一般的に「国民健康保険の保険料が高い」と言われることがありますが、本当のところはどうなのでしょうか?また、保険料を安くすることはできないのでしょうか?国民保険の計算方法や安くする方法を紹介します。
目次
国民健康保険料の計算方法
基準額を計算
国民健康保険料をいくら払うかは、基準額によって決まります。基準額を求めるために、前年1月から12月末日までの所得額を求めましょう。
サラリーマンの場合、給与による収入から所得控除額を差し引いた金額となり、個人事業主や自営業の方の場合、総収入から諸経費を差し引いた金額です。所得金額が割り出せたら、基礎控除である33万円を差し引きます。この金額が基準額です。
所得割額と均等割額を計算
基準額を基に「所得割額」を計算します。「医療分」「支援金分」「介護分」の金額を所定の計算式を当てはめて割り出します。
「医療分」=「基準額×7.96%」
「支援金分」=「基準額×2.35%」
「介護分」=「基準額×2.24%」
上記で割り出した金額を「所得割額」として控えておきましょう。
次は「均等割額」の計算です。「所得割額」と同様に、「医療分」「支援金分」「介護分」の金額を所定の計算式を当てはめてそれぞれ割り出します。
「医療分」=「24,711円×国民健康保険加入人数」
「支援分」=「7,545円×国民健康保険加入人数」
「介護分」=「8,612円×国民健康保険加入人数(40歳~64歳)」
割り出した金額を「均等割額」として控えておきます。
所得割額と均等割額を足す
算出した「所得割額」と「均等割額」を足すと、1年間分の国民健康保険料を算出することができます。その金額をさらに12で割ると、1か月分の国民健康保険料がわかります。
ただし、今回の計算で使用した定数や料率は、平成29年度(平成29年4月から平成30年3月まで)の広島市における数値です。「国民」健康保険という名称から、どこに住んでいても保険料は一律同じと考えている人も多いかもしれませんが、実際は住んでいる市区町村により保険料は異なります。
任意継続と国保、得なのは?
任意継続の場合
サラリーマンを退職して起業する場合、それまでに加入していた健康保険を任意継続することも可能です。会社員の場合は健康保険料を会社が半額負担しているため、任意継続した場合は保険料負担が2倍程度になってしまいます。しかし、国民健康保険に加入するよりも任意継続の方が安くなる場合が多いので、どちらか迷ったら一旦は現在加入している健康保険を任意継続すると良いかもしれません。
国保加入の場合
国民健康保険は諸経費を差し引いた所得金額や、加入人数をその算出根拠としているため、所得が増えればそれだけ保険料が高くなる傾向にあります。定年退職で年金生活になり所得がそれほど多くない人や扶養家族がいない人は、国民健康保険に加入する方が得になるかもしれません。ただし、所得が多い場合や扶養家族がいる場合は任意継続すると保険料が抑えられる可能性が高いです。
国民健康保険料はなぜ高い?
国保加入者は低所得者が多い
国民健康保険は、加入者からの保険料収入により成り立っています。国民健康保険の加入者には年金生活者や無職の人も含まれるため、全体的な平均年収は低い傾向にあると言えます。そのため、中・高所得者層の保険料負担が大きくなるという構造になっています。
保険料には上限がある
国民健康保険では高所得者層の負担が大きくなっているものの、年間保険料には上限が設けられています(平成29年度広島市で89万円)。一定以上の所得者は保険料が一定となっているため、国民健康保険料を割高に感じる人が多いとされています。
保険料を安くする方法
確定申告を行い所得を減らす
国民健康保険では、総所得金額によって保険料が決定します。つまり、総所得金額が少なければ保険料が安くなるのです。
確定申告を行うとかかった経費を所得から控除することができます。しっかりと確定申告し、所得金額を減らすことができれば保険料を安くすることが可能です。
軽減・免税措置を受ける
国民健康保険料には、軽減・免税措置が設けられています。災害等の被災者になった場合や、失業・入院等の事由により当年中の所得見込みが前年より3割以上減少する場合に対象になります。詳しくは市区町村の窓口で詳しく教えてくれますので、自分が該当するか確認しておくのも良いでしょう。
まとめ
国民健康は、「総所得」「加入人数」「40~64歳の人数」が、保険料決定に大きな影響を及ぼします。「国民健康保険料が高い」と考えている人でも、確定申告を行ったり保険料の安い地域に引っ越したりすることで、保険料負担を減らすことができるかもしれません。いろいろな選択肢がある中で、自分にとってベターな選択ができるように情報収集してみましょう。