資産運用の手段の1つに投資信託がありますが、投資信託で発生する分配金には税金が課せられます。しかし、投資信託の税金は源泉徴収の有無や口座の種類によって納め方が異なります。今回は税金の種類と税率、さらには税金の対策方法も解説します。
目次
投資信託で税金がかかる場合とは?
分配金を受け取ったとき
投資信託による資産運用では、分配金を受け取った際に税金がかかります。分配金とは、信託会社が持つ分配可能原資という資金のうち決算後に算定される余剰金から、信託利用者に支払われるお金のことです。分配金には普通分配金と元本を取り崩す特別分配金がありますが、税金が発生するのは普通分配金が生じる場合のみです。
解約または売却で利益を得たとき
利用していた投資信託を売却ないし解約したことで利益が発生した場合にも、税金が発生します。利益は、投資信託の購入金額よりも解約や売却する際の金額が大きい時に発生します。ちなみに利益に掛けられるのは源泉所得税や住民税であり、税率は20%です。
投資信託にかかる税金はどのくらい?
税金は所得税と住民税で約20%
ここでは投資信託を100万円で購入したケースを考えます。運用で自分が購入した信託が値上がりし、120万円になって売却した場合、購入額との差額分の20万円の利益が発生することになります。所得税と住民税は合わせて20%なので、このケースで発生する所得税額は20万円×20%=4万円です。
株式投資信託にかかる税金の計算例
前述では売却のケースを紹介しましたが、ここでは分配金のケースを取り上げます。信託会社の資産運用によって、普通分配金が50万円発生した場合、所得税と住民税が発生します。
その内訳は所得税が15%、住民税が5%の計20%で、売却や解約の場合と税率と同様です。実際の税額は、50万円×20%=10万円となります。
公社債投資信託にかかる税金の計算例
公社債投資信託とは公社債投信と呼ばれる信託であり、株式ではなく国債などの債券への投資を通して資産運用を行うものです。公社債投信を利用する場合にも、株式投資信託と同様の税金が課せられます。例えば、資産運用によって発生する分配金の金額が100万円の場合、税率は20%なので支払う税金の金額は20万円です。
投資信託の税金に関する手続は?
特定口座で源泉徴収ありの場合
税金に関する手続きは、講座の種類と源泉徴収の有無によって変化します。特定口座とは、投資家が負う納税の負担を軽減する口座制度です。特定口座でかつ源泉徴収がある場合は、年間の信託取引によって発生する損益は全て信託の販売会社によって計算され、源泉徴収も販売会社のみで完了します。
特定口座で源泉徴収なしの場合
特定口座で源泉徴収がない場合、年間の投資信託を利用した取引によって生じる損益は源泉徴収がありのケースと同様に、信託の販売会社によって計算されます。税金の支払いは信託を利用する投資家の確定申告によって行いますが、特定口座を利用している場合には確定申告を簡単に行うための書類が販売会社によって作成されます。
一般口座の場合
一般口座を利用して投資信託による資産運用を行っている場合は、年間の投資信託による取引によって発生する損益は全て個人投資家が計算しなくてはなりません。また、確定申告も必要です。
利益が20万円以下の場合には確定申告が不要になることもあります。ただし年収が2,000万円以下で給与以外の部分での所得が20万円以下であるという条件を満たす必要があります。
法人口座の場合
法人口座を利用している場合であっても、源泉徴収税を支払わなくてはなりません。税金の計算方法は、解約、分配金と買取請求で異なります。
買取請求の場合は原則として源泉徴収はありません。一方で分配金と解約の場合には所得税が発生します。確定申告も行う必要がありますが、その場合は各法人で行わなくてはなりません。
知っておきたい税金対策とは?
利益20万円以下でも確定申告で節税
一般的に、投資信託によって発生した利益が20万円以下の場合には確定申告を行う必要はありません。しかし確定申告不要でも、確定申告を行う事で節税効果が得られることがあります。
口座を複数所持している人の場合、各口座の損益を通算することで、各口座で個別に納めていた税金と所得合計に掛かる所得税との差額分だけが返金されることになります。複数口座を所有している場合は、一度損益を計算した方が良いでしょう。
NISAを活用した節税対策
NISAは、株や投資信託を利用した資産運用によって発生する受取運用益や配当益に掛かる税金の一部を非課税にする制度です。利用するためには20歳以上で、証券会社の口座を開設しており、10年間を掛けて資産運用をするという3つの条件を全て満たす必要があります。これまでに紹介した投資信託の場合はいずれも所得税等が発生しますが、節税したい人はNISAを活用すると良いでしょう。
まとめ
投資信託は効率的に運用することで利益が得られますが、自分が開設している口座の種類や利益の金額などによっては税金が発生します。今回解説した節税方法などを利用して、より多くの利益を得られるように工夫しましょう。