社会保険とはどんなものなのでしょうか。だれが入らなくてはならないのか、条件や金額はどの位かかるのかという社会保険に関する疑問を抱えている人は多いかもしれません。この記事では、雇用保険や国民保険との違いなど社会保険がもっと身近になる、知っておきたい基礎情報について紹介します。
目次
社会保険制度ってなに?種類とは?
原則すべての国民に加入の義務がある
社会保険制度とは、任意で入る生命保険や自動車保険とは全く別のカテゴリに位置する公的な保険制度です。狭義で捉える場合には「医療保険」「年金保険」「介護保険」の3つを指します。
そして広義で社会保険を捉えた場合にはそれに「雇用保険」「労災保険」が追加され、全部で5つに分けて考えられています。社会保険制度は、人が生きていくために必要な保障、そして人が安心して働くための保障制度です。そのため、原則国民すべてに加入の義務があります。
加入条件は決まっている
原則すべての国民に加入の義務がある社会保険ですが、実際のところ加入出来る条件は決まっています。例えば、従業員5人以上を雇っている事業所は社会保険に強制加入の対象になりますが、従業員5人未満の個人事務所や飲食店は任意加入です。
また、従業員が5人以上であっても弁護士、農業などの一部の業種については任意加入となる場合があります。自分の職業が対象となっているか確認しておく必要があるでしょう。
社会保険料の具体的な金額
社会保険料の中で健康保険料や厚生年金保険料は次の計算式で求める事が出来ます。
【健康保険料=標準報酬月額×健康保険料率】
【厚生年金保険料=標準報酬月額×厚生年金保険料率】
※標準報酬月額とは、毎年1回7月に4月から6月の給料の平均を用いて国によって決められているものです。
・標準報酬月額が20万円だった場合の健康保険料を求める場合
20万円×9.91%=19,820(健康保険料全額)
(H29年東京都、介護保険第2被保険者に該当しない場合の利率9.91%を適用)
従業員の給料から天引きされる額は半額になるので、支払額は9,910円となります。
社会保険と他の保険との違い
社会保険と雇用保険について
広義では雇用保険も社会保険とカウントされる事がありますが、この項では狭義に捉えた場合の「健康保険」と「年金保険」「介護保険」を社会保険として考えます。
「健康保険」とは病院にかかった時、私たちが支払う費用以外の部分を負担してくれるものです。また、「厚生年金保険」は老齢厚生年金の支払いや障害厚生年金、遺族厚生年金等の年金支払いを保障、「介護保険」は介護が必要な人に対して保障をするものです。
つまり、社会保険とは身近でよく起こる生活のための保障を継続的にしてくれるものです。対して「雇用保険」とは、一時的に保障してくれる保険です。仕事の失業によって基本手当を受給出来たり、日雇い労働者に対する給付金などをもらえたり雇用に対して収入が途切れてしまった場合に保障対象となります。
社会保険と雇用保険の性質には違いがある事を知っておきましょう。
社会保険と国民保険について
日本では、国民は公的医療保険に加入する義務があります。一般的には、サラリーマンと呼ばれる人は働く事業所が社会保険の適用になっており、社会保険に加入している事が多いです。それに対して、主に自営業者、年金受給者が加入する公的医療保険は国民健康保険です。
勤務条件によって加入すべき団体が異なり、それによって保障割合や内容も変わります。
社会保険に加入するメリット
厚生年金とセットで加入出来る
社会保険に加入するメリットの一つに、厚生年金とセットになっている事が挙げられます。厚生年金への加入は扶養制度や年金が基礎年金に上乗せされるなど保障が充実しており、家族の分までの保障を考えた場合や老後を考えた場合のメリットは大きいと言えます。
正社員で働いている場合、社会保険と厚生年金には一緒に加入する事が多く、働いている時から老後の保障を厚くする事が出来ます。
健康保険料の半額は会社が負担
社会保険も国民健康保険もその保険料は支払われている給与によって変動します。給料が上がれば、支払い負担額も比例して上がっていくことになります。
ただし、自営業などの国民健康保険加入者は保険料の全額が自己負担ですが、社会保険の場合は保険料の半額は会社が負担してくれます。少ない負担額で保障が得られるため、社会保険加入者のメリットと言えるでしょう。
保障制度が充実している
社会保険に加入すると、次のような保障制度を受ける事が出来ます。
「医療保険」けがや病気、亡くなった場合などにかかる費用の一部負担をしてくれます。
「年金保険」老後の年金や遺族年金、障害年金などが保障されます。
「介護保険」訪問介護や施設利用などの際に保険給付として援助されます。
「雇用保険」失業手当や育児休業給付などが一時的に給付されます。
「労災保険」通勤中や勤務時のけがや死亡に対して一時金や年金が給付されます。
社会保険に加入するデメリット
社会保険に加入すると、給料から保険料が天引きされることになります。そのため、パートタイム労働者などが夫の扶養から外れて自分で社会保険に加入すると、手取りが減少してしまう場合があります。
将来的やいざという時の保障は安心ですが、毎月の手取りを減らしたくない場合には社会保険の加入条件と労働条件を考慮にいれて働いた方が良いかもしれません。
社会保険に関するポイント
社会保険完備かどうか確認しよう
社会保険は、要件を満たしていれば正社員ではなくても加入する事になります。しかし、社会保険加入者が増えると企業側としては残り半分の保険料を負担しなければなりません。アルバイトやパートタイム労働者は社会保障に加入させないなどというケースもあるようです。
社会保険に加入したいと考えている場合には、予め確認しておきましょう。
社会保険証発行は数週間かかる
国民健康保険の保険証は当日発行ですが、社会保険の保険証発行には数週間かかります。その間、万が一病気やけがにかかってしまった場合には通常3割負担の医療費が全額負担になります。
保険証が発行されれば、全額負担した病院で払い戻しを受ける事は出来ます。しかし、一旦は自分で支払わなければならないため、3割負担の支払いに比べて高額な医療費を支払う可能性が高いです。
社会保険証の発行は、必要になる前に出来るだけ早めの申請をすると良いでしょう。
まとめ
社会保険はすべての国民に加入義務がありますが、加入には一定の要件があります。自分が社会保険加入要件を満たしているか、どのようなペースで働いているかという現状把握をまずしっかりする事が大切です。また、扶養に入るかどうかの選択肢、労働時間を調節して金額を抑える事も出来るという事も合わせて知っておきましょう。