初めての妊婦さんは、出産にどのくらいお金がかかるのか不安があるかもしれません。出産では、出産時の支払いだけではなく、妊娠中の健診や入院グッズの購入など何かと費用がかかる場合があります。今回は、出産費用がどのくらいかかるのかを紹介します。
目次
出産時にかかる費用総額はどのくらい?
平均的な出産費用は40万円前後
出産費用の中でも高額になるのは、入院・分娩費用で、平均的な出産費用は40万円前後と言われています。入院・分娩に関しては、病気ではないため公的医療保険の対象になりません。
出産費用は高額になりますが、かかった費用はすべて自己負担です。また、公的医療保険の対象にならないため民間保険の保障対象にもなりません。
選ぶ病院によっては100万円超え
病院によって設備や器具などが違うため、病院ごとに出産費用は異なります。そのため、選ぶ病院によっては100万円を超えることもあります。また、無痛分娩等を希望した場合は一般的な出産費用とされる40万円前後の費用にプラスして支払いが発生するので、高額になりがちです。
帝王切開は公的保険の適用あり
帝王切開の場合は、公的医療保険の対象になり、通常の病院の受診と同じで手術代の窓口負担は3割ですみます。公的医療保険の対象なので民間保険の保障対象になり手術給付金が受け取れる可能性もあります。医療保険に加入している方は、加入している保険を確認してみましょう。
ただし、差額ベッド代や食事代などは通常の出産と同じように自己負担となります。
出産する前に必要な費用は?
妊婦健診費用
妊娠してから出産するまでには、妊娠週数に応じて定期的に妊婦健診を受けることになります。妊婦健診は、妊婦さんや赤ちゃんの健康状態を確認するために必要な健診です。
一般的な費用は、平均すると1回につき5,000円〜10,000円前後と言われており、厚生労働省では標準的な妊婦健診の回数を14回と定めています。
期間 | 健診回数 |
---|---|
妊娠初期〜23週 | 4週間に1回×4回 |
妊娠24週〜35週 | 2週間に1回×6回 |
妊娠36週〜出産まで | 1週間に1回×4回 |
出典:厚生労働省 妊婦健診リーフレット
5,000円〜10,000円かかる健診を計14回行った場合、70,000円〜140,000円かかる計算になります。ただし、病院や検査内容によって費用は異なります。
任意で受ける検査代金
任意で受ける検査代金に関しては、全額自己負担です。任意の検査の代表的なものは、トキソプラズマ抗体検査(検査費用は約1,000円)とサイトメガロウイルス抗体検査(検査費用は約3,000円〜4,000円)です。
病院によっては、検査内容に組み込まれている場合もありますが、基本的には任意なので検査を受けないこともできます。しかし、赤ちゃんやご自身の健康状態の確認のためにも検査を受けた方が良いでしょう。
入院グッズの購入費用
初めての出産か二回目以降の出産なのかによって入院日数は異なりますが、出産後は6日間ほど入院するケースが多いです。入院時には一般的な入院グッズに加えて、産褥用のショーツなどを購入する必要があります。
入院グッズの一例
・部屋着
・タオル
・産褥ショーツ
・産褥用ナプキン
・産褥ニッパー
・洗面用具
・赤ちゃんのオムツ
ただし、病院によっては事前にセットで販売している場合や、タオルなどをレンタルできる場合もあります。入院グッズを購入する際には病院に確認をして、重複しないように気をつけましょう。
赤ちゃんグッズの購入費用
出産後に備えて、赤ちゃんグッズも必要です。
赤ちゃんグッズの一例
・肌着
・服
・おしりふき
・スタイ
・ミルク
・哺乳瓶
ただし、生まれてから1年の間は赤ちゃんはすぐに大きくなります。新生児期に切る服のサイズは50〜60ですが、2〜3ヶ月ほどで着られなくなることもあります。
また、出産祝いで新生児用の服やスタイが贈られるケースもあるかもしれません。できるだけ赤ちゃんグッズの購入費用を抑えたい場合は、産まれてから購入しても良いでしょう。
予算が足りない人も安心!公的補助制度とは?
「妊婦健康診査受診票」で健診費用減
妊婦健診にかかる費用の一部を自治体が負担してくれる制度があります。制度の名称や内容は、自治体によって違いがあるため、各自治体に問い合わせてみてください。
ほとんどの場合、母子手帳の交付の際に「妊婦健康診査受診票」も一緒に交付されます。交付された受診票を健診を受ける病院に提出すると、健診費用の一部が助成されます。
「出産育児一時金」で42万円もらえる
出産費用は公的医療保険の対象外となるため高額になりがちですが、「出産育児一時金」を申請すれば出産費用の一部が補助されます。「出産育児一時金」とは、健康保険の被保険者や被扶養者が出産した時に受け取ることができる一時金です。
2017年12月現在では、出産育児一時金として42万円が受け取れます。「出産」とは妊娠85日以降の分娩で、死産や流産でも出産育児一時金の対象です。さらに、多胎児の場合は出産した人数×42万円が支給されます。
2009年の10月1日からは、直接支払い制度というものも開始され、健康保険から直接病院に対して出産育児一時金を支払う方法を選ぶことも可能になりました。あらかじめ病院に直接支払うように手続きをしておけば、実際にかかった費用から42万円を差し引いた金額で請求されるため退院時の金額負担が軽減されます。
もし、出産費用が42万円未満だった場合は「健康保険出産育児一時金内払金支払依頼書」または「健康保険出産育児一時金差額申請書」を申請をすると、差額が後日支給されます。
「出産手当金」で産休中の給与をカバー
健康保険の被保険者は、出産によって産休を取得することができます。そして、産休中に給与の支払いがない場合に限り、産前6週(42日)、産後8週(56日)に渡って出産手当金が支給されます。
支給額の計算方法
【支給開始日以前の継続した12ヶ月間各月の標準報酬月額を平均した額】÷30日×2/3
出産によって退職した場合でも出産手当金の支給対象になる場合もあるため、加入されている健康保険組合へ問い合わせてみましょう。
「高額療養費制度」で医療費の負担減
帝王切開でかかった手術代などの医療費は高額療養費の対象にもなるため、医療費が一定の自己負担限度額を超えた分が戻ってきます。自己負担額の上限は、加入されている健康保険によって異なるため事前に確認しておくことをお勧めします。
帝王切開になることが決まっている場合は、事前に「限度額適用認定証」の発行を申請しておけば、窓口で限度額以上の分を支払うことはないので安心です。
まとめ
出産費用は公的保険の対象にならないので、高額になりがちです。ただし、公的補助制度もあるので出産費用の全額が自己負担になるわけではありません。出産にかかる費用を把握し、対象となる制度はきちんと利用して出産後の生活に備えましょう。