投資信託は、資産を運用していくための投資商品のひとつです。銀行や郵便局といった身近な金融機関で取り扱いがあるため、投資の初心者でも比較的始めやすいのではないでしょうか。そこでこの記事では、投資信託の基礎知識を紹介します。投資信託を始める際の参考にしてみてください。
目次
投資信託を始めるには口座の開設が必要
証券会社や銀行に口座を開設
投資信託を始めるには、まず投資信託の口座を開設しなければなりません。証券会社と銀行の特徴を比べて、自分に合った金融機関で口座を開設しましょう。
・証券会社・・・保有している投資信託の種類が豊富であるため、資産状況やリスク許容度に応じて、好みの投資信託を選ぶことができます。
・銀行・・・窓口の数が多いので相談がしやすく、投資信託の購入を通して資産全般の運用相談ができます。給与振込口座を保有している銀行に投資信託の口座を作れば、資産を一括管理することも可能です。
証券会社には店舗型とネット型がある
証券会社には、店舗型とネット型(ネット証券)があります。店舗型は証券会社の窓口で、スタッフに相談しながら商品の選択や口座開設の手続きを進められます。初めて投資信託を購入する人でも、スムーズに手続きを進めやすいと言えます。
一方ネット証券は手続きなどを自分で進めなければならない代わりに、手数料が低めに設定されていることが多いです。インターネット環境さえあれば、パソコンやスマートフォンから24時間取引が可能な点も、ネット証券の特徴だといえます。
証券会社の口座の種類
源泉徴収ありの特定口座
投資信託口座を開設するときには、口座の種類を選ぶ必要があります。そのうちのひとつは「源泉徴収ありの特定口座」です。
投資信託は、運用利益が出た場合には税金を支払わなければなりません。「源泉徴収ありの特定口座」で投資信託口座を開設しておけば、投資信託の譲渡益にかかる税金(20.315%)は源泉徴収されるため、確定申告の必要がなくなります。
源泉徴収なしの特定口座
一か所から給与の支払いを受けていて年間の給与収入額が2,000万円以下の場合、投資信託の譲渡益が20万円以下であれば税金を支払う必要はありません。(住民税は別途支払う必要あり)しかし、「源泉徴収ありの特定口座」の場合は20万円以下でも源泉徴収されてしまいます。もし投資信託の譲渡益が年間20万円以下に収まりそうだという人は、「源泉徴収なしの特定口座」を選ぶと良いです。
「源泉徴収なしの特定口座」で取引をしていて20万円以上の譲渡益が出た場合には、証券会社から発行される年間取引報告書を利用して確定申告をしましょう。
一般口座
一般口座で投資信託の取引を行った場合には、源泉徴収がされません。そのため、投資信託の譲渡益が出た場合には自分で確定申告を行う必要があります。
一般口座では証券会社から年間取引報告書が発行されないため、投資信託の売買の計算や書類の収集などを自分で行わなければなりません。投資信託を始めたばかりの人は、一般口座を開設する必要性は低いと言えます。
証券会社での口座開設の流れ
店舗型の場合
店舗での手続きを希望する場合、窓口で投資信託口座の新規開設を希望していることを伝えてください。証券会社スタッフの指示に従い必要書類に記入して提出すれば、口座の開設は完了です。
口座開設に必要なものは、印鑑、本人確認資料、マイナンバーの確認できるものなどです。証券会社により必要なものが異なる可能性もあるので、口座開設に訪れる前に確認しておくようにしましょう。
ネット型の場合
ネット証券の口座を開設するときには、まず証券会社のホームページで利用者情報を登録します。その後免許証などの本人確認資料と、通知カードなどマイナンバー資料を提出しましょう。
WEBアップロードかEメールで提出すると、数日後に利用を開始するためのIDやパスワードの記載された郵便物が届きます。これにより口座開設が終了し、取引をスタートできるようになります。
本人確認資料とマイナンバー資料を郵送で提出する場合は、証券会社から送られる提出用の封書に入れて返信してください。ネット証券が本人確認をしたのち、利用開始時に使用するIDやパスワードが記載された郵便物が送られてきたら口座開設終了です。
初心者に向いた投資信託は?
おすすめはバランス型
株や債券といった資産は、それぞれ特徴やリスクが異なります。リスクを抑えて投資をしていきたいのであれば、複数の資産に投資をすることでリスクの軽減を図る「分散投資」をすることが大切です。
通常、個人の投資家がいくつもの資産に投資するには、多くの知識と資金が必要です。投資が初めての人は、「分散投資」による安定的な資産の成長を運用方針に掲げている「バランス型」のファンドを選ぶと良いでしょう。
バランスファンドには国内外の債券や株式が組み入れられていますが、具体的な資産内容や組み入れ比率は商品により異なります。いくつかの商品を見比べて、購入する投資信託を決めると良いかもしれません。
投信積み立ても選択肢に
前述した「分散投資」とともに、投資のリスク軽減には「時間分散」が重要です。投資信託は値段(基準価格)が毎日変動しているため、一括でまとめて投資信託を購入すると値動きが大きくなりリスクが高くなります。時期をずらして複数回に分けて購入すると購入価格が平均化できるため、リスクの軽減を図ることができます。
「時間分散」をしながら投資信託を購入していきたいときに便利なものが、投資信託の積立です。毎月一定の金額の投資信託を購入していくことができるので、家計への負担を抑えながら資産を増やしていくことができます。
変額保険も選択肢になる?
ファンドを運用する保険
生命保険のひとつである変額保険は、死亡保障を備えつつ積立金を運用することで資産を増やせる保険です。積立金は、投資信託と同様の「ファンド」で運用されています。
商品によっては、組み入れるファンドを複数のファンドの中から契約者が選択できるものや、契約期間中のファンドの組み換えが可能な商品もあります。ファンドの内容はそれぞれの商品により異なるため、変額保険に加入する際にはファンド内容も確認してみてください。
保障を兼ねられ節税にもなる
変額保険には死亡保障という特徴だけでなく、投資信託には無い税制面の優遇がいくつかあります。
・生命保険料控除
1年間(1月~12月)に支払った保険料をその年の所得から控除可能です。所得税と住民税の負担軽減につながります。
・死亡給付金の非課税枠
契約者と被保険者が同一で、死亡保険金の受取人が相続人の契約は、死亡給付金の一部が非課税になります。非課税になる金額は、「500万円×法定相続人数」です。
・運用収益に対する課税繰り延べ
積立金の運用で利益が出ていても、満期保険金受け取りや解約返戻金の受け取りを行うまでは、課税が繰り延べされます。そのため運用中に出た利益は、複利で運用していくことができます。
まとめ
投資信託は銀行や証券会社の窓口だけでなく、ネット証券やネット銀行でも取引をすることができます。それぞれの特徴を知り、自分のニーズに合った金融機関に投資信託の口座を開設することが肝心です。1人で投資信託を始めるには不安があるという人は、銀行や証券会社の窓口で相談をして、疑問点や不安を取り除くところから始めてみてはいかがでしょうか。