「独身に保険は必要だろうか?」「子供がいないから保険はまだ必要ないかな…」という考えをお持ちの方は少なくありません。今回は、さまざまなライフスタイルに応じた生命保険の考え方・活用方法をご紹介します。保険を検討する前段階として、それぞれのシチュエーションごとに考えてみましょう。
目次
貯蓄があれば生命保険の必要性はない?
「貯蓄があれば生命保険は必要ない!」「公的な保障で充分対応できる」といった情報を時々見かけます。確かに、潤沢な預貯金があれば生命保険は必要ないかもしれません。しかし、実際に不測の事態に対応できるほどの備えができている方は多くはないかと思います。まずは貯蓄と保険のメリット・デメリットについて詳しくみていきましょう。
貯蓄のメリット・デメリット
メリット
・現金が必要になった時、比較的容易に引き出すことができる
・元本割れのリスクがない(ことがほとんどである)
デメリット
・貯蓄が不十分なときに万一のことがあると、まとまった金額を用意できない
・ライフスタイルの急な変化に伴い、計画的な貯蓄ができなくなる場合がある
生命保険のメリット・デメリット
メリット
・万一のことがあっても、一定の金額を準備することができる。
・時間をかけても貯蓄できないような金額を準備できる
・長期的な視点で、計画的な備えをすることができる
デメリット
・一定の条件を満たす場合のみ支払われる。
・現金を受け取るために請求手続きをする必要がある。
・解約しても支払った保険料全額は戻らないことがある
貯蓄と保険は目的別に組み合わせる
貯蓄と保険のメリット・デメリットを見ると、それぞれが別物であることがわかるかと思います。短・中期的に必要になるお金は、ある程度流動性のある預貯金で準備し、不測の事態に備える大きなお金は生命保険で準備するなど、それぞれの目的に合わせて準備できるとよいでしょう。
20代独身だと生命保険は必要ない?
独身の場合、その人が置かれている状況で生命保険の必要性が変わってきます。自分自身が病気になったり、死亡したりといったことは想像もできないかもしれない年代ですが、万一に備えて知識を持っておくことは大切です。生命保険がどのような人に必要なのか、ゆっくり考えてみましょう。
経済的に困る人がいるかどうか
自分が死んでしまった場合、経済的に困る人がいるようであれば生命保険の加入を検討したほうがよいでしょう。家族を扶養している場合や、収入の一部を家族の家計に入れている場合は、きちんとした備えをしておかないと残された家族が生活に困ってしまいます。葬儀代などの死後の整理資金に加え、家族の生活費についても検討しておく必要があります。これは医療費についても同様です。
また、お子様に先立たれたことで、元気だった親御さんが床に伏せることは少なくありません。家族と生計を別にしている状態であっても、状況次第では検討しておいた方がよい場合もあります。
若いうちに加入すると保険料は安い
保険料は年齢が若いほど安い仕組みになっています。この仕組みを活用すると「保険料が少ないうちに加入することで、結婚後の保険料負担を抑える」ことが可能です。保険料が安いので「長期間(または終身)の保険を検討しやすい」ことも魅力の一つとなっています。保険料は年齢・保険期間・契約内容によって決定します。年齢が若いうちは保険の必要性を感じることが少ないかもしれませんが、いろんなタイプの保険を賢く、柔軟に組み合わせることが可能ですので、若いうちから検討をしてみるとよいでしょう。
老後資金の代わりとする方法
生命保険を活用して、老後資金を計画的に準備している方が多くいらっしゃいます。若いうちから準備することで月々の保険料が安く済むうえ、毎年の年末調整や確定申告時に生命保険料控除を受けられます。賢く節税しながら老後資金を蓄えたい方にはお勧めです。たとえば、自分自身の退職金として「養老保険」、公的年金の上乗せに「個人年金保険」といったものが一般的です。
既婚で共働きにおける生命保険の必要性
夫婦2人暮らしで共働き世帯の場合、生命保険は必要なのでしょうか?それぞれのケースを考えてみましょう。
夫婦に年収差があれば検討を
夫婦それぞれが自立できる安定収入を得ていて、死後の整理資金を確保できていれば生命保険はあまり必要ないかもしれません。しかし、ご夫婦のどちらかが自立できない収入であれば、生命保険の検討をお勧めします。
また、貯蓄が充分でないご家庭も同様です。死亡の場合は葬儀費用などの死後整理資金が必要になります。入院は医療費だけでなく、それに付随する見えないお金(差額ベッド代・見舞い時の駐車場代や移動費など)もかかります。また、最近は入院期間が短くなり、自宅療養期間が増える場合もあります。いろいろな可能性を考え、預貯金で賄うことができるのか、一度じっくりと検討してみるとよいでしょう。
子供を産む予定があるかどうか
ご夫婦の間にお子様を望まれている場合にも、生命保険の検討をお勧めします。出産後の夫婦のスタイルや、教育方針などを考慮しながら、必要となる費用を計算してみることがおすすめです。「予定はあるけど、時期は未定」という場合にも、基礎となる部分を早めに準備するだけでも育児期間中の保険料を安く抑えることができます。
子供がいるなら生命保険の必要性は高い
お子様がいる家庭の場合、生命保険の必要性が検討したほうがよいでしょう。万が一のことがあった時に、安定した生活ができなければ、大切なお子様の人生をも左右してしまいます。
共働きでない場合は必要
一家の大黒柱が倒れてしまうと収入は途絶え、それまでの生活が一変します。万一に備え、生活費や教育資金がいくら必要になるのかという事を考えておく必要があります。また、主に家事と育児を担っている存在が倒れた場合、家政婦を依頼しなければならない事もあるでしょう。「親族に頼ることで家政婦の費用を浮かすことができます」といった意見もありますが、長期間かつ毎日のお願いが可能かどうかといった部分まで検討しておくことも大切です。
共働きならお互いにかけると安心
2人で生計を立てている場合は、2人とも生命保険に加入しておくとより安心です。「片方の収入だけで生活費と子供の教育費を賄うことができるのか」という視点で検討すると分かりやすいと思います。また、一人で子供を育てる場合、家事や育児にかかる負担は間違いなく増えます。残業をしにくくなったり、休日の仕事も難しくなります。そうなった場合、誰にお願いするのか、そのための費用はいくらくらい必要なのかといった事まで検討しておくとよいでしょう。
母子・父子家庭の場合も必要
母子・父子家庭にとっても、生命保険は必要である場合が多いです。一人で生活を支え、家事、育児も全て担っていらっしゃる親御さんが倒れてしまうと、そのすべてがストップしてしまいます。入院の場合、治療費以外の負担(支出)が増えます。入院中の収入が一時的にダウンしたり、途絶えたりすることもあるため、その間の生活費や、子供の世話を誰にお願いするのかといったことも含めて考える必要があります。また、子供を残して死亡してしまった場合は、死後の整理資金に加え、子供が独立するまでの生活費と教育費が必要になります。
まとめ
ライフスタイルの変化や家庭環境の違いによって、生命保険の必要性は変わります。生命保険を上手に活用するには、年齢が若いうちに人生設計を立てることと、ライフスタイルや社会情勢に応じて見直していくことがポイントです。その時々のリスクに備えて、安心した毎日を過ごしましょう。