、相続税が発生します。ただし、保険金の受取人次第で相続税の一部を控除することも可能です。
具体的には、受取人を亡くなった人に設定していると相続税が控除されます。法定相続人など死亡者本人以外に受取人を指定すると、相続税が発生します。
生存給付金など所得税がかかる場合も
保険商品の中には、保険期間中に加入者が生きていることで給付金を受け取れる生存給付金があります。生存給付金の受け取りは一時所得に該当し、受け取ることで所得税が発生することがあります。
実際には一時所得には50万円の控除額があるため生存給付金を受け取っても課税されないケースが多いですが、課税されることもある、ということを覚えておくと良いでしょう。
まとめ
公的医療保険制度だけではなく、民間医療保険制度を利用することで入院時でも安心して保障を受けられるようになります。そして、給付金には課税されるものとされないものがあります。保険金の請求をはじめ、各種処理方法を事前に確認することも大切です。