保険は長い期間に渡り加入することが多く、保険料が安いことは契約者にとってメリットになりますが、安さだけで保険を選んでいいものでしょうか。今回は保険料シュミュレーションをする場合の「安さ」以外に注意する点を解説します。
目次
保険シミュレーションの落とし穴
加入目的を考えずに保険料の安さだけで選ぶ
家族構成や、家の新築、老後の生活費など保険に加入する目的や必要保障額はそれぞれ異なります。保険料が安いことだけで選ぶと、自分の目的に合わない商品に加入する可能性があります。
例えば掛け捨ての保険商品は、月々の保険料は安くても貯蓄性はありません。一方貯蓄型の保険は、将来受け取れる返戻金が多く、積み立てとしての機能もありますが掛け金が高くなる傾向にあります。
保険は「安い」だけでなく、自分の目的に合わせて加入すると良いでしょう。
保障と保険料のバランスを考えていない
「保険料はそれほど払えないので、とにかく安い保険にしたい」と、自分が払える金額だけで選ぶと、必要な保障額が足りていないことがあります。
保険は、加入者によって必要な額が異なります。シミュレーションをする際には払える金額だけを重視するのではなく、自分にはどれくらいの保障額が必要かを考えると良いです。
ネット割引に気を取られてしまう
一部の生命保険や自動車保険では、インターネット経由で契約をすると割引を行うキャンペーンを行っています。しかし、保険は長期間に渡って保険料を支払う商品のため、契約時の割引よりも実際に支払う保険料がいくらになるかが大切です。例えば契約時に1万円割引されたとしても、支払う保険料が通常の保険とあまり変わらなければ、保険料の負担はそれほど変わらなくなります。
シミュレーションの際は、割引額がいくらかよりも、月々いくら支払うのか、それに対して保障額はいくらあるのかを考慮しましょう。
保険料や保障額を決めるポイント
保険料は家計を圧迫しない金額
保険は、長期間に渡って保険料を支払う商品です。保険のシミュレーションの際には家計を圧迫しない保険料になるようにしましょう。
例えば、10年更新や15年更新など契約から一定期間が経つと更新される保険がありますが、更新時には保険料が大きく上がることがあります。保障が必要な時期に更新が来ると、保険料が家計を圧迫することとなります。
また、保険料が支払えないからといって解約すると、払い込んだ保険料よりも返戻金が少なくなることがあり契約者にとってリスクが高いです。家計の状態を把握して保険料を決めましょう。
死亡保障で家族の生活を賄えるか
加入している死亡保険の保障額が、家族の生活を賄えるかどうかもシミュレーションの中で考慮する項目です。独身者と扶養家族がいる世帯主では、加入すべき保障額も異なります。
ちなみに、世帯主が万が一の場合には国から遺族年金、会社からは弔慰金が支払われる場合もあります。自分にとって必要な保障額はいくらなのかをよく考えましょう。
保障内容を決めるポイント
持病があると保険に加入ができない、あるいは加入できても保障内容が制限される可能性があります。契約時には健康でも、何らかの病気にかかり保険に入れなくなる可能性もあります。現在は不要だと考えていても、医療保障も付けてシミュレーションをすると良いでしょう。
ただし、「引受基準緩和型医療保険」など持病があっても入れる保険もあります。
親族に遺伝的な病気があるかどうか
病気には遺伝的な要因でかかりやすいとされるものがあり、「がん」などは多因子遺伝病と呼ばれています。親や兄弟ががんになったからと言ってがんになるわけではありませんが、両親や兄弟がかかった病気は本人もかかりやすい傾向があります。
親族にがんになった人がいる場合はがん保険をシミュレーションするなど、保障内容を決める際には親族の病気にも気を配るようにしましょう。
趣味など野外活動が多いかどうか
趣味や野外活動によるケガのリスクも保障内容を決めるポイントのひとつです。趣味や野外活動時には天候や自然災害によりケガや事故に遭う可能性があります。趣味や野外活動が多い場合には、病気だけでなくケガによる通院が保障される保険も考慮に入れてシミュレーションをした方が良いでしょう。
契約の見直しができるか
医療の進歩により、日帰り入院が増えるなど入院日数は減る傾向にあります。がん治療においても通院治療が増えるなど、時代によって必要な保障は変化します。また、子供が自立して自分が定年退職した場合には、必要な保障額が少なくなることもあります。
シミュレーションをする際には、契約後に保障内容の見直しができるかどうかに注目しましょう。
保険会社の付帯サービスもチェック
セカンドオピニオンサービスの有無
保険会社によっては、契約者限定のサービスが契約に付帯していることがあります。シミュレーションの際には付帯サービスもチェックしましょう。例えば、「セカンドオピニオンサービス」は主治医が診断した病名や治療方法だけでなく、ほかの選択肢がないかどうかを主治医以外の医師に確認することができます。
「健康相談ダイヤル」では、健康や医療、メンタルヘルスなどについて医師や保健師、看護師などに電話で相談が可能です。24時間365日利用できる会社もあります。
宿泊施設の割引やジムの優待
提携している宿泊施設の割引や、スポーツクラブやジムが優待価格で利用できるサービスに対応した保険会社もあります。また、映画やレンタカーを優待価格で利用できる保険会社もあります。利用方法によっては契約者にとってのメリットになるので、チェックしておくと良いかもしれません。
保険料を安くお得にするポイント
カード払いでポイントを貯める
保険会社によっては保険料をクレジットカードで支払うことができます。保険料をクレジットカードで払いできれば、ポイントが貯まり得をすることになります。支払いに対応したカードを所有していれば、支払方法を見直すことも一つの方法です。
保険料を年払いで払う
月払いよりも年払いで保険料を支払うと割引がされるため、支払うべき保険料が安くなります。例えば、契約者が30歳で18年間支払う学資保険では、月払いを年払いに変更すれば、通算で保険料が5万円以上安くなり、保険料に対する返戻率も2%ほど上がります。
一時的に支払う金額は多くなりますが、契約者にとってはメリットがあるのでお金に余裕がある場合は年払いを検討すると良いでしょう。
保険シミュレーションを活用するには
保険シミュレーションを活用するには、一社だけで見積もりをするのではなく比較サイトを使うなどして保険料や保険内容の比較をしましょう。アプリで簡単に見積もれる保険会社もあります。自分だけではどの保険がよいかわからない場合には、FP(ファイナンシャルプランナー)や保険代理店などにシミュレーションを依頼する方法もあります。
まとめ
保険料のシミュレーションをする際には、安さだけでなく加入の目的などをしっかり考える必要があります。自分にとって必要な保障は何かをよく考え、自分に合った保険を探しましょう。