「返戻」という言葉について、「目にしたことはあっても正しい読み方や使い方は知らない」という人も多いのではないでしょうか?今回は、「返戻」の読み方や意味、医療や保険分野における使われ方などを解説します。
目次
「返戻」の読み方と意味は?
「へんるい」は間違い!文字通り「返す・戻す」という意味
保険の説明などで“解約返戻金”という文字を見かけたことはありませんか?「返戻」という文字を見て「へんるい」と読んでしまう方も少なくないかもしれませんが、正しくは「へんれい」と読みます。「返し戻すこと、返却、返還」という意味を持つ言葉です。
混同しやすい「返礼」との使い方の違い
「返礼」というのは自分が受けた礼や贈り物に対して、相手に挨拶や品物を贈り返すことを指します。身近なところでは、葬儀の香典返しなどが「返礼」に当たります。
「返戻」が「預かっていたものを返却・返還する」という意味であるのに対し、「返礼」は「受けたものに対してのお返し」という意味合いを持っているため、同じ読み方でも使い方は異なります。たとえば、ふるさと納税をしたときに送られてくる品物が「返戻品」ではなく「返礼品」と呼ばれるのは、“納税に対するお礼”という意味が込められているためと考えられます。
よく耳にするのは医療・保険の2分野
「返戻」という言葉がよく使用される例として、医療・保険の2分野を挙げることができます。まず、医療分野の「返戻」から見ていきましょう。
医療分野ではレセプト業務に「返戻」という言葉が出てきます。レセプト業務とは、医療機関の診療代を請求する手続きのことを言います。手続きの中でミスや不適当な部分があった場合には「返戻処理」や「査定」などが行われることになります。
「返戻処理」とはレセプト業務の差し戻しを行うこと、「査定」とは不適当な項目について精査し必要があれば減額や減点を行うことを指します。返戻については再請求が可能ですが、査定は再請求ができません。「返戻処理」が発生するケースとして多いのは、介護保険被保険者証の保険者番号・被保険者番号などが誤っている場合です。
保険の「返戻金」「返戻率」って何?
返戻金には「解約返戻金」と「満期返戻金」がある
次に、保険における返戻について説明します。保険の返戻金には2種類あります。
1つ目は「解約返戻金」です。解約返戻金とは、保険契約を解約したときに戻ってくるお金のことです。一般的には契約が長くなればなるほど増えることが多いのですが、解約する時期次第では払込保険料を下回る場合もあります。「解約払戻金」と呼ばれることもありますが、基本的には「解約返戻金」と同じものを指しています。
2つ目は満期返戻金です。満期返戻金とは、保険契約が満期を迎えた時に被保険者が生存しているともらえるお金のことを言います。
返戻金のある保険・ない保険
返戻金は、全ての保険にあるわけではありません。では、返戻金がある保険とない保険の違いはどこにあるのでしょうか?
返戻金がある保険の特徴として、保険期間が長い点や貯蓄性がある点が挙げられます。終身保険、養老保険などが該当します。満期を迎えた人だけでなく途中で解約した人へもお金を払い戻すことを前提とするため、保険料はやや高額に設定される傾向にあります。
一方、掛け捨ての保険には返戻金がなかったり、あっても低い金額であったりします。定期保険や一部の医療保険などがこのタイプにあたり、返ってくるお金が少額となる可能性が高い代わりに保険料は安価であることが多い点が特徴です。
「払ったお金が戻って来る割合」を表す返戻率
返戻金の金額は「返戻率」によって決まります。返戻率とは、払ったお金が戻ってくる割合のことです。貯蓄目的で保険への加入を考えているのであれば重視した方が良い数字と言えますが、返戻率が高いと保険料も高くなるケースがあるため注意が必要です。
また、返戻率にばかり気を取られて保障内容の確認がおろそかになってしまうことも考えられます。返戻率と保障内容、どちらもきちんとチェックした上で保険への加入を検討しましょう。
返戻金をより多く受け取るには?
返戻率の高い保険に入る
返戻金を多く受け取るには、返戻率の高い保険を選ぶことが一つの方法です。前述したように、保険期間が長く貯蓄性の高い保険は返戻率も高い傾向にあるため、そういった保険を加入候補にすると十分な返戻金を受け取れる可能性も高まります。
解約時期を見極める
解約時期を見極めることもポイントとなります。早期に解約すると返戻金が払込保険料を下回ってしまう保険であっても、ある時期を過ぎると払込保険料以上の返戻金を受け取れるというケースもあります。満期を待たずに解約する可能性が生じた場合には、加入してからの経過年数と返戻率を確認しておくとよいでしょう。
外貨建て保険や低解約返戻型保険を検討する
外貨建て保険や低解約返戻型保険などを検討するという方法もあります。外貨建て保険には為替変動によって受け取り金額が変動するリスクがあるものの、返戻率は円建ての保険よりも高いことが多く、その分多くの解約返戻金を受け取れる場合があります。
低解約返戻型保険とは、保険料支払い期間中は返戻率が低く設定されていて、保険料の払込が終わると通常の返戻率に戻る保険のことを言います。途中解約を考えていない場合や、保険料を抑えつつ貯蓄をしたい場合などは検討してみても良いかもしれません。
まとめ
今回は「返戻」という言葉について掘り下げてみました。基本的な読み方や意味、用語など、生活に関係する部分も多かったのではないでしょうか。特に保険関連については知っておいた方が良い言葉であると言えます。「返戻」の使い方を正しく知り、日常に役立ててみてください。