生命保険の中には、保障と貯蓄の両方を備えることができる「貯蓄型保険」と呼ばれる商品があります。貯蓄型保険にはどのようなメリットがあるのでしょうか。今回は、貯蓄型保険の選び方や掛け捨て型との比較ポイントについて解説します。
目次
貯蓄型保険とは
保険料を積み立てるタイプの保険
貯蓄型保険とは、保険期間内は通常の保険としての役割を果たし、満期到来や解約などの際にはお金を受け取ることができる保険の総称です。保険によっても異なりますが、受け取る額が支払った保険料を上回ることが多く、保障だけでなく貯蓄もできるものとして注目されています。
生命保険料控除の対象なら節税に
生命保険料控除とは、税負担を公平にするために設けられた所得控除の一種です。生命保険料控除には一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除があり、支払った保険料に応じて一定額を所得から控除します。
・一般生命保険料控除・・・死亡、あるいは生存していることで保険金が支払われるもの。終身保険や養老保険、学資保険など。
・介護医療保険料控除・・・病気が理由で保険金が支払われるものが対象。医療保険やがん保険など。
・個人年金保険料控除・・・個人年金保険が対象。
生命保険料控除の対象であれば、所得から控除できるため節税になるといえます。ただし、契約期間が5年に満たない貯蓄保険は対象外など、控除できる保険には条件があります。
貯蓄型保険の種類とは
養老保険や終身保険
養老保険とは、死亡保険と生存保険が1つになったものです。保険期間内に被保険者が亡くなってしまった場合には死亡保険金が支払われ、何事もなく保険期間が満了となった場合には生存保険金が支払われる仕組みです。
終身保険の保険期間は終身(亡くなるまで)で、支払った保険料と同程度かそれ以上の死亡保険金が保障されます。また、解約返戻金を一定の期間据え置くことによって、支払った金額よりも増える場合が多い点も特徴です。
個人年金や学資保険
個人年金保険も貯蓄型保険に分類されます。保険期間内は支払った保険料の金額が死亡保険金として最低保障され、保険期間が満了となれば満期金に保険期間内の運用益を上乗せした金額を受け取ることができます。
学資保険とは、子どもが進学する際などの教育資金を備えるための保険です。多くの学資保険には、支払い途中に契約者である保護者に万が一のことがあった場合は、それ以降の保険料支払いが免除となります。
貯蓄型保険のメリットとデメリット
貯蓄型保険の持っているメリット・デメリットについてそれぞれ説明します。
保障と貯蓄を両立できる
貯蓄型保険のメリットは、保障と貯蓄の備えができることです。支払った金額が最終的に自分へ帰ってくる保険であれば、いつ起きるともしれない万が一の事態に備えられるといえます。
また、契約する保険によっては支払った金額より多くのお金が戻ってくる場合もあります。利率が高い保険に加入し、当分使う予定のない資金を保険料に充てることで、銀行に預金をするよりも効率のいい貯蓄になることがあります。
中途解約は元本割れ可能性がある
デメリットとしては、長期的な運用を前提としているため、途中解約をしてしまうと元本割れをする可能性があります。また、掛け捨ての保険よりも保険料が高めに設定される点もデメリットと言えるでしょう。
将来のためと高い保険料で契約しても、支払いの苦しさから解約するようなことになっては貯蓄型保険の利点を生かせなくなってしまいます。契約の際には収支バランスなどをよく考えて金額を決めるようにしましょう。
貯蓄型vs掛け捨て、選ぶならどっち?
貯蓄や運用が苦手なら貯蓄型
保険は、期日までに保険料を払わないと契約が消滅してしまいます。保険料を毎月自動で引き落とされるように設定しておけば、貯蓄の習慣づけがなかなかできない人でも一定額ずつお金を貯めることができます。
払い込んだ保険料は解約手続きをしなければ返戻されないため、銀行口座のように思わず引き出してしまうといった心配もありません。貯蓄型保険を選べば保障だけでなく資産形成もできるため、貯蓄が苦手な人や資産運用ができない人は、メリットがあるといえるでしょう。
保険料が抑えられるのは掛け捨て型
貯蓄型保険は、支払った保険料の一部を保障に充て、一部を積み立てに回します。そのため、掛け捨て保険と比べると同程度の保障でも貯蓄型保険の方が保険料は高くなりがちです。できるだけ保険料を抑えたい場合は、保険料が抑えられる掛け捨て型を選んだ方が良いといえます。
貯蓄型保険の選び方
貯蓄型保険にはさまざまな種類があることは説明しましたが、契約の際には目的に合わせた保険選びをする必要があります。それぞれの目的に応じた貯蓄型保険の選び方を紹介します。
保障と貯金を兼ねるなら養老保険
保障と貯金を兼ねたいと考えている人には、養老保険が向いています。保険期間内には万が一の際の保障が付き、期間内に何もなければ生存保険金として支払った金額より多くのお金が戻ってきます。掛け捨ての保険であれば保障のみがですが、何もなかった場合でもお金をもらえるのは養老保険の特徴です。
ただし、生存と死亡どちらに対しても保険金受取が発生するという性質上、返戻率で見ると他の貯蓄性保険の方が高い傾向にあります。貯蓄を重視する方は利率をよく見比べておくようにしましょう。
老後に備えるなら終身保険や個人年金
老後に備えておきたいと考えている方には、終身保険および個人年金保険が適している可能性があります。貯蓄型の終身保険は、毎月の保険料の支払いや据え置きを所定の年数分重ねることで、解約返戻金が支払った保険料を上回ることが多い保険です。また個人年金保険も保険料の支払いや据え置きを経て満期が到来すると、支払った金額より多くのお金が自分に戻ってくることが多いです。
教育資金を蓄えるなら学資保険
子どもの教育資金を蓄えたい人には学資保険がよいでしょう。多くの学資保険では、多額の資金が必要とされる大学入学などのタイミングでお金を受け取れます。また、先ほど説明したように、保険料を支払う契約者に万が一のことが起こった際には保険料の支払いが免除され、学資保険としての機能は満期まで残ることになります。
利率重視なら外貨建ても
利率を重視するなら、ドル建てなどの外貨建ての貯蓄型保険も視野にいれましょう。外貨建ての保険とは、積み立てて運用する通貨を円ではなくドルなどの外貨で行うものです。終身保険や個人年金保険などで外貨建ての保険が販売されています。
ドルなどの外貨は円に比べると金利が高いため、外貨建ての保険は円建ての保険に比べると利率が高く設定されていることが多いです。ただし、為替手数料が必要だったり、為替相場の変動によるリスクがあったりするなどのデメリットもあります。
比較するときは返戻率をチェック
返戻率とは、契約者が支払った保険料に対して受け取ることのできる保険金の割合をパーセンテージで示したものです。ちなみにここでの保険金とは、学資保険であれば祝い金も含めるなど、受け取れる全ての保険金を合算したものとなります。
返戻率は、100を超えていれば払った保険料よりも多くの保険金を受け取れます。しかし、100を切る場合は、支払う保険料よりも受け取れる保険金が少ない元本割れの状態となります。
貯蓄保険を選ぶ際には、返戻率に注目しましょう。ただし、返戻率が高いからといって、保険料が高い保険に加入すると保険料が払えず解約する可能性もあります。いくらまでの保険料なら払えるかをしっかり考えてから加入しましょう。
まとめ
貯蓄型保険は保険としての機能に加え、貯蓄としても備えることができます。しかし、その分通常の保険よりも保険料が割高になるケースもあります。貯蓄型保険への加入を検討しているのであれば、メリットとデメリットの両面を踏まえて目的に合った保険選びができるようにしましょう。
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