必要な条件がそろっている会社員であれば、大抵の人は社会保険に加入することができます。社会保険に加入した際のメリットやデメリット、基礎知識などについて紹介します。
目次
社会保険とは?
国民の生活を保障するための公的保険
万が一のときに備える任意加入の保障として、民間保険会社が運営する生命保険や火災保険などがあります。それに対し、国民の生活を保障するために国や地方公共団体などの公的機関が運営しているのが社会保険です。
健康保険や厚生年金を含む
社会保険には、国民健康保険や厚生年金の他、老後の生活を保障するための介護保険、労働者の失業リスクに備える雇用保険などがあります。公的制度である社会保険においてはほぼ確実に保障を受けられますが、対象者に対しては加入と保険料負担の義務が発生します。
パートやアルバイトでも加入できる
パートやアルバイトの人でも、労働時間が週20時間以上であることや、1年以上の雇用が見込まれることなど、一定の条件を満たせば社会保険に加入することができます。また、雇用先の従業員数(社会保険の被保険者に該当する者に限る)が501名以上であることも必要であるため、まずは雇用先の会社がこの条件を満たしているかどうかを確認しましょう。
社会保険に加入するメリット
将来年金で受け取る金額が増える
国民年金へは原則として全ての国民が加入していますが、社会保険の一種である厚生年金保険へも加入することで将来受け取る年金が増額されます。つまり、国民年金で受け取れる金額に、在職中の収入をもとに計算される厚生年金が上乗せされるのです。厚生年金による受取金額は、加入期間が長いほど大きくなります。
保険料は雇用先と折半できる
国民年金や国民健康保険の保険料は、加入している被保険者が全額を負担しなくてはなりません。しかし厚生年金保険や健康保険では、被保険者の負担を軽減するために、保険料の半分の支払義務を雇用者である会社に負わせています。被保険者としては、社会保険料の負担が半分で済むことになります。
年収の上限を気にせずに働ける
社会保険に未加入の状態だと、勤務時間や年収が社会保険の加入条件を満たさないように上限を意識しながら働かなくてはなりません。また、配偶者の扶養に入っている人は、扶養から外れてしまう「年収130万円の壁」にも注意を払う必要があります。しかし、一度加入すれば、そのような制限を気にすることなく働いて、収入をアップさせることができるようになります。
社会保険に加入するデメリット
扶養家族の場合損をする可能性がある
社会保険に加入している家族の被扶養者は、健康保険・厚生年金の保険料について支払義務は発生しません。しかし、扶養から外れて社会保険に加入すると、健康保険料・厚生年金保険料の両方を支払わなくてはならず、年収や状況によっては負担となる可能性があります。
給料の手取り額が減る
社会保険に加入すると、月々の給料から健康保険料や厚生年金保険料が天引きされるため、給料の手取り額が減ることになります。しかし、社会保険に加入していなければ天引きではない形で国民健康保険料や国民年金保険料の支払いが発生するため、実質的な損得はないと言えます。
退職後も社会保険を継続したい場合
任意継続を利用する
社会保険に加入していた人が会社を退職すると、社会保険の資格を失うことになります。退職後も社会保険の保障を受け続けたい場合は、「健康保険の任意継続」という制度を利用しましょう。一定の条件を満たしていれば、所定の手続きによって退職後も社会保険を継続することが可能です。
最大で2年間任意継続ができる
健康保険の任意継続には、以下の2条件を満たしていることが必要です。
① 社会保険の資格喪失日の以前に、継続2ヶ月以上の被保険者期間があること
②手続日が資格喪失日から20日以内であること
協会けんぽの都道府県支部での手続きもしくは郵送による手続きにより、最大で2年間の継続をすることができます。ただし、保険料を期限までに納付しなかった場合には、納付期限の翌日に強制的に資格を喪失してしまうため注意が必要です。
まとめ
社会保険へ加入すると将来の年金受給額が増額したり、保険料の負担割合が減ったりというメリットがある一方、デメリットも存在します。現在の年収や扶養の有無などを考慮した上で、社会保険へ加入すべきかどうか検討しましょう。