子供の教育資金を準備する方法のひとつとして、各保険会社や郵便局からさまざまな学資保険が販売されています。この記事では、学資保険の仕組みや保障内容の基本について、メリットデメリットを交えながら紹介していきます。教育資金の準備を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
そもそも学資保険とは?
教育資金を準備するための貯蓄型の保険
学資保険は、子供の教育費を作るための貯蓄型の保険商品です。学資保険の多くは高校卒業や大学卒業といったタイミングで満期を迎えます。教育費が多くかかるとされる時期に向け、計画的に教育資金を貯めやすい仕組みになっています。
学資保険に加入するメリット
教育費を強制的に貯蓄できる
教育費を準備するために学資保険を利用するメリットの1つ目は、自動的にお金を貯めることができるという点です。子供が大きくなるまで毎月一定の金額を貯金し続けていくことが負担となる場合もあり、収支の増減によっては貯金ができなくなってしまうということも考えられます。
その点、貯蓄型の商品である学資保険では毎月支払う保険料が積み立てられてゆく形となり、計画通りに資金作りを進めることができます。貯金は苦手だけれどどうにかして教育費は確保したい、というニーズに応えることができる商品と言えます。
払込済保険料よりも受け取れる学資保険もある
学資保険の貯蓄性を知りたい場合、「返戻率」に着目します。返戻率とは、支払った保険料に対してどのくらいの金額(保険金や祝金など)を受け取ることができるかという数字です。計算式は「受取総額÷払込総額×100」となります。
返戻率が100%のときは、払い込んだ金額と受け取った金額が同額ということになります。110%の場合は受け取った金額が10%多く、90%のときは払い込んだ金額が10%多いことを示しています。
学資保険は商品によって返戻率が100%を超える商品もあります。返戻率の高い商品を選べばより効率的に資金を作れるということが、学資保険のメリットの2つ目です。ただし、返戻率は保険会社や商品によって異なるため、契約の際にきちんと確認をしましょう。
生命保険料控除が利用できる
学資保険を利用するメリットの3つ目は、「生命保険控除」を受けることができるという点です。学資保険を契約していた場合、年末調整の際に控除の申請をすることができます。
控除が認められるとその年の所得税や住民税から一定の金額が引かれ、税金の負担を減らすことができます。控除金額については、加入している保険の数や保険料、所得などによって変わるため、必要に応じて確認・問い合わせなどを行ってください。
親の死亡時に備えられる
多くの場合、学資保険では親が契約者となります。契約者である親が、保険期間中に死亡・高度障害状態などになったときには以降の保険料が免除される、というのがメリットの4つ目です。
保険料の支払いが免除となった後も、祝い金や満期保険金の支払いなどの保障は変わらず受けることができます。子供の教育資金を準備していく親に何かあったときでも教育資金の保障ができる、という点が預貯金との違いであると言えます。
学資保険に加入するデメリット
中途解約は返戻金が払込済み保険料を下回るリスクがある
学資保険を中途解約すると、解約返戻金を受け取ることになります。その際に注意しなければならないのは、「保険料として支払った金額がそのまま解約返戻金として返ってくるわけではない」ということです。
解約返戻金は払い込んだ保険料から手数料などが引かれた金額になるため、払込総額を下回ることも考えられます。特に、契約から短い期間の解約では返戻金がほとんどない可能性もあることを覚えておく必要があるでしょう。
病気などの保障が手厚い商品は返戻率が低い
学資保険の基本的な機能は、「教育資金の貯蓄」と「親に万が一のことがあったときの保障」です。しかし、「病気やケガなどへの保障」が付いている商品もあります。
病気やケガなどへの保障が付いている場合、支払った保険料の中からそれらの保障を維持するための手数料が引かれます。そのため、基本的な保障のみの学資保険に比べて返戻率は低い場合が多い点に注意しなければなりません。加入時には、保障内容と返戻率のどちらについてもチェックしておくことが大切です。
インフレに弱い
お金の額面自体は同じでも、物価の変動によってお金の価値が変わることがあります。一般的には、物価が上がればお金の価値は下がり(インフレ)、物価が下がればお金の価値は上がる(デフレ)、とされています。
貯蓄をするときにお金がどのくらい増えるかは利率によって決まり、利率が高いほどお金が増えやすい状況であると言えます。利率は経済状況(物価など)によって変動します。インフレになれば利率が上がり、デフレになれば利率が下がるという特徴があります。
学資保険の多くは、「契約のときに利率が決まり、保険期間中は利率が変わらない」という定額型の商品です。そのため、保険期間中にインフレが発生して利率が上がったとしても、対応することが難しい一面があります。
学資保険の代わりになる保険や金融商品は?
低解約型の長期の生命保険も検討
子供の教育費が備えられる保険のうち、学資保険以外の例として「低解約返戻金型生命保険」を挙げることができます。低解約返戻金型生命保険は、解約返戻金額が通常の7割程度に設定されている代わりに、満期を迎えた際の返戻率が高いという点が特徴です。
低解約返戻金型生命保険と学資保険の違いは3つあります。1つ目は、被保険者です。学資保険では子供が被保険者となりますが、低解約返戻金型生命保険では親を被保険者とします。親に万が一のことがあったとき、学資保険では「保険料の免除」という形が取られますが、低解約返戻金型生命保険では「まとまった金額の死亡保険金を受け取る」というケースが多くなっています。
2つ目は保険金を受け取るタイミングです。学資保険では、満期になった時点で満期保険金が支払われます。一方、低解約返戻金型生命保険では、保険料払込期間が終了した後も、据え置くことが可能です。そのため、将来の資産状況などを考慮して保険金の受け取り時期を決めることができます。
3つ目は短期でお金が必要となった場合です。学資保険は節目ごとに祝い金が支払われる商品であり、保険期間中にも資金を得ることができます。
しかし、ほとんどの低解約返戻金型生命保険には、そのような機能はありません。「低解約返戻金型」であるため、途中で解約すると少額の解約返戻金しか受け取れない可能性もあります。低解約返戻金型生命保険の契約には、「長期にわたって使う予定がない資金」をあてるとよいでしょう。
株や投資信託も選択肢
長期間使用しないで貯蓄に回すことができる資金があるのであれば、株や投資信託を選ぶこともできます。株や投資信託は、運用次第でお金を増やせる場合があります。各種手数料がかかることがあるものの、いつでも資金を出し入れしやすい点がメリットだといえるでしょう。
ただし、株や投資信託の多くは元本が保障された商品ではありません。投資した金額よりも資産が減ってしまうリスクがあることは、しっかりと覚えておきましょう。未経験の方はまず、証券会社などでプロに相談してみてください。
まとめ
まとまった金額となる子供の教育費を準備するには、保険を利用するという方法があります。貯蓄ができる上に保障が付くというメリットがある一方、手数料や解約返戻金など注意が必要な点もあります。色々な商品を見比べて、ライフプランに合った教育費作りを始めてみてはいかがでしょうか。