社会保険制度の一つである医療保険制度には複数の種類があり、内容や加入条件が異なります。自分が加入している医療保険がどの種類に当たるのかを確認し、特徴や内容を把握しておきましょう。
目次
公的医療保険の種類はどんなものがあるのか
健康保険
5つの種類に分かれている医療保険ですが、それぞれの保険制度の対象者はさらにいくつかに分かれています。健康保険の場合、一つ目は企業が組織する全国健康保険協会による会社員のための保険、二つ目が健康保険協会を持たない企業の従業員のための組合管掌健康保険、三つ目が日雇特例被保険者の保護のための保険となっています。
全国健康保険協会は、常に5人以上が事業に携わっている事業所を対象としています。組合管掌健康保険は、従業員人数が700人以上の規模を持つ企業が対象です。日雇特例被保険者の保護は、名前の通り日雇労働者のための保険です。
健康保険では、会社員として働く全ての人に加入が義務付けられています。加入していると0歳から就学前の幼児については医療費が2割負担に、就学時から69歳までは3割負担となり、それ以降の年齢になると2割の自己負担が求められます。また、仕事中に発生した怪我や病気(労災)に対する保障があるのも健康保険の特徴の1つです。
各共済組合
共済組合は、国家公務員共済組合・地方公務員共済組合・私立学校教職員共済の3つに分かれており、医療費の負担割合や労災に対する保障が行われる点は健康保険と同様です。
船員保険
船員保険の加入対象は「船員」として働く人です。船員とは、船長や海員、予備船員の三者(船員法に定められる船舶に乗船して仕事に当たる人)を指し、保険者は国に設定されています。
被保険者の資格は、船員として使用される日から与えられます。国による医療費の負担があることに加え、怪我や病気が乗船中に発生したと認められた場合には、国による療養補償を受けられます。病気や怪我の他、失業や死亡などについても保障の対象となる点は、健康保険や共済組合と似た機能であると言えます。
後期高齢者医療
後期高齢者医療制度は、これまでに取り上げてきた保険とは違い、医療保険の加入者が65歳~74歳の間に定められた障害状態を抱えたり、75歳以上の「後期高齢者」となったりした際に、医療費の一部が支給される制度です。定められた障害には、障害等級が1級〜3級に該当する人・障害等級4級で音声機能が著しく低下している人などが該当します。
介護保険
介護保険は、医療保険の種類に関わらず40歳以上の日本人に加入が義務付けられている保険制度です。65歳以降に要介護状態と認定されて介護サービスが必要となった場合、その費用の一部が負担される制度です。介護保険制度の被保険者の区分は、65歳以上であれば第一号被保険者に該当し、40歳から64歳であれば第2号被保険者に該当します。
公的医療保険の給付が適用されないもの
入院時の差額ベッド代
病気や怪我で入院する際には大部屋か個室を選択できますが、個室を希望した場合の追加費用は医療保険での保障対象には基本的に含まれません。希望する場合は、差額分を自己負担とする必要があります。
入院時の食事代
入院した際に提供される食事の標準負担額は一食あたり360円(2017年1月現在)ですが、医療保険制度ではこの食事代は保障されません。
食事制限などがない限り、入院中での食事は基本的に支給されます。断ることも可能ですが、その場合は自分で食事を購入し、食事の内容を看護師に報告することが求められます。医療保険では負担されないため、自己判断で食事内容を決定しましょう。
先進医療を用いた治療費
先進医療による治療は医療保険の保障範囲には含まれていないため、費用は原則として自己負担となります。ただし、治療費が一定額を超えると医療費控除を受けることができる場合もあるため、確定申告の際には忘れずに記入を行いましょう。
任意の医療保険で病気や入院に備えよう
保険会社によって給付金が異なる
民間の保険会社が提供する医療保険は、加入対象・保障内容・給付金の額などが商品によって異なります。同じ保険料額であっても給付される金額やタイミングに差がある場合も考えられるため、加入前には詳細まで確認・検討を行いましょう。
持病がある場合でも加入できるのか
糖尿病やリウマチのような持病を持っていても、病状や入院・手術の経歴を告知事項として報告し、保険会社が定める条件を満たすことで加入できる医療保険も増えています。しかし、健康な人よりも保険会社が保険金を支払う可能性が高まるという理由で保険料は高く設定される傾向にあります。
病気や手術など目的別に医療保険商品を選ぼう
医療保険商品は、病気や手術の内容に合わせて保障範囲が設定されています。例えばがん保険の中にも、女性に発症率が高いがん(乳がんなど)に特化した商品や、がんの再発も保障してくれる商品などがあります。
近親者に多い病気があったり、健康に不安が合ったりする場合には、「どの部分に対する保障が手厚い医療保険か」という点についてチェックしてみましょう。
まとめ
公的な医療保険にはいろいろな種類があり、それぞれに保障の範囲や内容が異なります。保障を充実させたい部分については任意加入の医療保険を検討するなどし、目的に合ったものを選ぶようにしてください。