社会保険には国民年金保険や健康保険などいくつかの種類があります。主に会社員が加入する厚生年金保険もその一種です。今回は、社会保険の仕組みや加入条件などを紹介します。
目次
社会保険とはどういう仕組み?
国民の生活を保障するための制度
社会保険は、日常生活に潜む病気や事故、稼得能力の低下などのリスクを保障するための制度です。いざという時には最低限の保障を約束し、国民の生活を守る制度とも言えます。日本では国民皆保険制度が採用されており、原則として全ての国民が社会保険に加入することが義務付けられています。
一般的には健康保険や厚生年金のこと
一般的に社会保険制度と呼ばれているものは、狭義の社会保険にあたります。狭義の社会保険とは健康保険や厚生年金を指し、入社とともに加入を義務付けている企業が多数あります。
健康保険制度とは、病気や怪我、出産・死亡などの時に保障を受けられる制度です。厚生年金は国民年金の上乗せ部分として考えられており、報酬に比例して老後にもらえる年金額も変わります。
医療保険、介護保険、年金保険も含む
社会保険制度には、医療保険や介護保険、年金保険の役割も含まれています。医療保険とは、病気や怪我をした際に3割もしくは1割の医療費負担で治療を受けられる制度です。
介護保険は40歳以上の人が加入する制度で、要件を満たした場合に医療福祉サービスが受けられます。年金保険は、定年退職後に年金が支給される制度です。
社会保険に加入するメリットとは
将来年金でもらえる金額が増える
社会保険へ加入すると厚生年金にも加入することになります。厚生年金は二階建てで構成されていると言われ、一階部分が国民年金・二階部分が厚生年金にあたります。そのため、厚生年金へ加入するということは、二階部分の増築すなわち将来受給できる年金額の増加を示しています。報酬と現役時代に納めた保険料に比例して将来の年金額は増加するため、早い段階に加入することで多くの年金が受給できます。
傷病手当金、出産手当金がもらえる
社会保険に加入していると、怪我・病気・出産などを理由に働くことができなくなった場合に手当が給付されます。怪我や病気の場合には傷病手当金が、出産の場合には出産手当金がそれぞれ支給されます。
入院などで働けない期間には収入がなくなってしまうケースもあります。有給休暇を使用する方法もありますが、日数には限りがあります。働くことが難しくなった場合には会社に必要事項の申告を行い、手当金を申請しましょう。
社会保険料を会社と折半できる
会社員や公務員の場合、社会保険料が給料から天引きされる形で徴収されますが、その金額は会社や団体と折半された金額になっています。このように、必要な保険料の半分を会社が負担する仕組みを労使折半と言います。社会保険料額は収入によって変化するため、所得が少ない場合には負担が大きくならないよう配慮されています。
社会保険の加入条件とは?
社会保険に加入するためには、いくつかの条件を満たしている必要があります。以下がその条件です。
労働時間週20時間以上
所定労働時間が週20時間以上であれば、正社員でなくても社会保険に加入できます。所定労働時間とは、残業時間を含めない労働時間を指します。ただし、パートタイマーやアルバイトの加入可否については労使間の合意の元で決定される場合もあるため、会社によっては正社員以外の社会保険加入が認められていないケースもあります(パートタイマーやアルバイトが社会保険に加入するための条件については後述します)。
月額賃金8.8万円以上
所定労働時間の条件に加え、月額賃金が88,000円以上であるという条件も満たしている必要があります。注意しなければならないのが「月額賃金には交通費の手当や残業代、ボーナスなどは加算しない」という点です。パートタイマーやアルバイトの場合は、自己申告しなければ加入手続きが成立しない場合もあるため、必要に応じて事業主に確認しましょう。
雇用先企業の従業員数501名以上
社会保険に加入できる条件は労働者側だけでなく事業者側にも設けられており、企業の従業員数が501名以上である必要があります。
なお、従業員数が500人以下であっても、労使間の合意に基づいて社会保険への加入が認められている企業もあります。入社した会社がどちらに属するのか、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
知っておきたい社会保険に関する知識
パートやアルバイトも加入できる
パートタイマーやアルバイトの人についても、以下の5つの条件を満たすことで社会保険へ加入することができます。
1. 1週間に20時間を上回る所定労働時間を満たしている
2. 月額賃金が88,000円、もしくは年間賃金が1,060,000円以上
3. 使用期間が1年以上であると見込まれる
4. 雇用先の従業員数が501名以上、もしくは500名以下で労使間の合意が成されている
5. 学生ではない
加入手続きは勤務先でできる
社会保険への加入を検討している場合、勤務先で手続きができます。しかし、パートタイマーやアルバイトの人は条件を満たしていても事業主から社会保険への加入を提案されない場合もあり、未加入のままとなっているケースも見られます。労働時間・雇用状況などに問題がなく、社会保険への加入を希望する場合は、事業主に相談しましょう。
退職後も任意継続できる
勤務先を退職した場合であっても、2年間に限って社会保険制度が任意継続できます。社会保険の加入を継続しておけば、正社員の人と同様に医療費の控除などを受けられます。
また、退職した場合の他、労働時間が短縮された場合にも任意継続が適用されます。個人の希望に基づいて認められるものであるため、継続を希望する場合は事業主や総務部などに持ちかけましょう。
社会保険料控除になる場合も
パートタイマーやアルバイトの人についても、自分もしくは配偶者や親族などの社会保険料を納付した場合には社会保険料の控除を受けられることがあります。年末調整の際には申告を行う必要がありますが、給料から差し引かれた保険料分は会社が計算しているため手続きは不要です。自分で納付した社会保険料のみを控除欄へ記入することになります。
まとめ
生活を保障してくれる制度である社会保険には、正しく理解して加入することが大切です。正社員だけでなくパートタイマー等の加入も可能であるため、日常生活のリスクの保障が必要な場合には事業主と相談して活用しましょう。