将来の資金について不安に思っている方は少なくないのではないでしょうか。この記事では、老後必要となる資金の目安金額や、貯蓄に利用できる制度・コツなどを紹介します。
目次
老後の生活に必要なお金とは
老後の生活費は現役時代の7割程度
老後の生活には、実際どの程度の資金が必要なのでしょうか。平成27年に総務省が発表した家計調査報告によると、夫婦2人で生活する場合は1カ月あたり約28万円の支出があるということです。この数字は、現役で働いている時期の7割程度と言えます。夫婦2人の世帯における老後の生活費は、「年間生活費×70~80%×夫の平均余命」という計算式で見積もることができます。
夫婦死別後の生活費も考慮する
次に、夫婦のどちらか1人が残されたときの生活費ですが、まだ収入があるのかすでに退職した後なのかで計算は変わってきます。夫が現役で働いている時期に妻が残された場合の老後資金は「年間生活費×50%×夫と妻の平均余命の差」、夫がリタイア後は「夫婦時代の年間生活費×70~80%」で見積もることができます。夫が残された場合、「夫婦時代の年間生活費×80%~100%」が金額の目安となります。
住宅費用や介護費用なども試算する
生活費以外にもかかる費用があるということを忘れてはいけません。生活費以外の支出として考えられるのは、住宅のリフォーム費用や介護費用などです。
高齢になると医療費がかかることも多くなると考えられます。一概にいくら必要かということは言えませんが、生活費以外にも予備の老後資金を準備しておくことが大切です。
老後安心して暮らすための必要額は?
独身の場合は2000万円
独身の女性の場合、公的年金以外にどの程度準備しておけばよいのでしょうか。目安ではありますが、60歳までに2000万円程度の貯蓄が必要と言われています。
また、女性は男性より寿命が長い傾向にあるため、婚姻の有無によらず将来的にひとりになる可能性も高いと言えます。できるだけ早い時期から貯蓄を心がけておくとよいでしょう。
夫婦の場合は3000万円
夫婦の場合は、60歳までに3000万円の貯蓄が目安となります。退職金がもらえるのであれば、3000万円から退職金を差し引いた額が必要な金額です。仕事をしながら貯蓄に励むのは難しい場合もありますが、保険商品を活用したり資産運用をしたりしながら準備を始めておきましょう。
5000万円でゆとりある生活に
では、少し贅沢な暮らしをするには、どのくらい必要なのかを試算してみます。ゆとりのある生活をするためには、毎月の必要額に約14万円上乗せする必要があります。
90歳まで生きると仮定すると、60歳から90歳までは30年間あります。ゆとりのある生活を送るために上乗せする額は「14万×12カ月×30年」の数式で見積もることができます。つまり、最低限の生活をするために必要な老後資金とは別に約5000万円の準備があればよいということになります。
自営業者は約5500万円必要
自営業者の場合、厚生年金がなく国民年金のみの加入になるため、年金額も少なくなります。また、退職金がないことも考えておかなければなりません。
仮に年金受給を開始し、自営業を引退するのを65歳とします。85歳まで生きたとして、受けられる公的年金と必要生活費の差額はマイナス16万円ほどとなり、85歳までの20年赤字が続くと合計約3840万円のマイナスとなります。
また、85歳で夫が死亡したあと、妻が95歳まで生きるとすると公的年金と必要生活費の差額がマイナス10万ほどとなり、95歳までの10年間続くと合計1200万円のマイナスとなります。つまり、両者の合計である約5500万円が必要になってきます。
老後に必要なお金を貯金するには
個人年金保険で確実に貯める
貯蓄型の個人年金保険に加入すると、控除を受けることができるため老後資金が貯めやすくなるという一面があります。個人年金保険料控除を申請すると、所得税から最大4万円の控除を受けることができます。ただし、年間8万円以上の保険料払込があると「節税」という観点でのメリットはなくなってしまうため、金額についてはあらかじめ確認をしておきましょう。
確定拠出年金で節税しながら貯める
老後資金を貯める際には、確定拠出年金も有効活用できる場合があります。支給開始年齢までは引き出すことができないという制限はあるものの、掛金は全額所得控除となります。運用中の課税がなく、年金を受け取るときにも退職所得控除もしくは公的年金控除が受けられるため、高い節税効果が期待できます。
財形貯蓄や社内預金制度を活用
財形貯蓄や社内預金制度とは、給料から貯蓄分を天引きして貯める方法です。財形貯蓄には一般財形、財形住宅、財形年金の3種類があり、財形住宅と財形年金に関しては合計550万円までの利子が非課税になります。天引きした給与の預け先は金融機関です。
一方、社内預金制度は天引きした給与を勤務先が管理します。非課税制度などはありませんが、金利の下限が設定されており、引き出すことも可能です。
まとめ
老後に必要となる資金は個人や家庭の状況によって変わるものですが、目安金額を知っておくことである程度の備えが可能になります。普通の貯蓄だけではなく、節税効果のある確定拠出年金や確実に貯められる個人年金などの制度をうまく利用しながら効率的に準備していきましょう。