公務員向けの共済組合が行っている共済貯金を知っていますか?共済組合は資格が無いと加入できない組合のため、詳細について知らない人も多いのではないでしょうか。今回は、共済積立貯金の仕組みや、メリットやデメリット、リスクなどを説明していきます。
目次
共済貯金(共済預金)ってなに?
国家公務員などが加入する組合の貯金
共済貯金は、組合員からの「掛金」によって資金運用を行い、それを積み立てて預金する、公務員向け福祉事業のひとつです。加入することができるのは組合員に限られており、任意継続の組合員や継続長期組合員の加入はできないようになっています。組合員とは、以下の人を指します。
・文部科学省、スポーツ庁、文化庁などの各省庁に常時勤務している国家公務員
・各自治体で勤務する地方公務員
・国立大学法人や大学共同利用機関法人
・文部科学省が所管する独立行政法人に常時勤務している役職員
天引きで1,000円から積立できる
共済貯金の積立方法は、定期積立と臨時積立の2つがあります。定期積立は、毎月の給与から天引きで一定の金額を積み立てる仕組みです。臨時積立は、6月・12月などの期末・勤勉手当からの一定額を積み立てる仕組みとなっています。
積立方法から、定期積立のみ、または、定期積立と臨時積立のどちらかを選択する必要があり、臨時積立のみを利用することはできません。積立金額は、1,000円単位で設定することができるため、毎月少額ずつ積み立てたり、ボーナスの時に一気に積み立てたりすることも可能です。
残高確認は通知書を参照
貯金の残高の確認は、組合員本人からであれば職場の組合員宛に電話で回答してもらうことができます。しかし、自宅や携帯電話などへの回答については、組合員本人であることの確認が取れないため、回答できないことになっています。また、「積立貯金残高通知書」が4月・10月の年2回発行されており、それで残高を確認することができるようになっています。
利率などを非公開とする組合も
共済貯金の利率を公開していない組合もあります。また、一部の組合では、共済貯金の制度の仕組みや記入例などをホームページに掲載しているものの、IDとパスワードがなければ閲覧できません。
共済貯金を利用する際の注意点って?
任意継続以外の組合員のみ加入可能
各組合によって多少の違いはあるものの、加入資格を持っているのは組合員に限られており、任意継続組合員は加入できない仕組みとなっています。ただし、自由口座のみ任意継続組合員でも利用できるようにしている組合もあります。組合員の資格を喪失してしまった場合には、共済貯金を解約しなければならないことも注意しておきましょう。
申し込み・解約は書面で手続き
共済貯金への申し込みや解約などの手続きは、すべて書面で行われます。組合が指定する銀行窓口に以下のものを持参し、手続きを行いましょう。
・ 印鑑
・ 組合員口座の通帳
・ 組合員証 または 本人確認資料(運転免許証など)
・ 個人番号通知書 または 個人番号カード
・ 現金
解約する際には、組合員としての資格喪失から一定期間内に口座の解約をする必要があります。この期間は組合によって多少の違いはあるものの、約1か月以内というのがほとんどです。期間内に手続きをしましょう。
貯金者の死亡時は通帳の写し等が必要
解約手続き時に、相続人が準備しなければならない書類は以下の通りです。
・ 請求者および相続人と元組合員の続柄を証明するもの
・ 請求者の受け取り金融機関の通帳の写し
・ 「共済貯金解約届出書」
→ 組合員氏名欄については、解約金の受取人(請求者)の氏名を記入し、受取人(請求者)の印鑑の押印をすること
・ 送金先と相続人の同意書
→ 「送金先と相続人の同意書」については、所属所から死亡の連絡を受けたあと、共済組合から所属所を通して送付されてくる
払い戻し日以外には引き出しにくい
預貯金を引き出すには、払戻しを行う必要があり、各組合によって払戻のための手続きの締切日が異なります。
所属している各組合共済組合の払戻スケジュールを参考に、手続きの締切日までに手続きを完了させることで、払い戻しが可能となります。
4月や10月については期末決算処理等のため、払戻スケジュールの記載通りに手続きができない場合もあります。あらかじめ余裕を持ったスケジュールで手続きを行うようにしましょう。
組合が破綻したらペイオフは適用される?
ペイオフとは
預金保険制度に加盟している金融機関で預金した場合、預金者と金融機関、預金保険機構との三者間で、自動的に保険契約が成立するようになっています。これによって、もし金融機関が破綻してしまったとしても、ペイオフ方式あるいは資金援助方式により預金者の資産を保護する仕組みになっています。ただし、ペイオフで保護されるのは金融機関ごとに預金者1人あたり1,000万円とその利息までです。
共済組合・組合員間には適用されない
共済組合は、ペイオフ(預金保険制度)における金融機関に該当しません。そのため、共済組合と共済貯金の預金者である組合員との間には、ペイオフ制度の適用を受けることはできません。ただし、共済貯金は資金の9割近くを国債や地方債権など安全性の高い有価証券を中心に運用しています。
共済組合・金融機関間には適用される
共済組合が、共済貯金の運用を銀行などの金融機関を通して行っている場合、共済組合と運用している金融機関との間には、ペイオフ制度が適用されます。ただし、すべての共済組合が銀行などの金融機関を通して共済貯金の運用をしているわけではありません。
元本割れの危険がゼロではない
先ほども説明した通り、共済貯金は安全性の高い国債や地方債権などで運用していますが、元本割れの危険性がゼロというわけではありません。しかし、できるだけリスクを抑えるために、共済積立貯金の預金者である組合員が預金者となる「特約付合同共同運用指定金銭信託」を利用している組合もあります。これで運用することによって、預金者1人あたり1,000万円まで預金保険制度の適用を受けることができる仕組みを作っています。
まとめ
公務員向けの共済貯金は、利率が高いメリットがある一方でペイオフが適用されないなどのデメリットがあり、運用する組合が破綻した時にはリスクがあることがわかりました。しかし、リスクを抑えられるように工夫している組合や貯金の利率を公開していない組合もあるなど、共済組合といってもそれぞれ異なる組織と言えるのではないでしょうか。
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