生命保険は病気の発症や事故、災害、人の死亡よって収入に維持ができなくなった時に備える上で大切なものです。将来、安心して暮らすためにも生命保険への加入を検討している方もいるでしょう。今回は、日本全国の生命保険の加入率を年代や都道府県別で詳細にチェックしていきます。
目次
生命保険の加入率と推移は?
日本の加入率は世界でもトップクラス
生命保険は、先進国であれば多くの国に普及している保険商品の一つです。私たちは様々なリスクに囲まれながら毎日の生活を送っています。例えば、病気の発症や事故によるケガで働けなくなってしまうことや、人の死亡といったケースが挙げられます。
少子高齢化によって社会全体で健康に対する意識の高まりが見られる日本では、生命保険加入率は世界でもトップクラスです。平成27年の調査によれば、加入率は全体で89.2%(個人年金保険を含む)となっています。
加入率の推移とその背景
加入率の推移は、生命保険文化センターが公表している『生命保険に関する全国実態調査』によると
平成15年 91.7%
平成18年 90.3%
平成21年 90.3%
平成24年 90.5%
平成27年89.2%
となっており、いずれも高水準を保っています。(民間生命保険会社やかんぽ生命やJA共済や県民共済など全生保を対象)
まず高水準を維持している理由は、少子高齢化によって個人の健康意識が向上している点にあります。また個人のニーズに合った多様な生命保険商品が市場に出回っているという点も理由の一つとして挙げられるでしょう。
次に平成27年に向けて加入率は若干低下している理由ですが、一つ目は人口が減少している点。そして二つ目は、生命保険を活用せずに貯蓄や資産運用を行う人が増加しつつあるという点にあります。
世帯・年代・都道府県別の加入率
生命保険の加入率は世帯や年代、さらには都道府県によって大きく異なります。
「世帯加入率」は89.2%
生命保険の世帯加入率は、平成27年の全生保で見た世帯加入率は89.2%です。世帯加入率は、主婦や独身世帯の方の生命保険加入数も含まれます。特に女性の場合、近年では乳がんなど女性特有の病気に注目が集まっているということもあり、世帯加入率を押し上げる要因の一つとなっています。
「年代別加入率」 20代は77.5%だが年代別では最低
次に世帯主年代別の生命保険加入率について説明します。『生命保険に関する全国実態調査』平成27年のデータによると下記の通りです。
29歳以下:77.5%
30〜34歳:86.7%
35〜39歳:93.3%
40〜44歳:91.4%
45〜49歳:95.2%
50〜54歳:92.8%
55〜59歳:96.1%
60〜64歳:91.2%
65〜69歳:91.2%
70歳以上:80.9%
このデータより、20代をはじめとした若年層の加入率が、他の年代と比較して低水準に留まっていることがわかります。理由は、若年層は高齢層と比較した際に病気の発症や死亡のリスクが低いと考えられます。
「都道府県別加入件数」は人口と相関あり
一般社団法人『2017年版生命保険の動向』が発表した、平成28年における個人保険の契約状況を都道府県別に上位・下位それぞれ5位をみていきます。
【上位5位】
1位 東京:1,923万件
2位 大阪:1,175万件
3位 神奈川:1,132万件
4位 愛知:991万件
5位 埼玉:886万件
大都市を中心とした地域での生命保険加入件数が多いということがわかります。これは都市圏の方が地方に比べて人口が多いことが考えられます。
【下位5位】
1位 鳥取:87万件
2位 島根:89万件
3位 高知:101万件
4位 山梨:111万件
5位 徳島:113万件
下位5位は人口が少ない地方となっており、生命保険加入件数は低い水準に留まっていることがわかります。
他の保険と加入率に差はある?
近年では、生命保険や損害保険にあてはまらない第3分野の保険と呼ばれるものも誕生しています。医療保険やがん保険、介護保険など「ある分野」に特化した保険で、これは生命保険会社と損害保険会社の双方が扱える保険です。生命保険と比較した際に加入率に差があるのかどうかをチェックしていきましょう。『生命保険に関する全国実態調査』によると、それぞれ下記の通りです。
「医療保険」の加入率は91.7%
医療保険の平成27年世帯加入率は91.7%で、高水準となっています。これは生命保険の世帯加入率よりも高い水準にあります。多くの人が病気やケガなどの準備として医療保険を選択していることがわかります。
「がん保険」の加入率は60.7%
がん保険の平成27年世帯加入率は60.7%で、生命保険や医療保険に比べて低水準となっていますが、これはがんを発症した際の保障が他の保険でも受けられるということも関係しています。
「介護保険」の加入率は15.3%
介護保険の平成27年世帯加入率は15.3%で、他の保険商品よりも低い水準です。これは認知度の低さや、他の保険が優先になっている、費用の考え方が分からないといった点が考えられます。
海外の生命保険との違いは?
海外の生命保険の特徴
欧米をはじめとした海外諸国の生命保険商品の特徴は、日本の商品と比較して保険料が低額であるケースが多いという点にあります。日本は保険料が高額であるため、保険料支払いで生活費が圧迫されているというケースも少なくありません。一方、欧米諸国の場合、保険商品の価格が安く、企業間の競争も活発である点に特徴があります。
アメリカの生命保険加入率が低い理由
アメリカは、日本と比較すると生命保険加入率が低水準となっています。その理由は、保険の見直しに力を入れ、不要な保険には加入しない姿勢があるためです。また先進医療に健康保険が適応されるケースも多いため、日本のような医療保険を必要としていない場合もあります。こういった理由からアメリカの生命保険加入率は低くなっています。
まとめ
生命保険の必要性は、年齢や性別、さらには地域ごとでも異なってきます。なんとなく決めて入るのではなく、自身のライフプランや月々の支払面などを考慮した上で、必要な生命保険に加入するようにしましょう。