会社の健康保険に加入しているサラリーマンは、健康保険の保険料が労使で折半されているため、「どのくらいの保険料を負担しているのか」あまり気にかけていない人も多いのではないでしょうか?しかし、勤務している会社を退職するとそれまで健康保険から脱退する必要があります。この記事では、会社を退職した場合にどのような手続きをすればいいのか説明します。
目次
会社を退職したら保険はどうする?
国民健康保険に加入する
国民皆保険制度の下、サラリーマンの場合は全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)もしくは組合管掌健康保険(組合けんぽ)に加入しています。起業や定年などにより会社を退職した場合、国民健康保険に加入することが可能です。
退職してから14日以内に居住する市町村の窓口で所定の申請をすれば、国民健康保険に加入できます。保険料は前年の所得等をもとに計算されるため、前年の所得がわかる書類を持って窓口に行けば具体的な保険料を教えてもらえます。
ただし、国民健康保険の場合は前年の所得から一定割合減収となる場合や、会社都合による退職の場合などでは保険料の減免措置が受けられることもあります。具体的な保険料の確認とあわせて、自分が減免措置の対象となるかどうか確認しておくと良いでしょう。
退職前の保険を任意継続する
サラリーマン時に加入している健康保険を2年間まで継続することもできます。任意継続をした場合、退職前までは労使折半により保険料の半額を会社が負担してくれていましたが、退職後は保険料の全額が自己負担です。そのため、任意継続時には、退職前と比べて2倍程度の健康保険料を支払うことになります。
具体的な金額は、退職前に会社の総務課や経理課等で確認することが可能です。退職前の健康保険を任意継続した場合の保険料と国民健康保険の保険料を比較して、どちらが自分にとってメリットがあるか、退職前に決めておくと良いでしょう。
家族の扶養に入る
社会保険に加入している家族がいる場合、扶養家族になることもできます。ただし、将来的な年収が130万円未満など、扶養に入るための所得制限があるため起業予定の人には向いていない可能性があります。自分が扶養に入ることができる条件を満たしているのかどうか確認すると良いでしょう。
退職後、国保に切り替え忘れたら?
退職後の届出期限は14日以内
退職後に国民健康保険に切り替えるためには、退職後の翌日から14日以内に市町村で申請する必要があります。退職前後は各種手続きや、次に取り組むことの準備などで忙しくなりがちです。期限間際に申請してしまうと、書類不備の原因ともなりますので、なるべく早く手続きに行くようにしましょう。
期日を過ぎても手続きは可能
国民健康保険の切り替えは基本的には14日以内に手続きをする必要がありますが、期日を過ぎても手続きは可能です。ただし、加入手続きをしていなかった期間中にケガや病気などで医療機関を受診した場合、治療費は全額自己負担となってしまいます。
期日を過ぎた場合遡って保険料を納付
手続き期限が過ぎてから国民健康保険に加入した場合、資格発生月に遡って保険料が請求されます。しかし、加入していなかった期間の治療費は遡って給付されないケースがほとんどです。期限内に忘れずに手続きをした方が良いでしょう。
退職者医療制度とは
国保の医療費負担増を解決するための制度
長期間サラリーマン(公務員含む)で、健康保険や共済に加入していた人が定年退職した場合などは国民健康保険に加入することが多いです。年齢が上がるにつれて医療への必要性が高まることから、国民健康保険の医療費負担が増大している問題が発生していました。退職者医療制度は、国保の財源を確保するために導入されていた制度です。
国保の財源だったが平成27年3月末に廃止
長い間勤めていた会社や官公庁などを退職して、厚生年金または共済年金を受けるときは、国民健康保険の退職被保険者となります。退職者医療制度により、厚生年金等の受給者で65歳未満の国民健康保険加入者の医療費の一部を、協会けんぽ等の被用者保険から賄うことが可能となりました。
退職者医療制度は、厚生年金等の受給者で65歳未満の国民健康保険加入者の医療費財源を被用者保険から一部負担するという趣旨の制度なので、保険料負担は一般被保険者と同じです。しかし、退職者医療制度は平成27年3月末をもって廃止となりました。
国民健康保険加入手続き
市町村の役所で手続き
国民健康保険の加入手続きは、市町村の窓口で行うことができます。会社を退職した場合、会社から健康保険資格喪失証明書が発行されますので、忘れずに窓口に持って行きましょう。
健康保険資格喪失証明書は、退職するとすぐに発行されることが多いですが会社によって手渡しあるいは郵送になります。役所は混雑することも多いので、手続きのスケジュールを組むために健康保険資格喪失証明書の受け取り方法を事前に押さえおくと良いかもしれません。
まとめ
退職後の国民健康保険の手続きをする場合や、それまで加入していた健康保険を任意継続する場合、自分で手続きしなければなりません。また、手続きは決められた期間内に行う必要があります。退職したらどのような手続きが必要なのか、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。