会社員や公務員の人は毎月支払っている厚生年金保険料ですが、収入に対して高額だと感じている人もいるかもしれません。今回は、厚生年金制度の説明から保険料を支払う理由、加入していることで得られるメリットなどを解説します。
目次
厚生年金の概要や支払う理由は?
厚生年金とは
厚生年金とは日本の公的年金制度の1つで、会社員や公務員として働く人が加入するものです。加入していると、定年退職や病気・怪我などで稼得能力が低下した際に「年金の給付」という形で保障が受けられます。給付される年金は、定額の基礎年金部分と給料に比例して金額が上がる報酬比例部分によって構成されています。
厚生年金保険料を払う理由
厚生年金制度は、国の負担金や税金・加入者が支払う保険料などを財源として賄われています。将来的に見れば、保険料を支払う理由は「自分が将来年金を受け取るため」と思えるかもしれません。
しかし実際には、自分が支払った保険料は現在の引退世代の年金に充てられています。つまり、「自分の将来の年金受給権を確保しつつ、現在の高齢者の生活を支えるために保険料を支払っている」というのが保険料を支払う理由であると言えます。
会社も厚生年金保険料を負担している
厚生年金保険料の支払いは労使折半と規定されていますが、被保険者と企業側で保険料の負担割合が一致するとは限りません。その理由は、折半した際の被保険者の保険料に端数がある場合には、切り上げや切り捨てが行われるためです。実際に企業側が払う保険料額は、保険料総額から被保険者負担分を差し引いた額となります。
厚生年金保険料の算出方法は?
計算方法について
厚生年金保険料を算出する際には、標準報酬月額と厚生年金保険料率を使用します。標準報酬月額は、4月から6月までの3ヶ月間の給与の合計から平均値を算出し、国が定める水準に当てはめた金額を使用します。
厚生年金保険料率は平成29年9月に引き上げが完了し、18.3%で固定されています。2つの数字を掛けることで厚生年金保険料の総額が算出されます。
厚生年金保険料は老後に必要?
将来もらえる年金額は1.6倍
一般的な定年時期である60歳を超えてからも会社員や公務員として働く場合には、厚生年金保険料を支払う必要があります。この場合、働いている間は「被保険者」として扱われるため、年金の支給は基本的に行われません。しかし、年金給付面で損をしないように、受け取り開始から終了までの総額は通常の人の1.6倍に設定されます。
国民年金と厚生年金では支給額に違いがある
厚生年金の被保険者は、厚生年金保険料と国民年金保険料の両方を支払っています。そのため、国民年金(基礎年金部分)と厚生年金の両方を受け取ることができます。国民年金のみの加入者へは基礎年金部分しか支給されないため、金額には差が生じることになります。
扶養に入っている人も年金をもらえる
会社員や公務員を夫に持つ専業主婦などの場合、要件を満たしていれば夫の扶養に入ることが可能です。被扶養者は厚生年金の第3号被保険者として扱われるため保険料の支払い義務は発生せず、負担が増えることもありません。被扶養者が将来もらえる年金の金額は、国民年金と同額の基礎年金部分となります。
健康保険や住民税とはどう違う?
健康保険のしくみ
健康保険は、厚生年金と同様に「所得水準に比例して保険料を支払い、保障を受けられる」という制度です。厚生年金や国民年金を運営するのは日本年金機構ですが、健康保険は企業が置かれる地方の厚生局に委託運営されています。被保険者は医療機関での治療費の自己負担が3割となり、ケースに応じて傷病手当・入院手当などを受けることができます。
住民税のしくみ
厚生年金の場合、企業が置かれている地域に限らず保険料率は一律18.3%です。一方、住民税は市区町村によって税率が異なります。
住民税を管轄するのは地方自治体であり、日本年金機構のように全国一括で制度を管理しているわけではありません。各地域の行政サービスによって必要となる費用も異なるため、住民税の額にも差が生じていると考えられます。
まとめ
厚生年金に加入していると保険料が高額になる傾向もあるものの、将来受け取る年金額が増えるという一面もあります。自分が支払う保険料を再確認したい場合は、紹介した計算方法で導出してみましょう。