病気やケガで発生する出費に対して負担を軽減してくれる国民健康保険。扶養外の学生さんや自営業など、健康保険加入対象外の方がその対象です。すべての国民はなんらかの公的医療保険に加入する義務がありますが、その国民健康保険を滞納してしまうとどうなってしまうのでしょうか。保険証や対処法について解説します。
目次
国民健康保険を滞納すると起きること
期限を過ぎると催促状が来る
国民健康保険の金額は毎年6月に決定されます。そしてその月から年度末である3月、または7月から3月までの9回から10回の分割で納付する所が多いです。例えば東京都の港区では10回分割、福生市では8回分割など、納付期間は自治体によって異なりますので注意が必要です。
各期限は月末までとされ、それを過ぎると行政処分として翌月20日頃に通知書として督促状が送られてきます。督促件納付書が送付され、更に納付がない場合には催告兼納付書が送付される場合もあります。
保険証が短期保険証に切り替わる
国民健康保険を滞納していると通常使っている保険証が使えなくなります。その代わりに短期被保険者証が交付されることになります。(滞納期間1年未満の場合)
短期被保険者証は、通常の保険証と同じく医療費負担は3割で受診する事が可能ですが、有効期間が6カ月以下と短くなるため有効期限ごとに更新手続きが必要になります。細かい条件は自治体によって異なりますので管轄の市役所のホームページや窓口にて条件を確認しましょう。
病院窓口での支払いが全額自己負担に
滞納期限が1年以上過ぎてしまった場合には、短期被保険者証も返還する事になります。そして被保険者資格証明書というものが交付されます。
被保険者資格証明書になると今までのように保険料の3割負担は適用されません。病院にかかると10割の負担を負うことになり、例えば今まで受診で2,000円だったものは7,000円近くをご自分で負担しなければならなくなるのです。
市役所に行くことで7割の返還をしてもらう事は可能ですが、滞納分の保険料と相殺になりますので直接現金として返ってくるものはないと考えた方が良いでしょう。
財産が差し押さえとなる
滞納からの催促状、短期被保険者証への切り替え、そして被保険者資格証明証と段階を踏んで納付を待ってもらっていても更に滞納してしまった場合、強制執行つまり差し押さえになります。これについては催促状が届く際に合わせて予め勧告されています。
ここまで来てしまうと滞納金額も高額になっていますので、支払いは益々大変になってきます。そうなる前に次のような方法を検討してみましょう。
国民健康保険料が払えない時は
国保を管轄する役所窓口に相談
国民健康保険法にて、支払いをしたくでも出来ない方への救済措置が取ってもらえる場合があります。災害等により損害や収入が減るなどの予測不能な事態に陥った時、仕事の廃止や休止によっての収入が減った時などは「徴収猶予」として半年ほど待ってくれます。
その際には書類を書いて申請する必要がありますし、徴収猶予自体にも自治体によって期間に差がありますので、まずは管轄の市役所にてご相談されると安心でしょう。
社会保険に加入する家族の扶養に入る
国民は公的医療保険に加入する義務がある事は前記した通りです。つまり国民健康保険ではなく社会保険に加入している家族の扶養に入るという選択肢でも良いのです。
社会保険加入者の3親等以内であり、ご自分の年収が130万円未満など条件はいくつかありますが、親や妻、叔父、叔母など幅広く加入することも出来ます。それによって国民健康保険の加入義務は無くなり、保険料を支払わずに医療費の負担額を抑える事も可能になります。
国保の支払いが軽減・免除されるには
前年度の所得が低い
国民健康保険の支払いは、その個人の事情にも配慮してくれる場合もあります。例えば急に無職になり収入が大幅に減ってしまったなど、前年度の所得が低かった場合などはそれに当てはまり減額が適用されます。
保険料は、7割から5割、2割と確定申告によって減額されることになり、会社都合の倒産による解雇に場合には7割の減額が適用されます。
やむを得ない事情で働けない
上記の減額とは異なりやむを得ない事情で働けない場合には減免という措置が取れる場合もあります。やむを得ない事情とは、災害などにより生活が一時的に厳しくなったことで納付が厳しくなったなどという場合です。
こちらは確定申告をもって自動的に行われる減額とは違い、申請が必要になります。地震や風水害などによって収入が減少した場合がこれに当てはまります。
生活保護を受けている
貧困により生活保護を受けている場合にも国民健康保険の支払いが減免される場合があります。その場合にも申請が必要となり、生活状況や収支状況を申告書で提出する必要があります。
減免の規定は市区町村によって異なり、ホームページ上でも詳細が載っていない場合があります。しかし国民健康保険の支払い納期の7日前もしくは期限までに書類を提出し申請しなければ適用になりません。事情がある場合には早めに相談窓口へ確認しに行きましょう。
国保に関して知っておくべきこと
催促があると時効が中断する
国民健康保険料の徴収権の時効は2年となっていますが、国民健康保険法により徴収金の告知や催促によって時効が中断されます。その為、実際の所時効は無いと考えるべきでしょう。
納付しなかった場合、高金利で延滞金が課せられることになります。例えば東京都小平市の場合、納期限から1カ月までは年2.6%、それを超過すると年8.9%の延滞金を支払うことになります。(平成30年現在、特例基準割合1.6%の基準です)ですから必ず払うべきものとして早めの納付か、納付が厳しい場合には早めの相談が大切なのです。
自己破産しても保険料は減免されない
自己破産とは、支払いが出来なかった場合の最終手段として裁判所を通じての支払い義務を免除してもらえるものです。国民健康保険を滞納すると延滞金などで支払額は大幅に膨れ上がる事がありますので自己破産という方法を考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし国民健康保険の支払いについてはその義務がなくなる事はなく、財産の差し押さえをされたとしても減免される事はありません。合わせて税金なども必ず支払うことになりますので是非覚えておきましょう。
まとめ
国民健康保険の納付は免れる事は出来ません。時効も自己破産も現実的にはそれを理由に支払わなくて良いことにはならないのです。しかし、どうしても支払いが厳しい場合には個人個人の事情に合わせて相談に乗ってくれます。滞納して延滞金により支払いがますます膨れ上がってしまったり、医療費負担が増えてしまったりする前に早めに相談してみましょう。