年金制度には様々な仕組みがありわかりにくいと考えている人も多いのではないでしょうか。この記事では、年金制度の仕組みや構図について詳しく解説します。
目次
公的年金制度とは?
日本に住む20歳以上の人が加入する義務がある年金が「国民年金」です。国民年金は外国人であっても日本国籍を持っている人は加入しなければならないことになっており、「国民皆年金制度」と言われています。20歳以上60歳未満の人が国民年金に加入する義務があり、2018年現在公的な基礎年金を受け取ることができるのは、65歳になった時からとなっています。
公的年金制度の本来の目的
個人差はありますが高齢になれば十分に働くことができなくなり、現役時代と収入差が生じます。収入が減ることで生活水準が下がる可能性もあります。そのため、日本では老後も安心して生活が送れるように一定期間保険料を納めた人が年金を受給できる公的年金制度を設けています。
国民年金・厚生年金の2種類
国民年金は、20歳から60歳までの人が保険料を納める義務があるものです。それに対して厚生年金は、サラリーマンや公務員として働いている場合に加入することができる年金制度です。厚生年金は国民年金を土台とする上乗せの年金制度となっているので、厚生年金に加入していれば国民年金へ重複して加入する必要はありません。
国民年金とは?
国民年金の仕組み
国民年金は老後に年金が受給できるだけの仕組みだけでなく、遺族年金や寡婦年金、障害年金を受給できる仕組みも兼ね備えられています。2017年7月までは国民年金の受給資格者は、保険料を25年間支払い続けた人もしくは保険料免除や保険料後納期間を含めて受給資格が25年以上ある人でした。
しかし、2017年8月1日からは国民年金の受給資格となる期間が25年から10年まで引き下げられました。期間が引き下げられたことにより、今まで受給対象ではなかった人も年金が受給できるようになったと言えます。
夫婦でも被保険者の種類が違う
国民年金は3つの被保険者に分けられます。第1号被保険者とは20歳から60歳までの人で、自営業者など会社員ではない人です。第2号被保険者とは、会社員で厚生年金に加入している人です。第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養されている20歳から60歳までの配偶者です。
そのため、夫が会社員で厚生年金に加入していれば夫は第2号被保険者で、その夫に扶養されている配偶者は第3号被保険者となり夫婦でも被保険者の種類は異なります。
厚生年金の仕組み
会社員や公務員として勤めている場合、基礎年金となる国民年金を土台として基礎年金に上乗して年金を受給できる仕組みとなっています。厚生年金は、たとえ1か月でも加入していれば少額ですが厚生年金として受け取ることが可能です。また、厚生年金は生年月日によって年金の開始年齢が決まっており、報酬比例部分が開始される年齢と厚生年金部分が開始される年齢とに分けられています。
報酬比例部分とは
報酬比例部分とは特別支給と言われているものです。報酬比例部分が発生している背景として、年金開始年齢が引き上げられたことにあります。2018年現在年金開始は65歳ですが、1986年3月までは60歳から受給可能でした。
1986年4月より65歳まで年齢を引き上げられましたが、60歳から年金が受給できるとして生活設計をしてきた人にとっては生活に支障が出ることが考えられました。そのため、年齢引き上げによって困る人たちへの救済策として60歳から65歳まで段階的に保障する報酬比例部分が作られたのです。
「3階建て」というわかりやすい構図
年金は図で考えるとわかりやすくなる
年金制度は、家のような3階建てと考えるとわかりやすいです。1階部分が公的年金である老齢基礎年金、2階部分が厚生年金、3階部分は、自助努力の年金となっています。
「1階部分」は国民共通
1階部分は20歳から60歳までの誰もが加入しなければならない国民年金です。20歳から60歳になるまでは強制的に加入しなければならないので、保険料の未納や国民年金加入期間が10年以下でなければ国民が共通して受給できるものです。自営業者や専業主婦などは1階部分しか適用とならず、給付される年金額は2017年4月1日時点で年額77万9,300円となっています。
「2階部分」は会社員や公務員
2階部分は、会社員や公務員が対象の厚生年金です。国民年金とは違い一定の年金額ではなく、厚生年金の加入期間と加入中の平均給与によって年金額が設定されます。
平均給与は、年金事務所などで調べることができます。計算式としては、「平均給与×一定乗率×加入期間」となるので、一概に何年間加入したからと言って、年金額がいくらになるとは言えないことになります。
「3階部分」は該当企業と公務員
3階部分は、確定企業年金や確定拠出年金に加入していた人や公務員が対象のものです。ちなみに、2015年10月に公務員などが加入していた共済年金は厚生年金に統合されました。
共済年金は、厚生年金に上乗せして年金を受給できる仕組みでした。しかし、厚生年金との統合により、職域加算として終身上乗せして年金を受給できる仕組みが廃止されました。そのため、企業年金を取り入れている企業の年金と同じように、半分は終身年金残りの半分が一定期間の有期年金として受給できる仕組みになっています。
まとめ
公的年金制度は、職業などにより加入する年金が異なり、受給額も異なります。また、年金によって受給に必要な期間も異なります。老後の生活を豊かにするため、自分がどの年金に加入しているか、あるいは受給するために必要な期間はどれくらいなのかを一度調べてみてはいかがでしょうか。