怪我や病気で働けなくなると、収入を得られなくなる場合があります。公的保険と民間保険には、稼得能力が低下した際にも生活が送れるように保障するものがあります。今回はそのうち、就業不能保険の必要性などについてチェックします。
目次
そもそも就業不能保険とは?
病気やケガで働けないときに備える保険
入院・療養中は収入が得られなくなることがあります。就業不能保険は、怪我や病気によって働けなくなり、長期に渡って入院や療養生活を送ることになった際に保障を受けられる保険です。就業不能保険では、医療保険や生命保険から給付される治療費や入院費だけでは不十分な生活費を補填することも可能です。
所得補償保険との違い
就業不能保険と似た性質の保険として、民間損保会社が取り扱う「所得補償保険」が挙げられます。保障期間は比較的短く、1年から2年程度となります。就業不能保険は生命保険会社が毎月定額払いで保険金額を支払いますが、所得保障保険は保険会社が損害の大きさを算定し、それに応じた保険金が保障されます。
収入保障保険との違い
「収入保障保険」とは、保険契約者が死亡した際に遺族へ保険金が提供されるものです。つまり被保険者は遺族になります。一方、就業不能保険では保険契約者と被保険者が同一です。「保険契約者」は働けなくなった時点で「被保険者」に切り替わり、保障が提供されるという仕組みになっています。
就業不能保険の特徴
長期の療養に備えられる
就業不能保険の場合は、「保障が開始されてから60歳前後まで」と、長期にわたって保障が受けられる点に特徴があります。また、生命保険や医療保険では入院する場合などに限定して保障されることが多くありますが、就業不能保険では自宅療養であっても保障が受けられます。
毎月、設定した保障額を受け取れる
就業不能保険に加入すると、一定額の保険金が毎月給付されます。各保険会社によって保障金額は異なりますが、10万円〜50万円程度の金額が支給されるケースが多くなっています。保険金額は「勤労による所得の6割から7割程度」と保険会社の規定によって決められており、月々の保険料に応じて設定することができます。
介護医療保険料控除の対象
就業不能保険によって支給される保険金は、介護医療保険料控除の対象に含まれています。他の介護保険による保障を受けている場合は、その保険料と就業不能保険の保険料を合わせて最大40,000円まで保険料控除を受けられます。
保険が受け取れるまでの期間が長い
就業不能保険は、保障を受け続けられる期間が長い一方で、免責期間が長いという特徴もあります。免責期間とは、保険金の給付が受けられない期間のことを言います。
例えば、免責期間が60日である場合、就業不能の状態となってから60日が経過するまで保険金の給付は受けられません。免責期間の日数は保険会社の規定ごとに異なりますが、「6ヶ月」と設定している保険商品が多く見られます。
軽度の障害は対象外のケースが多い
就業不能保険は、高度の障害状態などに適用されます。そのため、障害が軽度である場合には保険金を受け取ることができないケースがあります。多くの保険会社の約款では、「6ヶ月以上の就業不能状態やがん・脳卒中などにより60日以上の就業不能状態が続く場合・高度障害と診断された場合」などに限って保障が受けられると定めています。
就業不能保険に入る必要性はある?
公的な保障もある
稼得能力が低下した際に保障を受けられる制度は、民間の保険だけでなく公的保険制度にも存在します。全ての国民へは医療保険に加入することが義務付けられており、そのうち健康保険などの加入者には、傷病手当金が支給されます。連続給付日数は最長で1年6ヶ月となっており、その期間中は給付を受けられます。また、企業によっては保障が追加されることもあります。
自営業者は加入を検討
ただし、公的保険制度による所得保障制度は、原則として健康保険や共済組合の加入者にのみ適用されます。自営業者は公的保険制度によって保障されない場合が多く、就業不能となると無収入になる可能性もあります。貯蓄状況によっては生活費などが工面できなくなることも考えられるため、自営業に従事している場合には民間の就業不能保険への加入を検討しても良いかもしれません。
まとめ
このように、他の所得保障保険と比較すると、就業不能保険には給付の条件や期間に特徴があります。公的な所得保障制度との兼ね合いも考慮した上で、民間保険会社の商品を活用するべきかどうかを検討し、いざという時にも生活に困ることのないようにしておきましょう。