基本的に医療費は本人の3割負担ですが、歯科の場合は自費で治療を受ける機会が多くなるという人もいます。その分、保険適用内の治療を受けられるのかどうかという点については気になるのではないでしょうか。差し歯の治療は保険適用範囲内にあるのか、素材による適用の違いはあるのかなどについて確認してみましょう。
目次
差し歯とは?
土台となる自分の歯にかぶせる被せ物
差し歯は、土台となる歯に被せ物をすることによって、虫歯で失われてしまった部分をカバーする治療です。自分の歯を残せる点がメリットと言えます。
被せ物のことを「クラウン」と呼ぶこともあります。クラウンには、一部をカバーするタイプ・全体をカバーするタイプなどの種類があります。
素材によっては保険適用可
被せ物は、素材によって保険適用が可能です。たとえば、パラジウム合金などが保険適用素材として一般的に使われています。
しかし、保険適用ができる素材だと入れた歯を傷つけてしまう可能性があり、見た目が人工物だと分かりやすいタイプのものもあります。より自然で満足度の高い仕上がりを希望する場合は、保険適用外のものを選ぶという選択肢もあるでしょう。
差し歯とインプラントは全くの別物
人工の歯という点では共通しているものの、混同されやすいのが「差し歯」と「インプラント」です。インプラントは、歯茎にネジのような器具を埋め込み、上から人工の歯を取り付ける治療です。インプラントでないと治療できない場合などを除き、基本的に保険適用外となります。
対して差し歯は、自分の歯を削って土台を作り、その上から被せ物をする治療なので全く別の処置と言えます。前述の通り、保険適用内かどうかは素材によって異なります。
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硬質レジンジャケット冠
硬質レジンジャケット冠は、自然な仕上がりと言われるセラミックほどではないものの、天然の歯に近い色合いを再現することが可能とされる素材です。時間が経つと着色が目立つようになる場合もありますが、前から見た時に目立つ前歯から犬歯までの6本については原則として保険が適用されます。保険適用内の歯であれば費用は3,000~5,000円程度で、金属を使用しないためアレルギー発症の可能性も低くなります。
硬質レジン前装冠
硬質レジンジャケット冠に似ていますが、裏側や内側の見えにくい部分には金属が使用されています。金属アレルギーの心配がないとは言えないものの、硬質レジンジャケット冠よりも強度が高いため使用している歯科も多い素材です。
保険適用となるのは、硬質レジンジャケット冠と同様に前歯から犬歯までの6本です。保険適用となる歯の費用は1本5,000~8,000円程度となり、硬質レジンジャケット冠よりやや高額と言えます。
CAD/CAM冠
セラミック素材へは基本的に保険が適用されませんが、セラミックとレジンを使用したハイブリッド素材であるCAD/CAM(キャドキャム)冠については一部保険適用内となります。レジンと比べて汚れにくく、他の歯を傷つけにくいのが特徴です。また、保険が適用されるのは前歯から4番目と5番目の歯のみで、1本あたり9,000円程度の費用がかかります。
銀歯
銀歯といわれる被せ物は、金銀パラジウム合金という金属からできています。保険適用内の被せ物で、犬歯よりも奥の見えにくい部分にある歯の治療に使われることが多い素材です。
型取りにかかる費用も含め、1本数千円程度で治療を受けることができます。部分的な被せ物でなく、歯全体を覆うように被せる銀歯についてもそれほど高額な治療費とならないケースがほとんどです。
保険の差し歯を入れるメリットは?
治療費用を安く抑えられる
保険適用内の範囲で差し歯を入れるメリットは、費用を抑えられることです。セラミックなどの素材を使った治療を行う場合、1本あたり数万円から10万円以上がかかるケースも珍しくありません。
銀歯や保険適用の歯に対する硬質レジンジャケット冠の使用であれば、1本数千円程度に費用を抑えることができます。
前歯や奥歯でも白い差し歯が可能
見た目を気にしてセラミックの差し歯にしたいと考える人もいるかもしれませんが、保険適用内の治療でも自然な色の差し歯に近づけることは可能です。
硬質レジンジャケット冠や硬質レジン前装冠は前歯の全面を白に近い色にすることができ、コンポジットレジンという素材(一部について保険適用)を使えば奥の方の歯も白く見せることが可能です。
保険の差し歯を使うデメリットは?
見た目の美しさは限定的
保険適用内の治療でも白に近い差し歯にすることはできますが、高額になりやすいセラミックと比較すると見た目が劣る場合もあります。天然の歯に近い色合いをある程度再現することができても、セラミックほど発色やツヤがよいわけではありません。
また、レジンを使用した治療は汚れやすく、数年で交換しなければならないケースもあります。長期的な使用には不向きとも言えます。
強度や寿命が自費の差し歯より劣る
保険適用内の差し歯は変色に弱い部分もありますが、同時に寿命の面でも自費の差し歯に劣ることがあります。素材自体の強度を比較すると「自費の差し歯の方が長持ちする」と一概には言えないケースもありますが、長く同じ歯を使い続けてゆくことを考えたいのであれば、自費の素材を選択した方がよい場合もあります。
差し歯が取れたときの保証がない可能性
保険が適用されない自費での治療の場合、差し歯が取れても2年間の保証期間が設けられています。一方、保険適用内の差し歯については歯科によって判断がまちまちです。
保証が受けられる可能性もありますが、場合によっては新たに差し歯の料金を支払わなくてはならないことも考えられます。不安であれば、差し歯が取れた場合の保険適用についてかかりつけの歯科へ確認しておくと安心です。
歯列矯正で使う差し歯に保険はきく?
1種類の素材のみ保険適用可能
通常の治療では、硬質レジンジャケット冠・硬質レジン前装冠・銀歯など保険適用となる素材はいくつかありますが、歯列矯正に用いる差し歯については適用範囲が異なります。
歯列矯正で保険が適用される素材は硬質レジン前装冠1種類のみとなります。費用は1本2,000~8,000円程度で、主に前歯の矯正に使用されます。
まとめ
差し歯の治療では、素材によって保険が適用される場合があります。数千円程度の費用で済むケースもあり、大きな負担と感じない人もいるでしょう。しかし、寿命や耐久性・保証などの面で保険適用外の素材に劣る可能性もあるため、治療の際には歯科医の説明をきちんと聞き、不明点については確認しておくことがすすめられます。
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