民間の保険会社が販売する保険商品に類似するものとして、共済が挙げられます。共済とは、JA(農業協同組合)や全労済(全国労働者共済生活協同組合連合会)、全国生協連(全国生活協同組合連合会)などの組織が運営しており、基本的に非営利となっています。今回の記事では、兵庫県民共済について紹介します。
目次
兵庫県民共済とは
県民共済を運営する組織の大元は全国生協連であり、共済を有する各都道府県が運営を代行する形を取っています。その一つである兵庫県民共済の特徴は次の通りです。
生命共済と新型火災共済の2種類
生命共済は保険会社が販売する生命保険と似た仕組みになっており、病気の発症や死亡のリスクを保障します(後ほど詳しく紹介します)。新型火災共済は、住宅火災の他、自然災害や水漏れなどの被害を保障する共済です。住宅に加え、家具や電気製品などの家財についても共済金が支払われるケースがあります。
剰余金は「割戻金」として返金
剰余金とは、効率的な事業を行った結果として生じる利益のことを指します。各県民共済では、払い込まれた共済掛金に対して発生した剰余金を「割戻金」として返金しています。割戻金は毎年の決算によって決まるため一定の金額ではありませんが、加入者へ払い戻されることで掛金の負担軽減へつながっています。
兵庫県民共済の生命共済とは
ここでは、兵庫県民共済の生命共済について詳細に説明します。
年齢による商品の区分
兵庫県民共済においては、年齢によって加入できる共済が異なります。0〜17歳を対象とした「こども型」、満18歳から満64歳を対象とした「総合保障型」や「入院保障型」、満65歳から満69歳を対象とした「熟年型」や「熟年入院型」など、対象年齢と希望の保障内容に合致した共済を選択することができます。
こども型の掛金と主な保障内容
こども型には、月の掛金が1,000円の「こども1型」と、同じく2,000円の「こども2型」があり、どちらも子どもの入院や通院、日帰り手術などに対応しています。こども1型・こども2型とも保障内容は変わりませんが、支払われる共済金の金額に差があります。子ども本人への保障に加え、第三者への損害賠償や契約者の死亡についても保障対象となります。
総合保障型の掛金と主な保障内容
総合保障型には、掛金が1,000円、2,000円、4,000円のコースがあります。2,000円コースの場合、病気入院をした際に入院1日目から1日あたり4,500円、病気死亡の場合は400万円の共済金を受け取れます。他のコースについても同様の保障がありますが、受け取ることのできる共済金の金額が異なります。
熟年型の掛金と主な保障内容
熟年型には、掛金が2,000円と4,000円のコースがあります。2,000円コースの場合、病気入院の際には入院1日目から1日あたり2,500円が、病気死亡の際には100万円の共済金を受け取ることができます。こども型・総合保障型と同じく、「他のコースでも保障内容は同様・共済金の金額は異なる」という形を取っています。
兵庫県民共済の生命共済のメリット
兵庫県民共済のメリットとして、以下のような点が挙げられます。
年齢が上がっても掛金が一定
民間の保険商品の中には、保険を更新したり年齢を重ねたりするごとに保険料が上がるケースも少なくありません。しかし、兵庫県民共済の総合保障型や熟年型については、年齢による掛金の増額は行われないこととなっています。
破綻するリスクが少ない
共済事業は全国生協連という非営利の団体によって行われているため、利益を生み出すためにリスクのある資産運用を行うことは基本的にありません。その分、運営組織自体が破綻するリスクも低くなると言えます。
職業による加入制限がない
民間の保険商品においては、怪我や病気をしたり死亡したりするリスクが高いとされる職業に就いている場合、加入を制限されるケースもあります。しかし、各県民共済については、職業による加入制限は原則として設けられていません。
兵庫県民共済の生命共済のデメリット
メリットがある一方、デメリットと言える点も存在します。
加入できる年齢に制限がある
兵庫県民共済は、満69歳までの人を加入対象としています。民間の保険会社の中には年齢規制を撤廃したプランを展開しているところもあるため、ある程度以上の年齢になってから加入を希望したい場合には共済以外を検討するのが良いでしょう。
若年層は保障内容のコストパフォーマンスが良くない
前述の通り年齢による掛金の増額がないことを考慮すると、若年層の加入者へ向けた保障内容のコストパフォーマンスが優れているとは言えない側面があります。若年層よりも病気や死亡のリスクが高い高齢者に対する保障の方が手厚くなる傾向にあります。
他県へ引っ越すと移管手続きが必要
県民共済は加入した都道府県ごとにデータが管理されているため、転勤などで他県へ引っ越す場合には移管手続きが必要となります。また、中には共済が提供されていない都道府県もあるため、転居の際には事前の確認がすすめられます。
兵庫県民共済の各種手続き方法
住所変更
インターネット・電話・ハガキのいずれかの方法で住所の変更ができます(※)。その際、加入者の氏名、加入者番号、新旧の住所と電話番号、口座変更の有無などを組合に通知する必要があります。また新型火災共済に加入している場合も、加入内容の変更が伴うため同様です。
※海外から手続きを行う際や兵庫県外へ住所を変更する際には、インターネットでの手続きができない場合があります。
請求
共済金を請求する際は、加入者の氏名、加入者番号、事故の状況、負傷の程度、病気の容体、治療期間などを組合へ通知します。内容に応じた書類が送付されて来るため、必要事項を記入して返送します。書類の内容を組合が確認し、支払いに該当すると認められた場合、共済金が支払われることになります。
まとめ
兵庫県民共済の特徴や保障内容について紹介しました。民間の保険会社の商品と比較すると、共済にはメリット・デメリットのどちらも存在すると言えます。不明点については事前に確認を行うなどしながら、多角的に加入を検討すると良いでしょう。