子供の将来のため、学資保険に入る人は多いですが、受取人によっては満期時に税金が発生することを知っていますか?今回は学資保険と受取人について、税金の観点から損をしない学資保険の利用方法を紹介します。年末調整の保険料控除や離婚時の注意点についても解説するので参考にしてください。
目次
学資保険とは
子供の教育資金に備えるための保険
学資保険は、大学などの学費に備えるための保険です。毎月、あるいは毎年などの決まったサイクルで保険料を払い込み、契約時に定めた年齢に子供が達すると学資金を受け取れます。
学資金の受け取り方は、一括で受け取れるものや、1年ごとに500,000円を5回受け取れるものなど保険によって様々です。中学や高校など進学のタイミングに合わせてお祝い金を受け取れる学資保険もあります。
契約者・被保険者・受取人で構成
学資保険には三者が関わります。まず一つ目は契約者です。契約者とは、学資保険を契約して保険料を払い込む人のことです。親、あるいは祖父母が学資保険の契約者となるケースが多いです。
二つ目は被保険者です。被保険者とは保険を掛ける対象を指します。学資保険の場合は子供が被保険者になります。
三つ目の受取人は、学資保険によって発生する保険金を受け取る人を指します。多くの場合は両親や祖父母などの契約者が受け取り、子供の教育費などに使用します。ただし、被保険者が受け取ることも可能です。
満期金を受け取る際にかかる税金とは
受取人が契約者と同じなら所得税
受取人と契約者が同じ場合、課される税金は所得税です。例えば、親が学資保険に契約し、学資金も親が受け取るケースです。受け取る学資金には進学時の祝い金、満期時の満期保険金が該当し、一時所得に該当します。
保険金と保険料総額の差額を確認
一時所得を求める計算式は下記の通りです。
(全ての収入金額 - 収入を得るために使った金額 - 特別控除額500,000円) x 1/2
つまり、受け取った保険金と保険料総額の差額が500,000円以下の場合には税金は発生しません。受け取れる保険金と保険料総額は試算可能なので、事前に計算しておくと良いでしょう。
受取人が子供本人だと贈与税
学資金の受取人を子供に設定した場合、課される税は贈与税になります。また、税法上では保険料を支払う人とお金を受け取る人が同一でないと贈与とみなされるため、夫が学資保険の契約者になり妻が保険金を受け取った場合も贈与税が課されます。
贈与税の非課税枠1,100,000円を超えた保険金は課税対象になるため、予定していた保険金よりも受け取れる保険金が少なくなる可能性もあります。誰を受取人にするかは、税金も考えて決めた方が良いかもしれません。
学資保険受け取りに確定申告は必要?
所得税で控除対象なら不要
先ほども説明しましたが、学資保険で受け取る学資金で課税対象となるのは、保険料総額と満期受取金総額の差額部分であり、受取金総額が保険料総額を上回った場合です。所得税には500,000円までの特別控除額が設定されており、保険料総額と満期受取金総額の差額は500,000円以下となることが多いため、学資金は課税対象に該当しないことが多いです。課税対象に該当しなければ、確定申告は不要です。
ただし、一括受取を行った場合は控除額を上回る可能性もあります。例えば、満期受取金にお祝い金やその他の学資金などを全て同時に受け取るという契約の場合は、特別控除額500,000円を上回り所得税を課せられることがあります。課税対象に該当する場合は、確定申告が必要です。
満期受取金額の設定や受取方法の設定方法で課税対象になるかどうか変わるので、契約前の確認が必要です。
贈与税に該当する場合は必要
学資保険の保険金が贈与税に該当する場合は、確定申告が必要です。贈与税の非課税額は1,100,000円に設定されており、非課税額を上回った分の受取金が課税対象になります。例えば3,000,000円の保険金を受け取る場合、非課税枠は1,100,000円なので1,900,000円に対して贈与税が課されます。
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所得控除とは?学資保険は控除対象?
年末調整・確定申告で控除可能
税金は、全ての人に公平に課すべきという原則があります。しかし、所得が同じ人でも家族を養っている人といない人では、税金を負担できる能力は異なります。控除には、差し引きするという意味があり、所得控除は、それぞれの事情に配慮し所得から一定の金額を引くことで税負担を公正にする目的があります。
所得控除は、会社員は年末調整、自営業者などは確定申告で手続きをします。
学資保険は生命保険料控除
所得控除には全部で14種類あり、学資保険の保険料は生命保険料控除の対象です。生命保険料控除には、以下の3つがあります。
・一般生命保険料控除
・個人年金保険料控除
・介護医療保険料控除
学資保険は一般生命保険料控除に該当します。ただし、契約年月日により控除できる額が異なります。
社会保険料控除・地震保険料控除もある
確定申告や年末調整で控除できるものは、生命保険料控除だけではありません。例えば、申告する人と生計が同じ親族が支払った国民健康保険の保険料は、社会保険料控除の対象になります。
また、申告する人、あるいは申告する人と生計が同じ親族が所有する家屋などを対象とした地震保険の保険料は地震保険料控除の対象です。2006年に税制が改正されたため、火災保険の保険料などが対象の損害保険料控除は廃止されましたが、一部の長期損害保険については経過措置により保険料を控除できます。
離婚時の名義変更はどうする?
親権者と契約者が別ならした方が良い
離婚前に学資保険の契約者と受取人を父親に設定して、離婚後に親権が母親に渡った場合、父親が受け取った学資金が子供の教育費に回されない可能性があります。契約途中で解約をされてしまうこともあるかもしれません。離婚により親権者と契約者が別になった場合は、名義変更をした方が良いでしょう。
名義変更に必要なもの
名義変更に必要なものは以下の6つです。
1.新契約者と旧契約者の戸籍謄本
2.保険証券
3.新契約者と旧契約者の身分証明書
4.新契約者と旧契約者の印鑑
5.新契約者の口座情報
6.学資保険任意継承申請書
新契約者と旧契約者の間で同意がない場合には名義変更手続きが行えない場合があるため、新たに学資保険を契約し直すことも視野に入れておきましょう。
解約すると財産分与の対象に
財産分与とは、離婚前に積み立てられた財産を夫婦で分けることです。保険料を積み立てた学資保険も財産分与の対象になります。そのため、学資保険を解約すると解約時に受け取る解約返戻金も財産分与の対象になります。
解約する可能性がある場合は、離婚前に分与の割合や方法なども決めておきましょう。
学資保険の契約者が死亡した時は?
保険料払込免除の対象かを確認
学資保険には、万が一契約者が死亡、あるいは高度障害状態になった場合に適用される「保険料払込免除特約」(保険料払込免除特則)があります。この特約が適用されると、保険料の払込が免除されるだけでなく保険契約も継続され、満期になると学資金が受け取れます。
ただし、保険料払込免除特約は自動的に適用されるわけではなく、手続きが必要です。また、学資保険によっては保険料払込免除特約が付加できないものもあります。
まとめ
学資保険は契約方法を工夫することで、税金の支払額を抑えることができます。契約者や受取人の設定方法をチェックして、税控除が受けられる方法で契約をしましょう。もし不明な点がある場合は、よく保険会社の担当者に相談することをおすすめします。
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