資産運用のひとつに投資信託があります。しかし、投資信託には買い時や売り時の判断を誤ると資産を減らす可能性もあり、なかなか購入に踏み切れない人も多いかもしれません。今回は投資信託の売り時と買い時について見ていきます。
目次
投資信託の売り時と買い時の基本
基準価額は変動している
投資信託を購入するときや売るときの値段は基準価額がベースになります。基準価額とは投資信託の時価のことです。1口あたりの純資産価値として、投資信託委託会社が毎日評価をして公表しています。
投資信託は株や債券などに投資をしていますので、株や債券などの価格変動に合わせて基準価額も変わります。一般的に基準価額は1万口あたりで表示されますが、投資信託によって異なるため確認してみてください。
儲かるのは基準価額の上昇時の売却
例えば1口が1円の投資信託を1万円購入したとします。投資信託が投資している株や債券が値上がりすれば、基準価額も値上がりして1万1000円となり、株や債券などが値下がりすれば、基準価額も値下がりして9000円になります。
つまり、自身が購入したときの基準価額よりも売却時に基準価額が上昇すれば、儲けになるということです。
下降時が売り時とは限らない
自身が保有している投資信託が値下がりした場合、投資信託を売却したいと考えるかもしれません。売りたいと考えたときは投資信託の特徴を思い出してみましょう。
投資信託は、ファンドマネージャーが見込みのない銘柄を除いたり、有望だと思われる銘柄を加えたりして運用する商品です。投資信託は購入手数料や解約するときの信託財産留保額がかかるものがあるので、頻繁に売買することでコストがかさむこともあります。また、投資信託は一時的に値下がりしたとしても保有し続けることでコストを抑えることができます。
投資信託では、値下がりしても売らない方が良いこともあることを覚えておくと良いでしょう。
購入時や売却時に基準価額はわからない
投資信託の売却はブラインド方式です。ブラインド方式とは、投資信託の解約を申し込んだ時点の値段が決まっておらず、売却後に値段が分かる方式のことです。
投資信託や販売会社によって異なることもありますが、一般的に投資信託の解約受付は15時で締め切られ、証券取引所が終了した後に算出される基準価額が売却時の値段です。投資信託によっては時差の関係上、当日ではなく翌日の基準価額がベースになることもあるので投資信託を購入する際にはきちんと確認しておきましょう。
ちなみに、購入時も基準価額は分かりません。購入時の基準価額も1日に1度、組み入れた銘柄の終値をベースにして算出されるため、翌日または翌々日に分かります。基準価額は、運用会社や販売会社のホームページ、取引報告書、一部の新聞などで確認ができます。
投資信託の売り時とは
目標額を達成したとき
資産運用するときは、いつまでにいくら増やしたいかなど目的を設定すると良いでしょう。目的が明確でないと運用のゴールが見えず、値動きに振り回されてしまう傾向があるためです。そして、最初に決めた目標額に達した時点で売るとよいでしょう。
あるいは、投資している銘柄の運用、例えば新興国株式の投資信託が40%上がれば売る、など目標を立てて目標に達した時点で利益確定すると良いかもしれません。
純資産が2倍になったとき
目標額を決めずに投資する場合は、購入したときの基準価額の2倍になったときに売る方法もあります。2倍になったときに売る場合は全て売っても良いですし、半分は売って半分は投資信託に残しておくのも良いでしょう。半分売れば元手を回収することができますし、売った後の残り半分は儲けた部分のため、今後値下がりしても資産に与えるダメージは少なくなります。
純資産が大幅に減っているとき
投資信託はプロが運用する商品ですが、元本割れするリスクもあるため、資産が減ることもあります。純資産の増減にも気をつけておきましょう。運用は上手くいっているのに純資産が減っているときは、そのまま純資産が減り続けることで運用に支障が出ることもあるため売ることを視野に入れた方が良いかもしれません。
現金が必要なとき
投資信託の運用が上手くいっていても、現金が必要になると売らなければならないときがあります。運用に問題がなく現金が欲しい場合には、必要な分だけ売ると良いです。
例えば家のリフォームや子どもの学費など、現金が必要になる数年前で基準価額が高いと思われるときに必要な額だけ売っておきましょう。そして、実際に使う時期まで定期預金などに預けておけば、運用も続けられますし必要な現金も確保できます。
投資信託の売り方で気をつけること
売るタイミングを複数回に分ける
投資信託を売るときは、一度に全て売ってしまうのではなく、複数に分けて売る方法が理想的です。少しずつ売ることで価格変動のリスクに備えることができます。
できるだけ高値で売却しようとしても、高値の予測は難しいものです。利益が出ているのであれば一部を売った後に安全性の高い資産に変え、残りはそのまま資産運用すると良いでしょう。
売った後を考えておく
投資信託を売ってしまおうと思ったら、売った後にどうするかもあわせて考えておきます。値下がりしたのでとりあえず売っておき、売った後に似たような投資信託を買うのであれば、手数料を考えると売らない方が良いことがあります。売るときは、売る目的もきちんと考えると有効な資産運用ができるかもしれません。
投資信託に買い時はある?
買い時の判断は難しい
投資信託も株などと同じで、安く買って高く売ることができれば大きな利益を得られます。しかし、実際に市況を予測することは困難で、買い時を正しく当てることはなかなか難しいものです。
また、投資信託には利息が利息を生み出す複利のメリットがあるなど長期的な運用を視野に入れた商品です。そのため、いつが買い時ではなく、資金に余裕があって思い立ったときに買うと良いでしょう。
複数回に分けて買うのがポイント
投資信託は複数の銘柄に分散投資をすることでリスクの軽減をしています。加えて買い付けの時期も分散することでさらにリスクの軽減をすることができます。
さらに、一定の金額を継続して投資することによって買い付け単価の引き下げを行うこともできます。投資信託は価格に変動があるため同額ずつ買っていくと、高いときには少し買い、安いときには多く買うことになりますので買い付け単価を引き下げられます。
つまり、投資信託は複数回に購入することで銘柄や価格のリスクを分散しており、いつが買い時とは一概には言えない商品だと言えます。
まとめ
投資信託は価格に変動があります。投資信託を始める際には、投資信託について知り、売り時や買い時をきちんと見極めると良いでしょう。また、もう少しリスクを抑えた資産運用がしたいのであれば、保険も選択肢に入れてみると万が一に備えながら資産運用することができるかもしれません。