平成14年度に厚生労働省が算出したデータによれば、生涯に一度はうつ病になる人の割合は15人に1人。うつ病の発症率は年々上昇しており、誰もが発症する可能性があると言えます。発症した際の保険による保障はどのような仕組みになっているのでしょうか。今回はうつ病と保障についてチェックしていきます。
目次
うつ病ってどんな病気?
ストレスなどが原因の精神疾患
うつ病は様々な要因が重なって発症すると考えられており、過度なストレスによって引き起こされる精神疾患です。人間関係のトラブルや環境の変化によるストレスで引き起こす環境的要因や、義務感が強い性格、周囲に気を配りが過ぎてしまう性格が要因で、エネルギーを使い過ぎてして引き起こす場合もあります。そして脳内で感情に関する情報をうまく処理できない、といった遺伝的側面で引き起こすこともあります。
通院による治療が主流
うつ病を発症した場合、ゆっくり体を休ませることが大切です。また治療方法は通院によって行うものが主流です。医師の指導を受け、薬を飲みながら徐々に症状を改善していくことになります。
うつ病になると生命保険に加入しづらいワケは?
うつ病完治後5年間は保険に加入できない
うつ病を完治したとしても、その後5年は生命保険に加入することは難しく、その理由はうつ病は再発するリスクが高い病気だからです。また、うつ病患者は自殺や投薬による不眠症、生活習慣病のリスクも高くなります。
保険加入時には告知書の提出義務がある
保険に加入する場合には、告知書を提出しなくてはなりません。告知書とは、現在までの自分の健康状態、これまでの病歴などを報告するものです。
告知書で嘘をついても後でばれる
うつ病を発症した経歴を伏せて告知書を書けば良いのではないか、と考える方もいるかもしれません。しかし、告知書に虚偽の情報を記載する、もしくは情報を伏せるなどのことをしてもいずれ発覚します。生命保険会社は、被保険者の情報が正しいかどうか念入りにチェックします。虚偽が発覚すると、給付金が支払われない場合や契約継続も難しくなることもあるので注意しましょう。
うつ病でも入れる保険の種類は?
うつ病を患っていても加入出来る可能性が高い保険商品があります。
引受基準緩和型保険
引受基準緩和型保険は、比較的加入条件が緩やかに設定された保険商品です。病気を持っていても入れる保険なので、その分保険料が高く設定されています。
無選択型医療保険
無選択型医療保険は、告知書を提出することなく加入することが出来る保険商品です。引受基準緩和型保険と同様、保険料は割高に設定されています。また病気を再発する可能性もあるため、加入後一定期間は保険金が安く設定されます。
指定疾病不担保制度
指定疾病不担保制度は、持病を抱えている方や過去に病気を発症した経歴がある方でも加入しやすくする制度です。ある特定の病気に対する担保を掛けない代わりに、他の病気に対する担保を得ることが出来ます。前述2つの保険よりも保険料を安く抑えられます。
うつ病の場合に使える公的支援制度とは?
うつ病を発症した際の保障制度は民間の保険制度だけではありません。うつ病を患う現代人の多さから、公的支援制度も充実しつつあります。
自立支援医療
自立支援医療は、精神疾患を患った際に医療費の一部を負担してもらえる制度です。(入院費用に関しては保障の対象外となります。)なお保障対象となる疾病は統合失調症、うつ病、躁うつ病、不安障害、知的障害、てんかんの6種類です。負担額は所得の状況によって定められています。手続きは各市区町村の担当窓口で行います。
健康保険の傷病手当金
傷病手当金とは、病気や怪我の発症により勤務先を連続3日間休んだ場合に、4日目以降の欠勤日に支払いを受けられる健康保険制度です。受け取れる手当金は日割給与の2/3であり、最長で一年半受け取り続けることが可能です。
特別障害者手当
特別障害者手当は、精神や身体に重度の障害を有する特別障害者に対して支給される手当です。年齢条件は20歳以上です。支給月額は26,810円の定額支給となっています。
障害年金
障害年金は、病気や怪我の発症にとって生活や仕事が制限される場合に受け取ることが出来る年金制度です。現役世代の方であっても受給可能ですが、公的年金保険料の納付実績などの条件が設けられています。
障害者控除
障害者控除は、住民税や所得税の控除を受けられる制度です。精神疾患を持つ方や障害を持つ方を扶養している場合に控除を受けられる可能性があります。
【対象】
身体障害者手帳3級〜6級の方
知的障害を持つ方
精神保健福祉手帳2級〜3級の方
対象となる疾患の例は統合失調症うつ病、躁うつ病、てんかんなどです。支援は、生活福祉金の貸し付け、障害者の職業訓練、上下水道料金の割引などがあります。
まとめ
うつ病は現代では性別や年齢に関わらず誰もが発症し得る病です。自分や家族、周りの人たちが発症した時にしっかりと保障を受けられるように、事前に調べておくとよいでしょう。