投資を行ってお金を増やす方法の1つに、投資信託を利用した資産運用があります。資産運用は、市場における金利の変動によってお金を増やすため、元本割れなどのリスクが発生することがあります。今回はそのリスクを分散するための方法について解説します。
目次
投資信託のリスクとリターンとは
リスクとリターンの意味
投資信託におけるリスクとは、損益が発生する可能性や予測通りの結果とならない危険性などを示しています。一方、発生する収益のことをリターンと言います。得られる収益が多い(少ない)場合は「リターンが大きい(小さい)」と言い、大きなリスクで多くの見返りが得られるケースを「ハイリスクハイリターン」と言います。
リスクとリターンは表裏一体の関係
リスクとリターンはおよそ表裏の関係にあると言えるため、投資を行う際には両者を切り離して考えない方がよいでしょう。例えば、大きな収益を得るために投資をしようと考えた場合には、投資の元本に当てた金額を失う、もしくは元本割れを起こす可能性などが高くなります。一方で、元本が保証されている投資においては、得られる収益額も小さくなることがあります。
標準偏差が指標に
投資を行うときのリスクとリターンを考える際には、「標準偏差」を指標にします。標準偏差とは、数値のばらつきを表す指標であり、値が大きくなるほどばらつきが大きいことを示します。投資信託における標準偏差からは、値動きの幅を知ることができます。また、平均的な値動きと乖離が生じているケースなどを標準偏差から推し量ることができる場合もあります。
投資信託におけるリスクとは
価格変動リスク
価格変動リスクとは、投資先である株式・債券などの価格変動にともなって生じるさまざまな可能性や危険性などのことを言います(一般的に、マイナスの意味で用いられることが多くなっています)。価格変動の要因には、国内外における政情や情勢の変化・株式会社の業績変動・消費行動における需要と供給の変化などが挙げられます。
信用リスク
信用リスクとは、企業・国家などが債務を負い、利息や償還金の支払いが不可能となる可能性を示す言葉です。信用リスクが生じる原因には、企業の経営不振や不祥事の発覚、国家の財政難などが挙げられます。
金利変動リスク
金利変動リスクとは、金利の変動によって貨幣価値の低下や元本割れを引き起こす可能性を示すものです。一般的に、金利が上昇すると債券価格は下がり、金利が低下すると債券価格は上昇します。また、債権の満期期間が長くなるほど金利変動リスクの影響を受ける可能性が大きくなります。
為替変動リスク
円やユーロなどの貨幣価値はドルを基軸通貨としたレート(為替レート)によって定められており、このレートは世界の金融情勢などを受けて日々変動しています。為替変動リスクとは、為替レートの変動によって発生する損益の可能性を指します。海外の株式や債券を利用して投資信託を行う場合、円に換算した際の為替変動リスクを考慮する必要があります。
投資信託のリスクヘッジ方法は?
分散投資
リスクヘッジとは、投資によって損失が発生する可能性を減らすための手段のことを言います。その1つが「分散投資」です。
分散投資とは、投資先を複数に分けることでリスクを分散するという方法です。
たとえば、
①A社のみに200万円の投資を行っている人
②A社とB社に100万円ずつ投資を行っている人
この2通りについて考えてみると、A社が倒産した場合、①の人は200万円を失ってしまうことになりますが、②の人の損害はA社へ投資した100万円のみにとどまることになります。
購入する時間の分散
購入する時間を分散させるという手法も有効です。一度に多額の資金を債権や株式の購入に当てる場合、価格変動に柔軟に対応しにくいという面があります。一方で、購入する時間を分散させることによって、市場の価格変動を見ながら投資金額を調整できるため、急激な価格変動のリスクを回避できる場合があります。
長期投資
長期投資もリスクヘッジの一種であると言えます。長期の運用においては、相場の変動によって資産が減少する期間が発生することも想定されます。しかし、投資先の売り上げや利益が年月とともに増えていくことを考えると、購入した株や債券を長期間保有することでリターンも安定する傾向があります。財政破綻たんや倒産などが発生しない限り、長期投資は長い目で見たリスクヘッジと言うことができます。
保険も分散投資の選択肢に
資産運用向きの保険もある
民間の保険会社が提供する生命保険や損害保険などの中には、資産運用を行うのに適した保険商品もあります。学資保険や養老保険、年金保険などがその一例です。
保障内容とあわせて貯蓄性の高さへも着目して保険商品を選ぶと、自分に合った資産運用がしやすくなることもあります。必要に応じて検討してみるのも良いでしょう。
まとめ
投資信託には、さまざまな要因からリスクが伴うことがあります。しかし、適切なリスクヘッジを行うことで対処できる場合もあります。投資以外にも、保険を活用した資産運用などの選択肢もあるため、自分のスタイルに合った方法で資産の管理を行いましょう。