共済組合にはいろいろな種類があり、中には掛金が高いと言われるケースもあります。この記事では、共済組合の種類や掛金、年末調整時の手続きなどについて紹介します。
目次
共済組合にはどんな種類がある?
国家公務員・地方公務員の共済
共済組合とは、主に公務員や私立学校の教職員へ医療保険・年金基金などの社会保障を提供する社会保険組合のことを言います。公務員とその被扶養家族を対象とした共済組合には、国家公務員共済組合・地方公務員共済組合の2種類があります。
国家公務員共済組合は、国家公務員の年金や介護、葬祭、医療施設や宿泊施設の運営などに関わる業務を行っています。地方公務員共済組合は、地方公務員の年金や健康保険などを取り扱う機関で、企業における健康保険組合や厚生年金などと同じ役割を果たしています。
どちらの共済組合も常勤で働く人が加入者として扱われています。また、共済組合にはさまざまな種類があり、国家公務員共済組合であれば裁判所・厚生労働省など、地方公務員共済組合であれば都道府県職員・警察など、職種によって所属する共済組合は異なります。
私学共済
私学共済とは、私立の学校法人等へ勤務する教職員やその被扶養家族が加入する共済組合です。個人の意思で加入するか否かを決めることは原則としてできず、私立の学校法人等で一定勤務時間の拘束を受けていれば自動的に加入することになります。非常勤やパートタイマー・日雇い・試用期間中などの人であっても、常用的に日々の業務へ組み込まれている場合には加入者として扱われます。
共済組合の掛金とは?
そもそも共済掛金とは
共済掛金は、給与・期末手当などの金額へ掛金率を乗じて算出します。掛金率は属する共済組合によって異なります。
共済組合の掛金には、以下の3種類があります。
・短期掛金…健康保険の保険料に相当する掛金
・長期掛金…厚生年金保険に相当する掛金
・介護掛金…介護保険料に相当する掛金
短期掛金と長期掛金
短期掛金とは、会社員でいうところの健康保険料と同じ役割を持っています。健康保険を運営するための資金となります。長期掛金は年金にあたるもので、「退職共済年金」「障害共済年金」「遺族共済年金」の3種類があります。それぞれ厚生年金と同様の役割を持っており、基礎年金へ上乗せして支給されるようになっています。
仕訳に使う勘定科目は共済によって違う
勘定科目とは、かかった費用をどこに計上すれば良いかわかりやすいように分類したものです。多くの場合、共済掛金は社会保障の一種であることから「経費」として扱われます。しかし、共済組合ごとに勘定科目が異なるケースもあります。詳しく知りたい場合は、総務部や税理士などに確認してみましょう。
産前産後や育児休業中の掛金免除
産前産後休暇や育児休業中の掛金については、本人の申し出によって免除されることがあります。このような理由で掛金の免除を受けた場合、年金額の算定で不利が生じるようなことは基本的にありません。ただし、任意継続組合員については免除の対象外となるため、注意してください。
「掛金早見表」で金額がわかる場合も
公務員の共済・私学共済どちらにも「掛金早見表」があります。これを活用すると、およその掛金年額を算出することができます。掛金は標準報酬月額によって決定されるため、早見表の該当箇所から自分の月額掛金を確認し、12を乗じて計算してください。
共済掛金は年末調整で控除される?
共済掛金は控除の対象になる
共済掛金は社会保険料控除の対象となります。ほとんどの場合、共済掛金は給与から天引きされますが、給与の源泉徴収からもれてしまう掛金については年末調整で申告をすることができます。
年末調整の際に行う手続き
一定の時期になると、加入している共済組合から掛金証明書が送付されてきます。必要に応じて「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」へ記入を行い、掛金証明書とともに勤務先へ提出すれば手続きは完了です。
加入者保険料と同じく消費税は非課税
民間の保険に加入している場合、保険料の支払いの多くは「非課税取引」という扱いであり、課税の対象外となります。共済組合の掛金も保険料と同じような性質を持っているため、消費税は課税されません。
共済組合の掛金は高すぎる?
掛金が高い金額に設定されている理由
一般企業に勤務している人の年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建てとなりますが、共済組合へ加入している公務員や私学職員へは「国民年金」と「共済年金」に加えて「職域加算」が上乗せされ、3階建ての年金となります。共済の掛金が厚生年金よりも高くなってしまう理由として「3階部分の上乗せ年金を準備するため」という点が挙げられます。
退職後の掛金にも注意
共済組合へは、退職後の2年間については任意で継続加入することが可能です。任意継続のためには、退職日から20日以内に申請と掛金の支払いを完了する必要があります。任意継続を行うと引き続き保障を受けることができますが、現職時に事業種と折半で負担していた掛金が全額自己負担となる点に注意が必要です。
まとめ
共済組合の掛金に関して、将来の年金を上乗せするために高く設定されていること、基本的に非課税であること、任意継続の際には金額に注意が必要であることなどを紹介しました。不明点などについては社内の担当者や税理士などに相談し、年末調整などの際に困る事のないようにしておきましょう。