年金に対して、将来もらえなくなるのでは、あるいは受給額が大幅に減ってしまうのではと不安を抱えている人が増えています。少子高齢化に加え経済も鈍化傾向にある日本の年金システムについて、押さえておきたいポイントや将来の受給額について解説します。
目次
年金がもらえなくなる可能性はある?
少子高齢化で若者が減っている
年金は若い世代が保険料を払い、高齢者が年金を受け取るという仕組みです。少子高齢化が今以上に進めば年金の保険料を払う世代は減り、受け取る世代が増えることになります。そのため、将来的には保険料を負担する世代が払う保険料が上がること、そして年金を受け取る世代の受給額が減る可能性があります。
年金を払わない若者が増えている
年金保険料を払わない若者や、払う意思はあるものの経済的な事情で保険料を払えない若者が増えています。しかし、若者が年金を払わなければ年金のシステムがすぐに破綻するわけではありません。なぜならば、年金の半分は税金でまかなわれているためです。
ただし、少子高齢化に加え年金を払わない若者が増えれば、年金のシステムを維持するための増税や受け取る保険料が減額されることもあるかもしれません。
年金はいつから支給される?
原則として支給開始は65歳
2018年現在年金の開始年齢は65歳からとなっています。しかし、手続きをすることで60歳から繰り上げ受給することもできます。反対に年金を受け取る年齢を遅くする繰り下げ受給という方法もあり、70歳から年金を受け取ることも可能です。
繰り上げをすれば年金を早く受け取ることができますが期間ごとの受給額は減り、繰り下げ受給をすれば受け取る時期は遅くなる分期間ごとの受給額は増えます。
将来は支給開始が遅れる可能性も
2018年現在、年金の支給開始年齢は65歳です。しかし、年金の開始年齢は決まっているわけではなく改正によって引き上げられてきました。つまり、少子高齢化により年金原資が減れば支給開始年齢がさらに上がる可能性もあります。
世代別年金支給額モデルケース
収入30万円の20代
会社員として勤務した単身世帯が65歳の時に受け取れる年金は月額約8万9千円、会社員の夫と専業主婦の世帯では約12万5千円です。現在60歳で同じ平均月収の会社員単身が65歳の時に受け取れる年金は月額約12万1千円、会社員と専業主婦の世帯で約18万2千円です。年金の支給額は単身世帯で26.4%減、会社員と専業主婦の世帯で31.3%減と大きな差があります。
収入30万円の30代
会社員として勤務した単身世帯が65歳の時に受け取れる年金は月額約9万2千円、会社員として勤務した夫と専業主婦という世帯では約13万1千円が受け取れます。同じ収入の20代と比較すると受給額は単身者世帯で3.4%増、会社員と専業主婦の世帯で4.8%増です。しかし、現在60歳である世帯と比較すると単身世帯で24.0%減、会社員と専業主婦の世帯で28.0%減です。
収入30万円の40代
会社員として勤務した単身世帯が65歳の時に受け取れる年金は月額約9万9千円で、会社員の夫と専業主婦の世帯では約14万6千円です。同じ収入の20代と比較すると受け取れる月額の受給額は単身者世帯で11.2%増、会社員と専業主婦の世帯で16.8%増です。現在60歳である世帯と比較すると単身世帯で18.2%減、会社員と専業主婦の世帯で19.8%減となり、40代の世帯でも年金の減額は大きいものとなっています。
年金を将来に役立てるには?
障害年金や遺族年金がある
年金は生きている限り生涯受け取ることができ、介護が必要になったり病院にかかることも増えるであろう老後の生活を支えてくれます。また、病気や事故で障害者になった場合には障害基礎年金、年金の加入者が亡くなった場合は残された家族に対し子供が18歳まで遺族基礎年金も支給されます。
自分の老後を守るために
2017年に厚生労働省が公表したデータによると、日本人男性の平均寿命は80.75歳で女性は86.99歳です。65歳で定年した後も平均で男性は約15年、女性は約20年以上のセカンドライフがあるといえます。老後のためには、年金は欠かせないといえるでしょう。
また、趣味の充実など現役並みの生活水準を保とうとすると公的年金だけでは足りない可能性もあります。ゆとりある老後を過ごすためには、公的年金だけでなく、個人年金保険や投資信託などで資産を形成しておいた方が良いかもしれません。
まとめ
年金は不安視される部分もありますが、メリットもあります。しかしながら年金だけでは老後への備えは十分といえません。思い描くセカンドライフを実現させるためにも、早いうちから老後の資金を計画的に準備していきましょう。