会社組織で働く人に加入が義務付けられている厚生年金保険は、公的年金制度の1つです。保険料は会社によって天引きされていますが、月額収入などを元に将来の厚生年金受給額を算出することができます。今回は、厚生年金の計算方法や国民年金の平均額について紹介します。
目次
厚生年金はいくらもらえる?
厚生年金受給額の大まかな計算法
厚生年金給付額の計算は以下の式に基づいて行います。
標準報酬月額 × 給付乗率/1,000 × 厚生年金被保険者期間
被保険者期間とは、会社に入社している期間を指します。
標準報酬月額は、日本年金機構が定める所得水準によって決定されます。算出には現在価値への置き換えなどが必要となり、自分で正確な値を計算するのは難しくなっていますが、年金機構に問い合わせれば確認することが可能です。
平成15年4月以降は計算方式が異なる
日本では、平成15年4月に総報酬制が導入されました。これは、平均報酬月額を算出する際に月額給与だけではなく賞与も合わせて計算する制度です。この制度の導入に伴い、平成15年の3月までの厚生年金受給額を算出する際には「賞与を除いた月額報酬」を、それ以降は「賞与を含めた年収を12ヶ月で除して月額換算した報酬」を使用して計算が行われています。
夫婦や独身者の厚生年金受給額
夫婦の場合
まず夫婦の両方が厚生年金被保険者である場合、月額にすると男性は180,000円、女性は108,000円をそれぞれ受給できます。2人の合計は288,000円です。
次に男性のみが厚生年金被保険者の場合、男性は月額180,000円、女性は国民年金保険による保険金として月額50,000円を受給できます。2人の合計は230,000円です。
独身者の場合
厚生年金被保険者である男性の場合は月額180,000円が受給できます。同様に、厚生年金被保険者である女性は月額108,000円が受給できます。
男女の年金受給額の平均が異なるのは、給与水準の違いによるものです。厚生年金は「被保険者期間の長さ」と「給与水準」の2つの要素によって給付額が決定されるため、差額が生じることになります。
厚生年金と国民年金の支給額平均
厚生年金の平均支給額
男女を合わせた老齢厚生年金の月額平均支給額は、147,872円です。男女別の月額平均支給額は、男性の場合166,120円、女性の場合102,131円です。
なお、独身世帯の老後の月額生活費の平均は、156,404円と試算されています。女性の月額平均支給額が102,131円であることを考慮すると、老後の生活費が厚生年金の支給額を上回り、赤字になる可能性があることがわかります。
国民年金の平均支給額
国民年金は、会社員・自営業者などの職業にかかわらず、全ての日本人に加入が義務付けられている公的年金です。厚生年金にも加入している場合は、国民年金保険による基礎年金部分に報酬比例部分が上乗せされた金額が支給されます。つまり、国民年金は保険料を納めた人全てに「老齢基礎年金」として支給されており、その平均月額は55,244円となっています。
厚生年金支給年齢による金額の違い
60歳~64歳は金額が少ない
2018年現在、厚生年金の支給開始年齢は段階的に引き上げられています。移行措置完了の時期は、男性の場合2025年、女性の場合2030年です。
移行措置が開始されてから徐々に60歳~64歳への給付額が削減されているため、月額平均支給額も88,353円と少なくなっています。一方、65歳~69歳の月額平均支給額は150,118円と、60歳~64歳より高くなっていることがわかります。
71歳以上は受給額が多い
65歳以降から年金の給付が受けられるため、65歳以降については月額平均支給額が上がります。特に71歳以上の年齢層への支給額が高くなっており、70~74歳では151,656円、75歳~79歳では159,968円です。
80歳以降には160,000円台となり、80~84歳では164,689円、85~89歳では170,959円となります。なお、この金額は男女の平均受給額です。
厚生年金受給金額の注意点
厚生年金支給額上限がある
厚生年金受給額の算出に使用される標準報酬月額は日本年金機構によって定められており、その値には上限が設けられています。標準報酬月額の上限は620,000円であり、それ以上の給与を得ている人の標準報酬月額については620,000円として計算されます。その結果、厚生年金の支給額にも上限が発生します。
まとめ
厚生年金支給額の計算方法や厚生年金・国民年金の平均月額などを紹介しました。自分が将来どの程度の金額を貰えるのかを確認しておくと、資産計画も立てやすくなります。今後のライフプランなどと合わせて活用してみてください。